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心にも体にも効くダンスは、いつ始めても遅くはない

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去年の夏あたりから、自宅近くの商店街にキッズ向けのダンススタジオが立て続けに3軒オープンした。生徒募集のチラシも週1回は必ずポストに入っていて、最寄りの駅では、夕方になると塾とスタジオそれぞれに向かう小学生の列が目立つ。
2011年から公立の小中高でストリートダンスが必修化されたこともあり、ピアノやスイミング、英会話に続いてダンス人気が急上昇し、習い事の新定番として定着しつつあるらしい。

10年前は、かなり踊り込んでました

実は筆者、10年ほど前ダンスにハマりまくった。通っていたジムで、ストリートダンスのクラスに出てみたのがきっかけだ。想像以上に体が動いたので、次はヒップホップをやってみた。さらにハウスダンスのクラスに出てみたら、これが特に楽しかった。こうなると、もう止まらない。ジムでのレッスンに加え、自宅やゲーセンでダンスダンスレボリューションを使った自主練をこなす生活がしばらく続いた。
そんな中、テレビで観た全日本ダンス選手権大会ラテンの部にインスパイアされてサルサを始め、そこそこ踊れるようになった頃、アルゼンチンタンゴを習うことを本気で考えた。
音に合わせて体を動かすのは、とにかく楽しい。快楽物質が分泌される音まで聞こえるような気がする。でも、それだけではない。医学分野でもさまざまなメリットが報告されている。

アイリッシュ・ダンスがパーキンソン病に効く?

ベニスの聖ヨハネ病院でパーキンソン病リハビリ課長を務める神経科医ダニエル・ヴォルペ博士は、2010年に観光旅行でアイルランドを訪れ、人口わずか126人のフィークルという村のパブで驚くべき光景を目の当たりにした。
決して軽くはないパーキンソン病の症状が明らかな男性が店に入ってきて、しばらく座っていた。具合が好さそうには見えない。しかし彼は、音楽がかかるとすっと立ち上がり、アイルランド特有の”リール”というダンスのステップを踏み始めた。
ヴォルペ博士によれば、陽気な旋律が繰り返されるパターンが、伝達機能不全が起きている脳幹神経節と捕捉運動野を迂回しながら、周期的な合図として脳の別の部位に直接伝わっている可能性があるようだ。

フラダンスで乳がんの術後体調管理

ハワイ大学のガン研究センターではガンの予防策、そして再発率を下げる方策を探るプロジェクトが実施されている。具体的な内容としては、乳がん摘出手術経験者に週2回フラダンスのレッスンを受けてもらって、体感的な変化について問診し、血液をはじめとする各種検査のデータと比較して、臨床治療に役立てていく方向でシステムの基礎作りが進められている。
半年後に行われた総合評価では、気持ちの面においても、数値で示されるデータにおいても、フラダンスの効果が認められた。このプロジェクトには、自らも乳がんから生還したフラダンス・インストラクター、テオマナ・マコロさんも参加している。マコロさんによれば、フラダンスは「心と体を幸せと喜びで満たしてくれるもの」にほかならない。

ハッピーホルモンで心身共に機能アップ

イギリスのダービー大学が発表した論文によれば、うつ病患者グループに9週間にわたってサルサのレッスンを受けてもらったところ、自発的な会話が増え、コミュニケーションスキルの飛躍的な向上が見られた。踊ることでエンドルフィンが分泌され、パートナーとの関係によって社会性が刺激され、さらにステップを踏むときの集中力、正確に踏めた時の嬉しさが、感情を司る脳領域に影響をもたらす。こうした要因がひとつにまとまって、思いどおりに体を動かすことができる自分に自信が生まれ、それが楽しい感情を増幅させる。
ここで紹介した3種類のセラピーに共通するのは、楽しいという思いが生み出す脳や体の変化だ。ダンスは人の心を楽しくし、病を癒す力を宿している。ならば、とりあえずチャレンジしてみてもいいでしょう。
いやいや、踊るなんてとても無理。そう思っている人にこそじっくり読み込んでいただきたいのが『ダンスの力』の、特に第3章(『踊れない人など存在しない』)。モーニング娘。やAKBのコリオグラファーとして著名なプロダンサー、夏まゆみさんは、音に合わせて体を動かすということの楽しさと、そうした行いとの向き合い方を淡々とした言葉で綴っていく。
出発点も、モチベーションを保つのも楽しさだ。何か始めるなら、楽しいことがいいに決まっている。そして、何かを始めるのに遅すぎることは決してない。ヒップホップでたとえるなら、今から始めれば、夏の終わり頃までに、見ている人がため息をつくようなランニングマンを決められるようになります。

(文:宇佐和通)

 

ダンスの力

著者:夏まゆみ
出版社:学研パブリッシング
人を育てるとは?ダンスが人にもたらすものとは?……。モーニング娘。AKB48を育てたダンスプロデューサー・夏まゆみ。彼女しか知らないアイドル育成の苦労話やさまざまな体験を通して、自身が見出した「だれしもが持つ可能性」について語る。

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