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お金で幸せを買う方法

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私は、年下の男性に何かを買ってあげがちな女である。中学1年生の頃からすでにそうで、小学4年生の男の子に、キン肉マンの消しゴムを何個も買ってあげていた。彼にあげたらもちろん自分のお小遣いは減る。それなのに買ってしまう。男の子が本当に嬉しそうな笑顔で「ありがとう!」と言ってくれたら、それで私は幸せになれた。

貢ぐ女たちの理由

その癖はいまだに続いている。実は普段私自身が着ている洋服はコートも含め、80%以上が1000円以下なのだ。自分はフリマやオークションでゲットした安物で工夫して暮らしているというのに、昨冬、私は男の子にねだられ、14000円もするコートを買い与えてしまった。でも私は幸せだった。彼は、冬の間ずっと外にそのコートを出かけていた。彼の寒さを凌いであげられたことで、私の心に温もりが生まれたのだった。

周囲からは「男に貢ぐなんてもったいない。その分を自分に使いなさい」「女は男に払ってもらうもんだ」などと叱られ続けているけれど、どうしてもやめられない。親しい人がヨレヨレの服を着ていたら、そのまま見逃す自分こそが罪人のような気持ちになってしまうのである。もちろん誰にでも買い与えているわけではない。自分がこれぞと見込む才能を秘めた男性で、その彼が今、いろんな事情で必要な物を買うことができない状況にある場合、お財布がゆるくなってしまうのだ。

物を捨てるほど心が軽くなる!?

先日、とある本の内容に光明を見出した。アメリカで、なんとわずか10m²というタイニイハウスに住む夫妻の暮らしを綴った『スマートサイジング』である。当初は110m²の部屋に住んでいた彼らは、徐々にに住まいをコンパクトにしていった。そのためには、服や家電など、多くの品々との別れが不可欠で、それは辛い作業でもあっただろう。しかし著者のタミー・ストローベル氏は、捨てれば捨てるほど心が軽くなっていく自分に気づいたのだという。

ボランティア活動や寄付行為を行うと、脳にオキシトシンという物質がが分泌され、幸福度がアップするという。これは「ヘルパーズ・ハイ」と呼ばれている現象なのだそうだ。同様に、自分の信じることにお金を使う行為にも幸福感をもたらす可能性があるとされていて、それは「プロソーシャル・スペンディング」と言われている。そのくだりを読んで私は悟った。つまり私は、自分が才能を信じる若い男に服を寄付をすることで、幸福を感じてきたのだな、と。もしかして私がやっていたことって、間違っていなかったのかもしれない。

人のためにお金を使う幸せ

ブリティッシュ・コロンビア大学の調査によると、学生にお金を使わせた後の幸福指数を調べると、人のためにお金を使ったグループのほうが、自分のためにお金を使ったグループよりも明らかに高かった。また、ボーナスの3分の1を社会のために使った人と、社会のためには全く使わなかった人とでは、前者のほうが幸福度が20%も高かった。同大学のダン教授は「幸せかどうかは、ボーナスの額ではなく、その使い方で決まる」という名言を残している。

こうしたデータを読んで、私はしばらく考えた。実は私は使わなくなったパソコンやワープロは、DVを受けた女性達のためのシェルターに寄付している。外出もままならない彼女達は、シェルターを出た後のスキルアップのためにパソコンを必要としているからだ。街で買い取ってもらえればいくらかの現金になるかもしれない。でも、辛い思いをしている女性達のお役に立てているという悦びはかなり大きいので、そちらを選んだ。これが脳内物質によるものだとしたら、何台も寄贈し続けている自分にもうなずける。またあのふわふわっと心が軽くなり、あたりがぱっと明るくなるようなイイ気持ちを味わいたいからなのだ。

男に貢ぐ女性に対して厳しい言葉を浴びせる人は多い。けれど、何かを与えることで、誰かの役に立つし、生きている実感も得られるものなのだ。貢ぐ本人はわりと幸せなのだ、という事実が研究で見えてきたことは、私にとって大変喜ばしいことである。

(文・内藤みか)

 

スマートサイジング

著者:タミー・ストローベル(著) 増田沙奈(著)
出版社:駒草出版
消費大国アメリカの意識が変わり始めた。モノに囲まれた大きな生活を実現する為に借金で買い物を繰り返し、その返済のために働く人生にふと疑問を感じた著者。夫婦で生活をダウンサイジングし、わずか6畳の小さな家に行き着きます。お金を稼ぐことばかりを考えなくて済む適性サイズのその生活は、モノに支配されることなく、相手の事を思う夫婦の良い時間をもたらしてくれました。コミュニティと自然の中で、自分たちの価値観の上に生活を築けたことで、最小限のストレスと最大限の幸せを獲得出来たのです。 しあわせ感を取り戻そうとする夫婦の二人三脚の実践記録と、暮らしに根差した幸福論は、リーマンショック後の消費大国アメリカにあって 共感の輪を拡げ続けているシンプルライフの爽やかな指南書です。

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