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修羅場に何を食べますか?

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みなさんは修羅場になったら、何を口にするだろうか。男女の修羅場のお話ではない、仕事の締切で時間に余裕がない時に何を食べるだろうか。私は最近それがマンネリになってきて、子ども達から文句が出てしまった。朝一番で鍋いっぱいにシチューかカレーを作り、それを昼も夜も食べるから飽きてしまったらしい。ということでレパートリーを増やすべく『漫画家さんの修羅場めし』(奥原まむ・著/リイド社・刊)というマンガを読んでみた。

お弁当だけでは飽きる!

修羅場なのだから、自分で作らず、近くのお弁当屋さんやスーパーで売っているお弁当を買ったり、ピザなどの出前を利用すればいいのでは? と良く言われる。もちろんそれも利用している。しかし修羅場というものは、1日では終わらないことも多い。私は長編小説や舞台の脚本など、長いものを書いている時は、意識をズラすと脳に溜まっているアイデアもどこかにズレてしまいそうなので、極力机の前から動かないようにしている。ひどい時はこの状態で1週間があっというまに経つこともある。

最初の日こそ「ごめんね、ママ忙しいから今日はお弁当で許してね」と言えば、子どもは「ワーイ! 何にしようかな。ハンバーグ弁当かな」などと喜ぶ。それは久しぶりにありつけるお弁当だからだ。しかし翌日も翌々日原稿が終わらず「ごめんね今日もお弁当でいい?」と聞けば、さすがに子どもたちもげんなりする。お弁当屋を別のところにしてもダメだ。3日もすると、誰かの手料理が恋しくなってしまうのだ。そして私自身も炊飯器で炊いたマイごはんが恋しくなってくる。なので修羅場なのにキッチンに立ってしまうのだ。

なぜ手料理がいいのか

でも『漫画家さんの修羅場めし』を読んでみて少しほっとした。漫画家さんの中にも、修羅場でも自ら料理をしている人がいたからだ。アシスタントが作ってくれる食事ではなく、やはり自分で料理を作りたくなってしまう人もいるようだ。小説家の林芙美子さんも、どんなに忙しくても自分で手料理を作ってらしたという。おふくろの味ならぬ、なぜか自分の味が恋しくなる。これはなぜなんだろう。ソウルフードみたいなものなのだろうか。私も自分が作ったものを食べると、パワーが漲るのを感じる。

昔、「気」の話を聞いたことがある。血流が体内を巡るように、気もまた体内を巡るのだと。そして気が停滞するとしんどくなってくるのだと。料理を作るというのは「気をこめる」ことなのだという。人は自分の「気」を料理という形で外に出し、再度食べて取り入れることで、それを循環させているのかもしれない。だからこそ大御所漫画家さんでさえも食事を作ろうとするのだろう。マンガの中ではさいとう・たかをさん、池田理代子さん、魚戸おさむさんら12人ものかたがたが、修羅場の時の食事を明かしてくれている。中にはこだわりのレシピも公開しているかたもいる。

ゴルゴと伝統料理

感動したのは、さいとう・たかをさんの修羅場めしの思い出だった。たかをさんの場合、お兄様がボルシチ風の煮込みを作ってくれたのだという。ボルシチはウクライナの伝統料理だ。そしてゴルゴ13はウクライナに出向いたことがある。ボルシチを召し上がりながらゴルゴを描かれていたこともあったのかもしれないと思うと、あまりにもカッコいいシチュエーションすぎて、胸が高鳴ってしまう。レシピに多めのニンニクを入れるとあるのも精がつきそうでいい。私も次の修羅場には、このボルシチ風煮込みを鍋いっぱいに作って、昼も夜も子ども達と食べながら、締切を撃破していこうと思う。

(文・内藤みか)

まんが家さんの修羅場めし

著者:奥原まむ(著)
出版社:リイド社
まんが家さんは締め切り前の修羅場に何を食べているのか!?新人漫画家、奥原まむが体当たり徹底取材!!有名まんが家さんの修羅場めしを大公開します!!さいとう・たかを、池田理代子、くるねこ大和、ラズウェル細木など盛りだくさんのまんが家陣です。

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