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【必要十分生活】シャンプーを共有している夫婦は仲が良い。

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2010年に出版された『人生がときめく片づけの魔法』が海外でベストセラーになったり、国内でもミニマリストや断捨離がふたたび注目を集めている。どうせ捨てるのなら、不必要なものを買わないよう心がけるべきだ。

絶対に忘れ物をしない方法

必要十分生活』(たっく・著/大和書房・刊)は、「机の上の物をすべて持って移動する」方法について説明している。自宅の机の上にあるものをリュックに詰めこんで、出社したらすべて取り出して、中身をオフィスにある机の上に並べてから仕事をはじめるというものだ。

会社員である著者は、ノートパソコンやタブレットと共に電源ケーブルを持ち歩いている。オフィスや自宅に予備は置かない。電源ケーブルは、持ち歩くための各1本ずつしか所有していない。ノートは1冊だけ。ボールペンや万年筆も1本ずつ。故障したり使い切るまでは絶対に買わない。

この方法のメリットは2つある。ひとつは、毎日背負わなければならないため、リュックの中身をなるべく軽くしたいという発想になって、普段使いのものは本当に必要なものしか買わなくなることだ。

もうひとつのメリットは「机の上に何もない」ことが忘れ物のチェックになることだ。「机の上の物をすべて持ち運ぶ」ルールを守るようになってから、著者は忘れものをほとんどしなくなったという。

自宅トイレにスリッパは必要なのか?

「必要十分生活」とは、物がこれ以上増えると余計だし、これより少ないと生活に困る、という状態のことです。

(『必要十分生活』から引用)

著者は、自宅のトイレにスリッパは必要ないと考えている。なぜなら、毎日かならず便器や床をウェットティッシュでふいているので、汚いはずがないからだ。著者は確信しているようで、ほかの部屋とトイレを素足で行き来することに抵抗がないという。(ただし、来客のときにはエチケットとしてスリッパを置く)

本書内に言及はないが、自宅にあるトイレは洋式便器なのだろう。いまは男性も「座りション」をする時代なので、トイレの床が汚れることはめったにない。せいぜい、舞い降りた陰毛が落ちているくらいだ。むしろ「何ヶ月も洗っていないスリッパのほうが、よほど汚い」という著者の主張のほうが正しいように思える。

トイレ清掃は入浴前に済ませることにしているようだ。トイレに置く物を減らすために、便器用洗剤も消臭スプレーもない。毎日洗っているのでブラシでこするだけで十分だという。物が少なければ、そうじをしやすくなる。

炊飯器も洗濯機もいらない

とにかく徹底している。たとえば、著者の自宅には「炊飯器」がない。鍋で米を炊いているからだ。むかしは高級炊飯器を使っていたそうだが、あるときから鍋炊飯に切り替えたことによって「固定観念」を捨てることができたという。

たしかに炊飯器は日本人にとって最大級の「固定観念」であり、それをいったん捨て去ることによって「生活するうえで本当に必要なもの」とは何かを見直すきっかけになるのかもしれない。

 いわゆる白物家電の代表である洗濯機は一家の必需品、と私は思っていました。しかし、今の私の家には洗濯機がありません。

下着とタオルは、毎日手洗いなので、週末にシャツとズボンなど、手洗いでは大変なものだけをコインランドリーで洗濯しています。

(『必要十分生活』から引用)

洗濯機がない。これには驚いた。しかも、著者は独身ではない。奥さんと一緒に住んでいる。

「え? 奥さんがいるのに、米は鍋で炊けとか、トイレは素足で使えばいいとか、洗濯機じゃなくて手洗いを強制してるの? それって、夫がワガママすぎない?」

ここまで読んで、著者(夫)の独善性が気になった人がいるかもしれない。じつは、わたしも本書を読み進めながら「奥さんはイヤじゃないのかなー」と心配になった。しかし、最後まで読めば、それは杞憂だったことがわかる。

片づけ術や断捨離はパートナーを尊重しておこなう

著者は、スプレー缶を憎んでいる。むかし大量のスプレー缶を捨てるときに苦労したそうだ。たしかに、スプレー缶の処分はジュース缶と比べれば手間がかかる。ノズル部分を分解したり、底に穴をあけてガスを抜いたりなど。

だから、著者の自宅には「殺虫剤スプレー」も置かないようにしていた。

すべてのスプレー缶をやっと処分した直後に家でゴキブリが見つかってしまいました。ほとんどパニック状態の妻に「早く殺虫剤買ってきて!」と言われ、泣く泣くスーパーに殺虫剤を買いに行きました。缶タイプのものしかなくて、とても残念だったことを覚えています。

(『必要十分生活』から引用)

このエピソードから、著者はけっして「原理主義者」ではないことがわかる。同居している奥さんのことを尊重した「必要十分生活」を心がけているのだ。

例によって、浴室にはそれぞれ1種類ずつのシャンプやコンディショナーしか置いていないのだが、使用する銘柄は奥さんに合わせているという。他にも、キッチンのことについて著者は口を出さない。人生のパートナーである奥さんの縄張りについては「必要十分生活」を無理強いすることはないようだ。

(文:忌川タツヤ)

必要十分生活

著者:たっく(著)
出版社:大和書房
不要なものだらけで、うんざりしているあなたへ。洗面所に置くものは1日1回ルール、ペンは2本、プリンターは不要、バスタオルはいらない――30代男性の新ライフスタイル。

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