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正論って何だろう? あの国会議員を通じて考えてみる

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筆者は人を見るのが好きだ。誰かを見て、「ああなれたらいいな」とか「あの人は面白いな」と思ったり、その人の背景を妄想したりする。
2012年から、とても気になってウォッチし続けている人物がいる。8月19日に初の写真集が発売されることになっている、大阪出身のあの女性衆議院議員だ。あ、違う違う。ご本人がおっしゃるには、決して写真集ではなく〝一般国民に国会議員の仕事をわかりやすく伝える〟ための媒体だ。

彼女の正論の枠組み

まず、この女性議員に対して批判や擁護をするつもりはまったくないことを断っておく。彼女の言動と、それに対する関係者やマスコミ、一般社会のレスポンスを通じて、それぞれの立場での正論というものについて考えてみたいだけだ。
ある人にとっての常識や正論が、ほかの人たちや世間一般のスタンダードと常に完全に合致するとは限らない。当たり前の話なのだが、これが完全に飛んでしまう瞬間、あるいは確信犯的に飛ばす瞬間は誰にでも訪れるようだ。議員は、とあるテレビ番組で次のように語った。
「よく考えてもらったら、政治家の文字ばかりの本って、基本的に誰も読まないんですよね」
どんなグループの人たちにどんなアピールをしようとして発した言葉かはわからない。「はぁ? 何言ってんの?」と思う人は当然いるだろう。むしろ、そう感じる人の方が大多数かもしれない。でも、いかにマイノリティであっても、こうした物言いを正論として受け容れる人が絶対にいないとは言い切れない。
文字ばかりの本では注目が集まらないから、ほかの要素―たとえばびしょ濡れの透けたワンピースを着ているカメラ目線の自分の写真―を盛り込んで、これまでの政治家本とちょっと異なるアプローチを強調したい。彼女の正論の枠組みの中では全然〝あり〟な言い方だし、やり方なのだ。

自分なりの正論ゆえのひと言で炎上

ご存知だろうが、彼女はちょっとした問題を起こし、かつて所属していた政党から除名された。本人と党首が並ぶ形で謝罪会見が行われたが、この席上でも党首が批判的な言葉をぶつける場面があり、それなりの処分が下されるであろう空気は誰でも感じ取ることができた。
後日彼女は、除名処分に対し「エモーショナルな感じで処分になってしまったことは残念」とコメントした。エモーショナルというワードは、彼女の正論観の枠組みではどんぴしゃなチョイスだったのだろう。
しかし、ネット上では近来稀に見る勢いでツッコミを入れられ、エモーショナルという言葉がツイッターのトレンド欄やYahoo! 急上昇ワードにも挙げられることになった。

それぞれの立場からの正論

彼女の正論に基づいて書かれた本の出版についての情報が漏れ始めると、各方面から正論の数々が噴出した。かつて所属していた政党の幹事長は「バカがやることは知りません。バカのやることですから」というきわめてストレートな表現で切り捨てた。
とある朝の情報番組の司会者は「安保法制でこれだけ世の中が議会に注目している時に、こんなものを出すところがズレている」とコメントした。もちろんこれも正論だ。

彼女とは昔会ったことがあるかもしれない

この議員を見ていて、ふと思った。〝彼女〟はどの学校のどのクラスにもいたし、おそらく今でもいるはずだ。金曜ドラマ『表参道高校合唱部!』で設定されている区分でたとえれば、圏外からいきなり1軍へ昇格を果たしたような感じだ。
何らかの理由で1軍入りを果たし、突如与えられたセルフイメージに追いつく間もなく、それまでの自分とはまったく無縁だった新しいアイデンティティと整合する正論的行動を強いられる。外で作られたイメージに自分を寄せていくプロセスだ。
正論について考えるひとつの基準として、『正論で争いを仕掛けてくる相手の言葉なんて真に受けるな!』という本を紹介したい。自分を中心に据えた正論のあり方が大テーマで、正論もどき=正論に見せかけた詭弁に騙されないテクニックにも触れている。以下に紹介するプロローグの文章の一部がわかりやすいと思う。

自分を大事にしている人ほど、相手の言葉に騙されません。
自分を大事にしている人ほど、相手の感情に惑わされません。
人の言葉を信じるより、自分を信じています。
自分が感じる「感じ方」を信じたほうが、はるかに満足すると知っているからです。

 (『正論で争いを仕掛けてくる相手の言葉なんて真に受けるな!』より引用)

正論というのは自分の中で培っていくものだ。外の世界で作られた正論ばかり気にするのは、毎日少しづつ自分を削っていくことに等しい。だから今日から、世間一般の正論もどきなんかに縛られないようにしよう。

(文:宇佐和通)

正論で争いを仕掛けてくる相手の言葉なんて真に受けるな!

著者:石原加受子(著)
出版社:ぱる出版
争っているときの相手の「正論もどき」に騙されるな! 相手の言葉を鵜呑みにするな! 誰もが気づかずに感情に反応し合って、争っている。だから、どんなに正しいと主張してもわかってもらえない。ほんとうは満足や幸福感を感じる感度の低さが元凶だった! 職場で、家庭で、人間関係で、あなたの周りの「厄介な人たち」から、自分を守るための生き方レッスン。累計100万部突破の人気心理カウンセラーが、平穏な日常を取り戻したいあなたへ贈る、相手に振り回されずに、自分らしく生きるヒント。

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