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ここまでやるか〜?それもニューヨークで

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レポーターが身体をはって何かにトライする番組がある。
例えば、「30日間、マクドナルドのハンバーガーだけで過ごす」とか、「寄生虫を飲み込んでダイエットする」とか、「無人島で生活してみる」等々。
見ていると、ついつい引き込まれて、チャンネルを替えるのを忘れる。
ただし、見るだけなら・・だ。
自分でやれと言われたら、尻込みしてしまう。
『聖書男』もそういった「トライしてみました」シリーズの一つだ。
ただし、かなり変わった類のトライである。
1年もの間、聖書の教えに忠実に従って生きてみるという実験なのだから。
それも、普通の家庭生活を行いながら・・。
さらに、ニューヨークで暮らしながら・・。

ちょっと変わった天才ライター

『聖書男』の著者・A.J.ジェイコブズはエスクァイア誌のシニア編集者であり、エンターテイメント・ウィークリーやニューヨーク・タイムズにも記事を書くライターである。
彼は何でも実際に自分でやってみて、その経験を原稿にしていく手法をとる。
これまでもブリタニカ百科事典を全巻、つまりAからZまで暗記したり、体にいいと言われることをすべて自分で試したりなど、自らの体や脳ミソを実験台として差し出し、突撃レポートと呼びたくなるような熱意溢れる著作をものにしてきた。

熱血男の実験とは?

熱血男ジェイコブズが今回選んだテーマは、聖書の教えに忠実に従って1年を過ごし、その毎日を日記として残すというものだ。
彼はニューヨークで暮らすユダヤ人だが、普段はユダヤ教徒の戒律を厳格に守っているわけではない。信仰心もなく、ただ、漫然と一家の約束事である宗教行事に参加する程度の宗教生活を送ってきた。
そんな彼がいきなり、聖書の教えを忠実に守ろうと決心し、宗教を頭で学ぶだけではなく、生活の中で実践し、聖書の奥底に秘められた奥義を究めようというのだから、果たして何が起こるのか?。

ミッション完了!

ちょっとやり過ぎだと感じるほど、ジェイコブズは毎日を聖書の教えに従って送る。
それも、修道院にこもるとか、荒野に隠遁するなど、聖なる環境に身を置くわけではない。
眠らない街ニューヨークで暮らし、妊娠した妻に気を使いながら、この奇妙な「修道生活」を実践して見せたのだ。
元々、聖書には、普遍的でなるほどと思えるものと、現代人には到底、実行不可能と感じるものが、記されているが、彼はすべてを受け入れようとする。
突撃レポートは時に体を痛めるものだが、ジェイコブズは心も体も痛めることはなく、ミッションを完了できたようだ。

聖書男にはなれなくても

私はこれでも一応、カトリックの信者なので、突撃レポートを興味深く読んだ。
けれども、意志が弱い私は、聖書男ならぬ聖書女にはなれそうもない。
それでも、日本には日めくりカレンダーというのがある。最近では、松岡修造のカレンダーが人気絶頂と聞く。
私も聖書男を見習い、聖書の一部を読み上げて、その通りに生活してみたいなと、ちょっとだけ思う。もし、1年間、やり遂げることができたら、「日めくりカレンダー女」として、新しいライフ・スタイルを味わうことができるかもしれない。
『聖書男』はそんな新しい世界を広げてくれる一冊である。

(文:三浦暁子)

聖書男

著者:A.J. ジェイコブズ(著) 阪田由美子(著)
出版社:CCCメディアハウス
現代のニューヨークで「聖書の教え」を“文字通り”実践してみたら……突飛な試みを1年間実践してみた非宗教的ユダヤ人の爆笑(?)体験日記。聖書の本当の意味を捜し求めるため、可能なかぎり聖書の言葉どおりに1年間暮らしてみた「不可知論者」の日記。モーセの十戒のような有名な戒律だけでなく、「罪人には石を投げよ」「生理中の女性に触れてはならない」「月の初めには角笛を吹きなさい」といった教えをなんとか実行していく著者の1年間がおかしくも真摯に綴られる。

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