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家入レオと同郷の「カズマ」をみんなに知ってほしい

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わたしは間近で家入さんを見たことがある。家入といってもレオではなくカズマのほうだ。カズマのほうの家入とは誰かといえば家入一真(いえいり・かずま)のことであり、いまも成長を続けているIT企業の創業者だ。

家入さんをはじめて見たとき思ったこと

あれはたしか、福岡市内のカフェでおこなわれたイベントだった。アルコールのワンドリンク付きで、地元プログラマーが開発したWebサービスの講評を家入さんがおこなうという内容だ。そのあとに近所のBARで懇親会もおこなわれたので、とても楽しい夜だったことをよく覚えている。

家入さんの第一印象は「物静かな人」だった。イベントが始まる前に、取り巻きをはべらせることもなく、ひとり、自分の席でひっそりとビールを飲んでいたからだ。

当時のIT業界において、堀江貴文さんや藤田晋さんと並ぶほどの知名度をほこるITベンチャー成功者であるにもかかわらず、家入さんは顔見知りと慣れ合うわけでもなく、会場にいる誰とも目をあわせず、遠慮がちにうつむき加減でビールグラスに口をつけていたのが、いまでも印象に残っている。

やっぱり、人見知りなんだ!

本に書いてあったとおりだ、と思った。わたしは事前に『こんな僕でも社長になれた』(家入一真/著)を読んでおり、この2007年に出版された1冊目の自伝には、たびたび「人見知りがち」であるような記述が見受けられたからだ。

貧しい家庭に育ったカズマ少年は、中学時代に登校拒否児になり、ひきこもり生活を続けたあと、新聞配達員などを経験してから、22歳のときに起業する。当時の業界最安価格を打ち出したレンタルサーバー事業は、1ヶ月目から黒字を達成して、7年後には東証の新興企業向け取引市場であるジャスダックに29歳で最年少上場を果たした。

株式会社paperboy&co.(現・GMOペパボ株式会社)の主力事業であるロリポップは、虚業と見られがちなIT業界のなかでもきわめて堅実な事業であり、2015年現在もなお、数十万人の月額有料会員によって安定的な成長をつづけている。

億万長者から無一文の危機に

2008年の上場によって、創業者である家入さんの資産は数十億円にふくれあがった。大金持ちになった。家入さんがその後どうなったのかを知りたければ、2015年に出版された2冊目の自伝『我が逃走』(家入一真/著)を読めばいい。

結論から言うと、ほぼ無一文になった。かつて数十億円もあったはずの資産は跡形もなくなっていた。家入さんが、ほとんど使ってしまったのだ。

原因は、本業とは別におこなっていた飲食事業にあった。はじめたのは儲けるためではなく、家入さんの夢をかなえるためだった。理想のカフェを作りたかったという。

だが、数店舗の飲食店経営は、レンタルサーバー事業のようにはうまくいかなかった。毎月の赤字分を埋めようと、家入さんは運転資金を調達するために自分の預貯金や株の持ち出しを続けた。

日本を代表する連続起業家(シリアルアントレプレナー)のひとり

法的には、なんら問題がない行為だ。しかし、創業者社長が「個人的な事業の赤字を埋めるため」という理由で持ち株比率を減らし続けることは、株主や市場の投資家たちに誤ったメッセージを送ることになってしまう。

気づいたときには、すでに手遅れだった。話し合いの末に、家入さんは代表権を返上した。持ち株も肩書きも失うということは、第一線から退場するということだ。こうして、家入さんは「もう終わった人」と呼ばれ……たのも束の間で、かつての登校拒否少年は、見違えたかのように、さまざまな方面で反響を呼ぶような活動をおこなってみせた。

日本最大のクラウドファンディングサイト『CAMPFIRE』や、無料ネットショップ作成サイト『BASE』は、家入さんの出資によって始まり、いまも成長を続けている。なんといっても、2014年の東京都知事選挙に立候補したのには驚かされた。得票数は8万8千936票。立候補者16人中5位の結果だった。(ドクター中松とマック赤坂を合わせた得票数よりも多い)

ちなみに、web本棚サービス『ブクログ』は、家入さんが趣味ではじめたウェブサービスだ。2004年から細々と運営していたが、事業譲渡したのち、2015年現在では会員数90万人を突破するという人気サイトに成長している。家入一真は、まだ終わってもいないし、もうしばらくは過去の人にはならないだろう。

(文:忌川タツヤ)

我が逃走

著者:家入一真(著)
出版社:平凡社
ひきこもりから瞬く間に「IT長者」へ―驚愕のロングセラー『こんな僕でも社長になれた』を凌ぐ、その後の転落・逃亡・孤立を巡るどん底物語と、都知事選の裏側、そして“いま”を克明に描く衝撃作、満を持して刊行!! 堀江貴文さん、末井昭さん、の子さん熱く推薦の一冊!

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