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誰にも真似できない。それが真のプロフェッショナル

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どんな仕事でも一人前になるのは難しいものだ。会社に就職するのだって結構たいへんなことだし、会社に入ってからもきちんと仕事をこなせるようになって、一人前になるのに時間がかかる。

仕事がある程度こなせるようになれば一人前と呼ばれるが、プロフェッショナルになるにはさらに険しい道がある。

プロ野球で活躍できるのはごく一部

たとえばプロ野球選手。高校や大学、社会人といったアマチュアの世界から、プロ野球界に入れるのはわずか。仮に入団できたとしても、一軍で活躍できるのはさらに一握りの選手だけだ。

一軍登録されても、成績が悪ければ二軍に落とされる。成績不振や怪我などで活躍できなければ、トレードや自由契約、戦力外通告などを言い渡されることも。プロの世界は、常に厳しい現実と戦わなければならない。

現役最年長投手、山本昌

そんな厳しいプロ野球の世界で、稀有な存在が中日ドラゴンズの山本昌広投手、通称「山本昌」だ。1965年生まれの50歳。1983年にドラフト5位で中日ドラゴンズに入団し、ドラゴンズ一筋32年。もちろん現役最年長選手だ。

プロ野球選手の平均選手寿命は年々下がっており、約8年ほど。そう考えると、山本昌の選手寿命は驚異的ともいえる。しかも50歳になる今年も一軍の試合で先発勝利を挙げるなど、まだまだ第一線で活躍しているのだから、人間には限界がないのではないかとさえ思える。

匠の世界では、80歳、90歳で現役というプロフェッショナルな方もいらっしゃるが、スポーツの世界、それも肉体を酷使するプロ野球の世界でこれだけ長く現役で活躍しているのは、奇跡ともいえる。

フィジカルやメンタルのケアを入念に行っているのはもちろんなのだろうが、それだけ長い間プロ野球選手として活躍するためには、どんな心構えが必要なのだろうか。

自分の限界を作らない

盟友山崎武司氏(元プロ野球選手)との共著『進化』(あさ出版・刊)に以下のような記述がある。

 僕が伝えたいのは「自分で限界を作らないほうがいい」ということ。量をこなす事実を受け入れ、準備を怠らなければ何歳になっても身体は動く。

(『進化』より引用)

ベテランになると「今日はこれくらいでいいか」となりがちだ。しかし、山本昌は違う。若手と同じ練習量をこなし、自分で決めたトレーニングは毎日必ず行う。自分で「俺はこれくらいが限界」と決めず、目標を定めてそれに向けて万全の準備をする。

こういった姿勢は、ベテランになればなるほど薄れてしまい、なかなか真似のできるものではない。

また、山本昌は多趣味であることでも有名だ。世界クラスの腕前を持つラジコンや、クワガタ飼育などを行っていたが、現在は封印。野球を続けるために、好きなこともきっぱりやめるというのも一般人にはできないことだ。

誰も真似のできないことをやるのがプロ

一般に、プロフェッショナルは、「その世界で生計を立てている人」を指す。しかし僕は、プロフェッショナルであるということは「誰にも真似できないことをやる」ことではないかと思っている。

何かを身に付けるときは先人の真似から入るのがセオリーだ。しかし、先人がすごい人であればあるほど真似できない部分が多く、結局100%コピーはできない。つまり、その人にしかできない部分があり、それが強力な人こそプロフェッショナルなのだと思う。

山本昌でいえば、30年以上プロ野球の現役投手であるという点だ。これは真似しようにも真似できない。教えてもらってもできないだろう。ゆえに、プロフェッショナルなのだ。

山崎武司さんの思い出

『進化』で山本昌と共著の山崎武司も、プロフェッショナルだ。首脳陣とトラブルを起こし、オリックスと楽天で二度戦力外通告を受けつつも、その度に移籍して復帰。通算27年間現役で活躍。38歳で本塁打と打点の2冠王、41歳のシーズンで100打点という最年長記録もたたき出している。僕の定義で言えば、プロ中のプロだ。

僕は、現役を引退した山崎武司と仕事をしたことがある。とある企画で、野球チームの監督という役柄で出演していただいた。僕はカメラマンとして参加。いろいろなシチュエーションの写真を撮影するために、山崎武司にその都度ポーズを要求。その度に「こんな感じどう?」といって、自らさまざまなポーズを取ってくれた。

極めつけは、マウンドで乱闘シーン(もちろんやらせ)を撮影しようということになったとき。山崎武司は「乱闘ならまかせて!」と言うと、イキイキとした演技を披露。

さすが、現役時代に読売ジャイアンツの外国人投手ガルベスに右ストレートを放つなど、数々の乱闘経験者だからこそ。これもまたプロフェッショナルの仕事だと、爆笑と感動のなかシャッターを切り続けた。

昨今、真似だ真似じゃないと世間が騒がしいが、そんな次元の話が出てくる程度ではプロフェッショナルとは言えない。この二人のように、誰も真似のできない領域に達してこそ、真のプロフェッショナルと言えるのではないだろうか。

(文:三浦一紀)

進化(あさ出版電子書籍)

著者:山本昌(著) 山崎武司(著)
出版社:あさ出版
人が進化することに大切な要素は良きライバル!関わる多くの人である!『進化』「現役最年長」を更新し続ける2人が語る、「今なお進化し続ける理由」とは?“引き際”についても赤裸々に語った!◆担当編集者のコメント30歳を過ぎてから133勝、291ホームラン。30年目と27年目のシーズンに臨む、47歳と44歳。「現役最年長」を更新し続ける2人が語る、「今なお進化し続ける理由」とは?“引き際"についても赤裸々に語った!

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