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成功するために今日から始める29の課題

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「有名になりたい」「人もうらやむような成功を収めたい」「自分にしかできない何かを成し遂げたい」。多くの人は、多かれ少なかれこのような夢や願望を持っているのではないだろうか。しかし一方で、そんな夢の実現や成功に向けて、具体的な何かをしているわけでもなく、ただ漫然と日々の生活に忙殺されてしまっている人がほとんどなのではないだろうか。

……と、昨今のライフハック系の記事にありがちな“釣りタイトル”から始めてしまったが、水野敬也の出世作となった『夢をかなえるゾウ』は、そんな、ただ何となく成功したいとか、今の自分をとにかく変えたいというような人たちに向けて書かれた、小説の体をした自己啓発書だ。

変わりたいなら“意識”ではなく“具体的な何か”を変える

主人公は、現状の自分に不満を持ち、変わりたい、成功したいと願うが、でも何をしていいのか分からないという、まさにどこにでもいそうな若者だ。そこに、ゾウの姿をしたインドの神様「ガネーシャ」が現れ、自分の与える“課題”をこなすことで、その夢が実現されるという。

成功するための課題、夢を実現するための課題と聞くと、一見難しく感じるかもしれない。なかには難しいと感じられるものもあるが、それらの多くはとても簡単で、今すぐにでも始められる単純なことばかりだ。だが、「変わりたい」「成功したい」と思う多くの人が陥る落とし穴が、“意識”だけを変えようとすることだ。

本気で変わろ思たら、意識を変えようとしたらあかん。意識やのうて『具体的な何か』を変えなあかん

(『夢をかなえるゾウ』より引用)

とガネーシャはいい、具体的な行動を“課題”として挙げていく。順番に見ていくと、

・靴をみがく

・コンビニでお釣りを募金する

・食事を腹八分におさえる

・人が欲しがっているものを先取りする

・会った人を笑わせる

・トイレ掃除をする

・まっすぐ帰宅する

・その日頑張れた自分をホメる

・一日何かをやめてみる

・決めたことを続けるための環境を作る

……と、こういった内容の“課題”が29個出てきて、なかには「いったい何のため?」と思われるようなものも含まれているが、なぜそれをすることが成功に結び付くのかといったことが語られながら物語が進行していく。さすがにここで全29個を紹介するのは憚られるので、興味を持った人はぜひ本書を手に取ってみて欲しい。

お金持ちになるために必要な考え方

「他人を幸せにすればするほど、お金持ちになれる」とは、よく言われる言葉だ。つまり、多くの人にとって役に立つ商品を開発したり、多くの人が楽しんだり共感したりするような作品を世に出したりすれば、それは、それだけ多くの人が買い求めることになり、多くの人に幸せを与えたことになるといった文脈で使われる。しかし、多くの人が漠然と考える「成功したい」「お金持ちになりたい」といった願望は、自分主体の考え方であり、このような考え方の先には成功はないというのが本書の考え方だ。人の役に立つことや人から感謝されることをしていたら、自然と成功や夢の実現に向かうというのが、本書の基本的な立場だ。本書の後半に、そのような考え方を端的にまとめたガネーシャの言葉があるので引用しておこう。

自分らは、お金も、名声も、地位も、名誉も、自分で手に入れる思てるかも分からんけど、ちゃうで。むしろ逆やで。お金は他人がお前にくれるもんやろ。名声は、他人がお前を認めたからくれるもんやろ。全部、他人がお前に与えてくれるもんなんや

(『夢をかなえるゾウ』より引用)

偉人たちのエピソードが満載

ところで、こういった自己啓発書の類は、説教じみた文章になりがちだが、そこはさすが水野敬也。処女作『ウケる技術』やDVD『温厚な上司の怒らせ方』、自身のブログ(ウケる日記)などを見ても分かる通り、とてもエンターテインメント性の高い作家であり、本書でも、なぜか流ちょうな関西弁を操るインドの神様ガネーシャと主人公の軽妙なやり取りは、肩ひじを張ることなく、スッと読み進むことができる。内容自体は全編ガネーシャによる関西弁の“説教”そのものなのだが、時に荒唐無稽なガネーシャの予測不可能な言動におかしみを感じながら読めるのだ。

また、この本の説得力を高めているのは、作中に多数登場する、偉人たちのエピソードだ。「偉人の伝記を読むことが好き」という水野ならではなのだが、作中では、釈迦から、シェイクスピア、エジソン、ライト兄弟、カーネル・サンダース、ピーター・ドラッカー、スティーブ・ジョブズ、マイケル・ジョーダン、手塚治虫、松下幸之助、本多宗一郎、イチロー……などなど、ありとあらゆるジャンルの偉人達40人以上のエピソードが、ガネーシャによって語られる(作中では、それらの多くの偉人たちを“コーチ”して、偉人として成功させたのはガネーシャだということになっている)。

巻末には、ガネーシャ名言集として一つひとつの課題と、また作中に登場する偉人の索引がついているので、折に触れ振り返るにも役立つようになっている。

自己啓発書としても、偉人たちのウンチクを仕入れるための本としても、純粋なエンターテインメントとしても楽しめる本書、200万部以上も売れた、今さらここで紹介するのもどうかと思う大ベストセラーだが、まだ読んでいない人が1億人以上もいるということで、未読の方にはぜひオススメしたい。

(文・芥川順哉)

夢をかなえるゾウ

著者:水野敬也
出版社:ミズノオフィス
200万部を突破したベストセラー。「成功法則書を読んでも人が成功しないのはなぜか?」この疑問に対する1つの解答を用意したのが本書です。 主人公は「人生を変えよう」と思っているけど、何も変えられない普通のサラリーマン。そこへある日突然、ガネーシャというゾウの姿をした神様が現れ、主人公の家にニートとして住みつき、ゲームをしては寝るだけの怠惰極まりない生活を始めます。 しかしガネーシャは自信満々にこう言います。「今からワシが出す簡単な課題さえこなしていけば、お前は確実に成功する――」。

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