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もし友達が彼氏から殴られていたら。

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離婚についての本を書いたことがあるからか、時々「彼氏や夫に殴られていて、つらい」という相談を受ける。そんな時、私はどうするか。友達や知り合いだったらLINEで合図のスタンプを作ることにしている。何の変哲もない可愛いスタンプ。でもそれが向こうから送られてきた時は「助けて!警察を呼んで!」という意味なのだ。こちらとしてはいつでも通報する準備はあるのだけれど、まだ一度もそのスタンプがやって来たことはない。

肉体的暴力と精神的暴力

面識のない人からの相談の場合は、DVについての無料電話相談を案内している。専門家に相談すれば、シェルターへの避難方法も含め、適切な対応をしていただけるからだ(ちなみに無料電話相談リストはこちら)。それでもなかなか電話相談すらしない人が多いし、相談したとしても彼から逃げ出す人は少ない。余程の命の危険を感じない限り、殴られながら関係を続けてしまうのだ。それには理由がある。

殴られる女性達は、殴る男性から肉体的暴力だけでなく言葉の暴力も受けているのである。殴られながら「お前はなんてダメな女なんだ」「お前は俺がいなければ生きていけないんだろ?」などと言い聞かされ、心の奥深くにその悪態が刻まれてしまい、違うと否定したいのにイザとなると「私は彼なしで生きていけない」と足が止まる。まるで宗教の洗脳のような状態になっているのだ。

男に追いつめられる女性たち

DVには実は5種類ある。「肉体的暴力」だけでなく「精神的暴力」「経済的暴力」「性的暴力」「社会的暴力」がある。暴言を吐くこと、お金を巻き上げること、望まないセックスを強要すること、友達と会うのを禁ずることも、暴力とみなされる。けれどそれを知らない人が多い。彼にお金を貢ぎ続けたり、言われるがままに友人との関係を絶ったりしてどんどん追いつめられている女性がどれほど多いことか。

これって損?女の子のトラブル、法で解決100』では、風俗求人情報誌「てぃんくる」での法律相談コーナーをまとめた本なので、女性のためにわかりやすく対処法が解説されている。その中には、こうした男性からの5種類のDVに当てはまる事例がいくつも載っている。たとえば「『殴れるもんなら殴ってみなさいよ!』と言ったら本当に彼に殴られちゃったけど向こうは無罪ですか」というような相談も(さすがに彼氏にももちろん問題があるとのこと)。

過失を責められるケースも

寄せられた相談を見るだけでも、悪い男に泣かされる女性が大勢いることがわかり、胸が痛くなる。「彼はお金がないと言ってたくせに多額の貯金があったけどお金を返してもらえるか」「カラオケだけと言われてラブホに行ったけどエッチされちゃった。レイプになりますか」「結婚するために退職したのに婚約破棄されました。慰謝料は?」など、その傷つきかたも様々だし慰謝料がもらえるかどうかもケースバイケース。

たとえばラブホテルは基本的にはセックスをする場所なので、そこに入った時点でまったくその気がなかったと立証することが難しくなってしまうのだという。不倫の問題でもそうで「彼が既婚者だとあとで知りました。ヒドイ!」と訴えたところで、彼の家に行ったことがないなど不審な点がいくつもあるのに、あなたなぜ気づかなかったんですか、と逆に当人の過失を責められ、場合によっては彼の奥さんから慰謝料を請求されることもあると聞いたことがある。法がすべてを守ってくれるわけではないので、悔しいけれど女性側も普段から充分な警戒が必要なのだ。

暴力通報のタイミング

これって損?女の子のトラブル、法で解決100』には、「友達が彼氏に殴られてるみたい。どうしたらいいの?」というような相談も載っていた。殴られる女性も辛いだろうけれど、アザが増えていくのを見ている友達側も辛いのだ。かといって、凶悪な彼氏に直談判するのも危険だし……。そんな時は速やかに通報するのがいいようだ。

「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(いわゆるDV防止法)には「配偶者からの暴力を受けているものを発見した者は、配偶者暴力支援センター又は警察官に通報するよう努めなければならない(第6条)」とあるそうだ。彼氏の場合は配偶者とは少し違うけれど、暴力を見逃すわけにはいかない。匿名で通報することもできるので、私も友達から助けてスタンプが来た際には迷わず通報するつもりだ。誰から通報されたかわからなければ、彼氏は近隣の住人が物音で怪しんで知らせたと思うだろうし、むしろそのほうが暴力抑制効果はあるかもしれない。

(文・内藤みか)

 

これって損?女の子のトラブル、法で解決100

著者:後藤邦春(著)
出版社名: しょういん
別れ話がこじれて、グーで殴られた! たしかに「殴れば!」とは言ったけど…。 突然のアクシデント、日常のトラブル、 お金にシゴトに男と女。 女の子を守る、くらしの「なるほど!」、 後藤弁護士がズバリお答えQ&A100問

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