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女はなぜホストクラブに行くのか

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もう16年も、ホストクラブに寄っている。通っているのではない、私の場合、立ち寄っているという感じである。ひいきのホストがいるというわけではないけれど、たまたま繁華街にいて、誰かと話をしたくなったらふらっと行ってしまうのだ。16年もの間ホストクラブに足が向き続ける女なんて、あまりいないのではないだろうか。私が淋しい女であることは認める。そしてこの淋しさを埋める何かがホストクラブには、あるのだと思う。

ホストクラブで、なごむ!?

なごむためのホストクラブがあるという。会員制で、ホストはきらびやかなタイプではなく、癒し系を多く揃えているという。店名も「なごみクラブ」。老婦人やオカンタイプの熟女、悩める若いOLなど、そこにはさまざまな女性が癒しを求めて訪れる。あくまでも癒しが目的なので、高額なボトルの強要もない。ちなみにこれは実在のホストクラブではない。マンガ『なごみクラブ』(遠藤淑子・著/竹書房・刊)の設定である。

ホストクラブ通い歴16年の私だけれど、こうしたホストクラブは聞いたことはない。ほとんどの店には共通項がある。大きめの音量のユーロビートが流れ、シャンデリアが輝きを放ち、そしてボトルが入るたびに花園神社で熊手を買った時のような威勢のいいコールがかかる。そして指名したホストが隣に座って(指名していないホストは基本的に隣に座ることはない)甘い言葉を囁いてくれる……。これがホストクラブでの光景で、そこにはあまり、なごめる環境はない(このきらびやかさでこそなごめる人もいるのだろうけれど)。

コンセプトカフェとホストクラブ

『なごみクラブ』第1巻が出版されたのは2008年。2009年より、以前からあった執事カフェとはまた別のコンセプトイケメンカフェが流行りはじめる。原宿や池袋を中心に「ギャルソンカフェ」「メガネスーツカフェ」「BLカフェ」など、女子が好きそうなシチュエーションや格好で給仕をしてくれるカフェがあちこちにできた。「なごみクラブ」の、ゆるいホスト達は、これらのカフェのキャスト達と雰囲気が近い気がする。

コンセプトカフェの中でも、夜間営業するところは、お酒も出す。風営法の問題で店員が隣に座って接待するようなことはないけれど、ドリンクを運んできてくれた時などに軽い会話を楽しむことはできる。そしてなによりスタッフ達は、ホストのようにギラギラしておらず、ふんわりしていてなごめるのである。それもそのはず、彼らは時給で働いていてノルマ等もない。だからこそまったりとした会話を交わしてくれるのだ。

女がホストクラブに行く理由

私なりに感じているのは、ホストクラブというところは、女子力を競う場所でもあるということ。ヘアスタイルもきめ、ブランド品に身を包んだ綺麗な女性がホストに見送られてお帰りになる。まるでドラマのような光景がそこにある。視界にそれが入り、自分も少しは頑張らないとなと現実を突きつけられる。ホストとコミュニケーションしているだけではない緊張感がそこにはあるのだ。

それから女子力をキープする場所でもある。しばらく恋人がいない場合、甘いトークをする相手が不足してしまう。恋の駆け引きを忘れてしまいそうな時に、ホストクラブに行けば、一種の疑似恋愛を楽しむことができる。目と目を合わせ、微笑みを交わし、そしてLINEのアカウントを聞かれる。向こうは営業だけれど、そのやりとりで、自分の中の眠っていた女子も目覚めるというわけだ。最初は淋しくて店に入るのだけど、他の女性を見たり、ホストと駆け引きしているうちに、淋しがってる場合じゃないな、と気づかされ、元気が出てくるのである。

もちろんグチを聞いてもらいたくてホストクラブに行く女性もいる。ホストに身の上相談をしながら泣いている若い女性を見かけたこともある。若い男の子とお話すると若返るからと足繁く通う熟女もいる。目的は人それぞれだけれど共通しているのは「ホストとお話をしたい」というところなのだ。「なごみクラブ」のホスト達の情の深さはかなりのものだ。けれど彼らは優しすぎて客に強引な営業もしないため、営業中に閑古鳥が啼いていることもある。それでも一定のニーズはあり、店内では常になんらかのドラマが起きる。こんなアットホームなホストクラブもあっていいのかもしれない。

(文・内藤みか)

なごみクラブ(1)

著者:遠藤淑子
出版社:竹書房
ホストっぽくないホスト達がおもてなし。人情派ホストクラブ物語待望の第1巻!

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