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なぜあなたはゴルフが上達しないのか?

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いくら練習してもゴルフがなかなか上達しないという人は少なくないだろう。自分がそうだと思う人は、自分の練習を振り返ってみて欲しい。いったいどんな練習をしているだろうか。雑誌に出ている、シード選手や人気ツアープロのレッスンを読んでは、あーでもない、こうでもないと試行錯誤したり、試してみては上手くいかなかったりなどの繰り返しになってはいないだろうか。

よく考えてみて欲しい。彼らは幼少のころから毎日何百球もボールを打ち、年間何百ラウンドもするような生活を十数年以上続けているような人間たちで、そんな彼らが、練習は週1回、ラウンドは月1回というようなアマチュアと感覚を共有するのは難しいのではないだろうか。また、彼らは言葉で表現するプロではなく、すべてのツアープロが自分の身体で感じている感覚を的確に言語化して他人に伝えられるわけではない(彼らの表現を分かりやすく“翻訳”しなければならないゴルフ雑誌の編集者やライターの力量という問題もはらんでいるのだが)。もちろん、いわゆるツアープロたちだって、プロアマ大会などでアマチュアのゴルフを見る機会というのは少なくないはずだが、多くの場合、「自分はこういう風にやると上手くいくんだよ」というのが、実は、本人は意識せずとも、膨大な練習量やスキルを前提としてしまっているために、アマチュアには役に立たないレッスンになってしまっているということが、少なからずあるだろう。

コーチやレッスンプロのレッスンがいいのか?

一方、プロゴルファーと呼ばれる職業の中には、試合で稼ぐ人以外にも、プロコーチやレッスンプロと呼ばれる人たちもいる。このような人たちは、多くのアマチュアゴルファーを実際に見てきていて、さまざまな症例に対する対処法の引き出しをたくさん持っている人が多く、また、人に教えることを仕事としているので、その伝え方も分かりやすく、腑に落ちるものが多い。やはりアマチュアの技量や練習時間に寄り添ったレッスンが展開できるのはこういった人たちなのだろう。

しかし、一部のコーチやレッスンプロを除き、ほとんどの場合ツアープロたちの方が知名度が高く、記事にした時に読者がありがたがるのも事実で、多くのゴルフ雑誌では、現在活躍しているツアープロのレッスン記事を主流にしているのが現状だ。ここにゴルフ雑誌が抱える一つのジレンマがあり、多くのアマチュアゴルファーたちがいくら練習しても上達せずより一層深みにはまっていってしまっている一因となっているのかもしれない。

アマチュアにとっても賞金王にとっても基本が重要

ところが、ツアープロとしても賞金王に輝くほどの実績を持ちつつ、アマチュア向けにも分かりやすいレッスン書『上手いゴルフ 賢いゴルフ』を著したのが、藤田寛之プロだ。プロスポーツの選手としては、必ずしも体格的・体力的に恵まれているとは言えないにもかかわらず、2012年には40歳を過ぎて賞金王を獲得した、工夫と努力の人だ。

本書で強調されているのは、徹底的に基本を大事にする姿勢だ。人より劣る体格をカバーするために、練習するのと同じくらいゴルフというスポーツを研究したのだろう。練習の多寡を問わない、これを大事にしないとダメだという基本中の基本が分かりやすく、理論的に解説されている。しかし、その基本中の基本を突き詰めたことによって、日本のゴルフ界の頂点にまでたどり着いたという圧倒的な事実が、本書の内容に文句のつけようのない説得力を持たせている。日本の賞金王にとって重要なことは、実は、月1ラウンドのアベレージゴルファーにとっても重要なのだということが、この本を読むととてもよく分かる。

道具が進化すればスイング理論も変わる

名クラブデザイナーとしてクラブメーカー「フォーティーン」を立ち上げた、故・竹林隆光さんは「クラブが変わればスイングが変わる」と言っていた。藤田の解説も、現代のクラブの性格を説明した上で、だからスイングはこうなるんだということを明確に示している。そこには、個人の感性や感覚の入り込む余地のない、理論的に正しい事実があるのみである。ゴルフ歴の長い、昔のレッスン理論を今でもまだそれが正しいと信じて実践している方は、ぜひ一度本書を手に取って頭の中身をアップデートしてもらいたい。

本書に書かれている内容は、90を切ったことがあるようなアマチュアなら、ほとんどが(実際にできているかは置いといて)知識としては知っているくらい基本的な内容となっている。ただ、一つ一つの項目に対して、丁寧に、理論的に解説しているため、アマチュアにもとても分かりやすく、役立つ内容になっている。けして技術的に難しいことが書かれているわけではない。

ただし、一点だけ多くのアマチュアが「あれ?」と思うだろうことが本書には書かれている。一般的には、「ドローボールを打つときにはクローズドスタンス、フェードボールを打つときにはオープンスタンス」と思われており、多くのゴルフ雑誌やレッスン書にも実際にそう書かれているのだが、藤田は本書の中で“フェードはクローズ、ドローはオープンスタンス、これはプロの世界では常識とされています”と断言する。そして、その理由もしっかりと書かれている。なぜそうなのかは、実際に本書を手に取ってご自身の目で確かめてほしい。

内容的にはとても平易で分かりやすいのだが、写真やイラストの点数はさほど多くなく、ゴルフ用語の解説もほとんどないので、レベル的にはまったくのゴルフ初心者というよりも、文章を読んでスイングをイメージできるくらいの、100切りから90切りのアベレージゴルファー向けと言える。そのくらいのレベルの人たちが、さらに上を目指すのに非常に役立つ内容となっている。そして、ここに書かれていることだけを徹底的に実践するだけでも、おそらくシングルハンデくらいまでは到達できるはずだ。

(文・芥川順哉)

藤田寛之 上手いゴルフ 賢いゴルフ

著者:藤田寛之
出版社:主婦の友社
2012年賞金王、藤田寛之。若くない、身長も高くない、パワーもない、だけど強い。肉体的には私たちアマチュアに一番近い男が教える強さの秘密。そこにはパワーにも勝る「上手さ」と「賢さ」がある! ! 日本を制した、安定したゴルフに必要な「フェード打法」の紹介からはじめ、ミスを減らすフェアウェイウッド、アイアンショットの解説。そして、アマチュアが一番知りたい! 藤田プロが一番得意とするアプローチやバンカーショットを中心としたショートゲーム、そして、スコアをまとめるコースマネージメント。今すぐスコアを2打、3打少なくするコツ、考え方を藤田プロが誰よりもわかりやすく教えます。

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