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謎多き生物、ウナギはどこで生まれるの? 

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「土用の丑の日」と言えば、ウナギ。一説によれば平賀源内が土用の丑の日にウナギを食べる習慣を広めたと言われていますが、真偽の程は確かではありません。

しかし、ウナギにはビタミンA、ビタミンBが豊富に含まれており、夏場に食べれば夏バテ防止や食欲減退防止の効果が期待できる食べ物であることは間違いありません。

ウナギは絶命危惧種

実はこのウナギ、絶滅危惧種に指定されています。ウナギは世界で19種類いますが、そのうちニホンウナギ、ボルネオウナギが絶滅危惧種に、そのほか12種類のウナギがレッドリストに登録されています。

「養殖しているから、食べるのには困らないでしょ」と思っているアナタ。実はそうでもないんですよ。ウナギの養殖は、ウナギの稚魚を捕まえてきて育てているだけ。つまり、自然界にウナギが少なくなると、養殖すらできなくなってしまうのです。

長年、ウナギの研究をしている塚本勝巳氏は、長年かけてウナギの謎を追い求めてきました。そしてとうとう、ウナギの卵の採取および産卵場所を特定することに成功したのです。

著書の『うなぎ 一億年の謎を追う』には、ウナギの一生についての記載があります。それによると、ウナギは海で産卵し、プレレプトセファルス、レプトセファルス、シラスウナギと成長。その後川に上り、クロコ、黃ウナギと成長し、銀ウナギとなって海に戻ります。

ウナギの産卵場所は西マリアナ海溝南部

しかし、ウナギがどこで産卵されているのかは、長年の謎でした。プレレプトセファルスやレプトセファルスは、海を調査した結果捕獲することはできるようになっていましたが、実際にどこで産卵しているのかまでは、突き止められなかったのです。

塚本氏がはじめてウナギ産卵場調査に参加したのは、1973年3月。そして卵を採取できたのが2009年5月。その期間、36年。1973年以前は、世界中でウナギのレプトセファルスが1匹しか採取されていませんでした。

ウナギの産卵場所は、西マリアナ海溝の南部にある3つの海山域。そして、産卵時期は新月の3日間だけ。それも6月と7月に限られているようです。

これには理由があります。

 まず、新月やその少し前の夜は空に月の光がほとんどなく真っ暗闇です。目で確認して獲物をつかまえる敵に狙われにくく、ウナギには安全です。

(『うなぎ 一億年の謎を追う』より引用)

ウナギは、卵の安全、自分たちの身の安全を考えて、新月に産卵をするよう、DNAにインプットされているのです。また、西マリアナ海溝南部の海山域を産卵場にしているのは、広い海ですんなり雄と雌が出逢えるようにするための「約束」なのです。ちょっとロマンチックですね。

ウナギ先輩に感謝して美味しくいただきましょう

ウナギは、約1億年前に地球上にその祖先が現れたと言われています。我々人類から見れば大先輩のいきもの。しかし、近年はウナギの消費量が増えたこと、そして河川汚染などの影響で天然ウナギの数が減っていることなどから、その将来が不安視されています。

今後研究が進み、人工産卵ができるようになれば、ウナギの完全養殖が実現するかもしれません。しかし、それまでの道のりはまだまだ遠そう。現時点では、「ウナギは数少ない貴重ないきもの」ということを肝に銘じ、大事に、美味しくいただくことが重要。

そして、もしウナギに興味が湧いたら、ウナギ関連の書籍を読んだり、実際に研究をしてみるというのもアリかもしれません。

最近はスーパーでも、牛丼チェーンでもウナギが1年中食べられるようになっています。手軽にウナギが食べられるのはありがたいことですが、実際には数が激減しているということも、頭に入れておいたほうがいいでしょう。

(文:三浦一紀)

うなぎ 一億年の謎を追う

著者:塚本勝巳
出版社:学研教育出版
土用の丑の日に、こぞって口にされるウナギ。実はとてもその謎の多いミステリアスな生き物だ。そして、ついに世界初の天然のウナギの卵が発見された!一方でレッドリストに掲載され絶滅の危機にもある。身近な生き物・食材から、科学的好奇心をくすぐる一冊!

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