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空港のこういう楽しみ方、いかがでしょう

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子どもの頃から、匂いフェチめいたところがある。特に好きだったのが靴屋さんと本屋さん。デパートの靴売り場や書籍売り場では満足できない。高校生の頃は新宿に行くと必ず新宿通りまで歩いて行って、有名な靴屋さんの中を一周して、その流れで紀伊國屋に行って、文庫と新書と洋書の匂いを嗅ぎ比べていた。

新東京国際空港を満たしていた匂い

19歳の春、生まれて初めて訪れた空港が成田だった。正式名称が「成田国際空港」でなく、まだ「新東京国際空港」だった時代だ。
スーツケースをカートに乗せて歩きながら、ターミナルビルの自動ドアが開いた瞬間、体験したことのない匂いに包まれた。開港3年目とは言え、まだ真新しいリノリュームをはじめとする建材。遠くにある淹れたてのコーヒー。すれ違いざまに感じる外国製に違いない香水。さまざまなものがさまざまに混じり合って、独特な空気を創り上げている。
全部まとめて何だったか尋ねられたら、今でも〝外国な匂い〟としか答えようがない。正確には言えないこの匂いが背景にあってこそ、胸が希望で膨らんだり、不安でいっぱいになったりするのだろう。
これ以来、空港も大好きになった。

空港の匂いに関するふたつのサイト

探してみると、あるものだ。空港の匂いに特化したサイトを2種類見つけた。まずは、日本在住の外国の方々に母国の空港の匂いについて尋ね、まとめた「母国の空港や街はどんなにおい? 日本在住の外国人に聞いてみた」
ほっとする匂い、意外すぎる匂い、イメージ通りの匂い。世界各地の空港がリストアップされ、それぞれの記述が特徴的で、実際に行って確かめたくなる。
もうひとつは、空港の匂いと音をからめたイメージを綴っていく掲示板「Aiport sounds and smells」こちらにも、〝プルメリアの花〟(ホノルル国際空港)、〝15メートルおきにあるハンバーガーチェーン店と床のワックス、あとはコーヒー〟(ルイ・アームストロング・ニューオルリーンズ国際空港)、〝スカンジナビアの空港は、木とホットドッグの匂い〟、〝朝の空港の空気に漂うジェット燃料は、まさに勝利の香り〟などさまざまな意見が寄せられている。

ヒースロー空港の〝世界を嗅ごう〟マシン

ヒースロー空港には、ロンドンにいながらにしてブラジル、日本、中国、タイ、そして南アフリカ5か国の匂いを体験できる〝セント・グローブ〟(香りの地球)というマシンが設置されている。2014年11月の時点で、すでに350万人の旅行者、空港利用者に対して各国を代表する香りを提供し、楽しませている。
セント・グローブが受け容れられた理由は何か。空港は旅が始まる場所であり、それと同時に終わる場所でもある。そして香りは訪れたことのない場所について想像し、かつ家に帰ってきたことを実感できる媒体ともなる。セント・グローブと空港はこれ以上ないベストマッチなのだ。
ヒースロー空港の最高責任者ノーマンド・ボアヴァン氏は次のように語る。「ヒースローはイギリス国内180拠点、海外28カ国をつなぎ、年間7200万人の旅行者が利用する巨大空港です。セント・グローブは、これから行く国のスニーク・プレビューを提供するマシンなのです」
ボアヴァンさん、本当にすばらしいアイデアだと思います。うらやましいです。

羽田の匂いを利く

今でも空港が大好きな筆者は、月一のペースで羽田空港国際ターミナルの匂いを利きに行く。夜の7時くらいまでに着くようにして、まずご飯を食べ、季節に関わらずキンキンに冷えた缶コーヒーを飲みながら人の流れをぼうっと見る。トラベルグッズの店を回って、最後に書店に寄って本を一冊買って帰ってくる。こういう空港の楽しみ方は、乗り鉄とか撮り鉄みたいな響きの言葉で表現しようとすれば〝嗅ぎ空〟とでも言うんだろうか。
『誰もが気になっていた空港の大疑問』は、2013年の夏に羽田空港の書店で見つけて買った。電子化されたのはとても嬉しい。内容は、あるある話から裏情報までバラエティに富んでいて、4~5時間くらいのフライトなら、じっくり読んでちょうど終わる分量。実際には旅立たない人にとっても、空港という特殊な施設の空気に思いを馳せるのにぴったりな一冊だ。これを読めば、きっと空港に行きたくなります。その際は、もちろん匂いを軸にお楽しみください。

(文:宇佐和通)

誰もが気になっていた空港の大疑問

著者:謎解きゼミナール
出版社:河出書房新社
空港にはどんな施設がある?空港の「コード」って何?LCCはなぜ格安運賃が可能?空港内でギャンブルができる場所があるって?!……など、一度は感じる疑問や、知られざる舞台ウラを解明する!

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