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ソウルメイトとなる人の決定的要因は笑いのツボかもしれない

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相手が妻や夫であれ、彼女や彼氏であれ、笑いのツボが一緒であることはとても大切だと思う。いかなる形であっても、何かを面白いと思う感覚を共有するのは、自分と相手のかなり重要な部分を分かち合うことにほかならない。

テンダラーさんのラスベガス、ハリウッド公演

よしもとクリエイティブ・エージェンシー(大阪)所属、1994年結成の漫才コンビ、テンダラーさん(白川悟実さん、浜本広晃さん)が、2014年にラスベガスとハリウッドでライブを行った。このときの映像はYouTubeにもアップされている。つかみの部分こそ違うものの、音楽を軸にしたネタ本編は日本語版でのセリフをそのまま英訳したもので、展開もまったく同じだった。
アメリカのお笑いは、一人のコメディアンがステージ上でひたすらしゃべって笑いを取る〝スタンダップ・コメディ〟というスタイルが多い。1988年公開のハリウッド映画『パンチライン』(サリー・フィールド主演)のテーマもスタンダップ・コメディだった。ざっくり定義するなら、一人のコメディアンが観客席とのかけあいで笑いを生んでいくやり方ということになると思う。こうしたタイプの笑いに慣れているアメリカの観客にとって、二人のコメディアンが休むことなくしゃべり続け、時として観客も巻き込みながら笑いを生んでいくテンダラーさんの進行は目新しいようだった。

日米の笑いが重なる部分

コメディという言葉が宿す本質的なイメージはそれぞれの国で異なるだろうが、異なりながらもクロスオーバーする部分があるのも事実だ。例を挙げておこう。知り合いに50代のアメリカ人男性がいる。彼は『ドリフ大爆笑』や『8時だョ! 全員集合ゴールデンコレクション』といったDVDを毎週のように見ている。「何でそんなに好きなの?」と尋ねたら、「わかりやすい笑いだから」と答え、こう付け加えた。
「仕草とか表情、つまりボディーランゲージという要素が大きいから、言葉を正確に理解できなくても十分楽しめるし、笑える。ハリウッド映画でたとえれば『ポリスアカデミー』とか『裸のガンを持つ男』に似てるかな」
日米の笑いの感覚が重なる部分の例はこれだけではない。『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』で大人気だったコーナー『サイレント図書館』はそのまま〝Silent Library〟というタイトルに英訳され、MTVで一般視聴者参加型のゲームショーとして2009年1月から2012年5月まで放送された。

『サタデーナイトライブ』と『オレたちひょうきん族』

一番思い入れが強いお笑い番組は何か、と尋ねられたら、筆者は間違いなく『オレたちひょうきん族』だと答える。1981年から8年間続いたこの番組は、アメリカのNBCが1975年に放送を開始し、今年で41年目を迎えるライブ・コメディ番組『サタデーナイト・ライブ』をモデルにしたと言われている。ここで言っておきたいのは番組の関連性ではなく、ひょうきん族時代のアメリカ→日本という作り方の方向性が、『サイレント図書館』によって日本→アメリカに変わったのを目に見える形で確認できたという事実だ。

体を張った笑いのフィールドワーク

アメリカ→タンザニア→日本→スカンジナビア→パレスチナ→アマゾン→カナダというほぼ世界一周レベルのフィールドワークでそれぞれの国の笑いのツボを探る旅に出た二人の男がいる。ひとりはコロラド大学ボルダー校のマーケティング/心理学教授でありながら、ユーモアというものついて真摯な態度で研究を続け、自らスタンダップ・コメディとして地元のクラブのステージに立つ男。もうひとりは、、デンバーの地元紙および複数のウェブサイトを媒体に警官や公務員の汚職、銃社会の問題などきわめて硬派な話題ばかり追いかけてきたジャーナリスト。体を張りながら笑いに関する実験的検証を重ねていく二人の旅路が、まるでロードムービーのような趣の『世界〝笑いのツボ〟探し』という一冊にまとめられている。ただし、プロのパフォーマーという立場からのお笑い論が展開されるわけでも、心理学的アプローチによってユーモアの本質が分析されるわけでもない。

コメディはなぜこれほどにも多用なのか。育った環境や性別その他さまざまな要素によって、「何を面白いと感じるか」が違うのはなぜか。

(『世界〝笑いのツボ〟探し』より引用)

彼らの旅の出発点、そして彼らが知りたがり、追い求めたのはこういうことだ。ものごとを面白いと感じる理由をつまびらかにしていく過程は、爆笑が生み出す瞬間的な熱量を奪いがちで、明らかにしようとするもの自体がぼやけてしまいかねない。でも、あえてそうすることで気づけるものもあるはずだ。幸いにして、われわれ日本人はM-1やR-1、『キングオブコント』、『The MANZAI』などを通じ、さまざまなタイプの笑いを検証することができる。もう一度言っておく。ある人の笑いのツボを知ることは、その人の成り立ちのかなりコアな部分を知ることにつながると思うのだ。

(文:宇佐和通)

 

 

世界“笑いのツボ”探し

著者:ピーター・マグロウ ジョエル・ワーナー 柴田さとみ
出版社:CCCメディアハウス
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