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面白いネタはいつだって〝箱の外〟に転がっている

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コラムを書くためのネタ探しという作業は、狩りとか、いい木を探し出して切り倒すことに似ていると思う。というわけで、筆者は週いちのペースで獲物やいい木を探しながら、あちこちをさまよい歩いている。

次々とヒット番組を生み出すプロデューサー

こうした作業全体を見直すためのヒントが欲しくて、『成功の神はネガティブな狩人に降臨する』(角田陽一郎・著/朝日新聞出版・刊)という本を読んでみた。著者の角田さんは、「さんまのスーパーからくりTV」、「中居正広の金曜日のスマたちへ」、「EXILE魂」といった超ヒットバラエティー番組を手がけてきたプロデューサーであり、映画監督でもある。媒体が文章であれ映像であれ、多くの人たちにアピールするネタを探すという行い自体に大差はないはずだ。
次々とヒット番組を製作し、映画を作るという夢まで叶えてしまった角田さんは、寝て起きたらすばらしいアイデアがひらめく能力を宿していて、絵に描いたようなサクセスストーリーの主人公に違いないと思っていたのだが、そうでもないようだ。

〝箱の外側〟で考える

まえがきに気になる文章を見つけた。

僕は企画会議で企画を何百回も却下されて、ならば企画会議という組織のフレームからはみ出して企画を実現させようと思い立ったのです。

『成功の神はネガティブな狩人に降臨する』より引用

〝Think outside of the box〟という英語の表現がある。箱の外側で考える=既成概念にとらわれない考え方をする、という意味だ。角田さんは、まさにこの表現のエッセンスを実践しながら仕事をなさってきたのだと思う。具体的に言えば、次のような行いとなる。

アイデアをレギュレーションに合わせるのではなく、そのアイデアがカタチになるようなレギュレーションから作ろうと考えたのです。

〝レギュレーション〟は規則を意味する言葉だが、ここでは〝企画会議という組織のフレーム〟を指す。つまり角田さんは、既存の箱の外で見つけたアイデアを入れるための新しい箱作りを最初の過程に据えた。

正しいお詣りの作法

つい最近、とあるバラエティー番組で、金田朋子さん(『おしりかじり虫』で有名な声優さん)が神様に祈る姿が紹介されていた。金田さんはお正月に限らず、鏡開きとか誕生日、そして七夕とかでも神様に手を合わせ、独自の文言を唱える。こんな感じだ。

「どうか、今年、良い1年になりますよう、私たち夫婦も一生懸命頑張りますので、どうぞ、どうぞよろしくお願いいたします。ひとつよろしく…いや、ひとつっていうか、どうぞよろしくお願いいたします。私たち夫婦も一生懸命頑張りますので、どうか今年1年、私たちを見守っていてください。そして、困ったときは、お助けいただけると幸いでございます。どうか、今年、良い年になりますよう、私たちも一生懸命頑張りますので、どうぞ、どうぞどうぞよろしくお願いいたします」

フルバージョンは、もうちょっと長い。くどいかくどくないか尋ねられたら、確かにくどい。
でも、角田さんの視点から見れば、これはきわめて正しい作法なのだ。角田さんは、箱の外で考えることに加え、正しい作法で行うお詣り―神様に対し、正しい形でプレゼンを行うこと―の重要性を説く。

お詣りは神様へのプレゼン

「お詣りは神様へのプレゼン」なのだそうです。例えば、「神様、100万円ください」とただ頼んでも意味が無いのです。
そうではなくて、「もし神様が100万円下さったら、私はその100万円で、世のため、人のため、自分のために、〇〇や××ということをやりたいと思います
」というふうに神様に一生懸命プレゼンするのです。

『成功の神はネガティブな狩人に降臨する』より引用

アメリカで有名なニューエイジ系のスピリチュアリスト、ドリーン・バーチューも、神と呼ばれるものをはじめとする聖なる存在に頼みごとをする時は、可能な限り具体的な文言で祈りを捧げる方が実現しやすいと語っている。

「マクトゥーブ」と「エピファニー」

『成功の神はネガティブな狩人に降臨する』から、この二つをさらなるキーワードとして挙げておきたい。前者は、「それは書かれている」という意味のアラビア語、後者は「突然のひらめき」を意味する英単語だ。角田さんは、二つの言葉で〝前兆をとらえるひらめき〟の大切さを表現する。
言葉を反対側から見れば、「準備ができていなければつかめるものはない」と解釈することもできる。日頃から準備していなければ、大きな獲物も質の良い木も手に入らない。
筆者のようにネタ探しで困っている人も、定期的に企画を出さなければならないスケジュールに縛られている人も、まずは箱の外側で考えてみよう。そして、正しい形で神様にプレゼンをしてみよう。自分でも驚いてしまうほどのアイデアや企画の芽は、こうした行いを通じて降って来るにちがいない。 1989年のハリウッド映画『フィールド・オブ・ドリームス』の名セリフのように、「それを作れば彼は来る」のだ。

(文:宇佐和通)

成功の神はネガティブな狩人に降臨する バラエティ的企画術

著者:角田陽一郎
出版社:朝日新聞出版
「さんまのスーパーからくりTV」「金スマ」など人気バラエティー番組を手がけてきたヒットメーカーのTBS現役プロデューサーが、業界の笑える裏話をまじえながら、やりたいことを仕事として成立、成功させるための思考法、発想法を伝授する。

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