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山咲千里に教わる贅沢の作法

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今から13年前。
女優であり、ファッションにも鋭い指摘を繰り広げ、さらにはフィニッシングスクールの講師までつとめていた山咲千里が、1冊の本を出した。それがこの『贅沢な悩み』だ。
それまでも数々の本を著し、多彩な活動で知られていた方ではあった。『美肌』、『だから私は太らない』などベストセラーも多いが、この本もよく売れ、累計5万部を記録したという。それだけ、彼女の魅力に関心を持ち、彼女に憧れていた人が多かったのだろう。
そして、今も、山咲千里は歩み続けている。50歳を越えても、その美しさにかげりはない。最近、出版されたばかりの『パリのカフェの最前列に若い女性は座れない』の表紙にも、驚くほど美しいアップの写真が掲載されている。頑張っていれば、私たちもずっと綺麗でいられるのではないかという夢を持ちたくなるような容姿、そして、生き方を保っているのだ。
だからこそ、13年後の今、『贅沢な悩み』が電子書籍化され、再び脚光を浴びているに違いない

贅沢をするのは大変だが、良い贅沢者になるのはもっと大変だ

何年か前、あるお金持ちのパーティに招かれたことがある。主催者自らが歌い、参加者が思いきり踊りと、楽しいパーティだったが、お友達のスピーチが一番、印象に残っている。
開口一番、彼はこう言った。
「お金持ちになるのは、それだけでとても大変なことです。けれども、良いお金持ちになるのはもっともっと大変です。私はお金持ちには悪いお金持ちと良いお金持ちがいると思っていますが、彼はなるだけでも難しいお金持ちになっただけでなく、良いお金持ちになったヒトなのです」と。
この本を読んでいるとき、そのスピーチが蘇ってきて、私は何度も、ううむ、なるほど、と、うなってしまった。
山咲千里は、贅沢をするだけの力を持っているだけではなく、良い贅沢をする術を知っていると思ったからだ。

良い贅沢者になるには?

山咲千里は特異な言葉使いをする方でもある。たとえば、綺麗をカタカナで表し「キレイの魔術」と言ったかと思うと、美しい肌を作るためのスキンケアを「美肌」と呼んだりする。その独特な表現方法は、この本にも表れていて、最初から、えっ!という言葉を私たちにぶつけてくる。

贅沢(ラグジュアリー)はお金がないときこそ意味がある

(「贅沢な悩み」より引用)

そうなの?
贅沢はお金がなくてもできるの?
そもそも贅沢とはラグジュアリーってことなのね?
数々の疑問が浮かんでは消える。こうして、読者を悩ませ、考えさせ、フムフムと納得させるのが、彼女の魔術なのだ。

贅沢な教え

彼女を師と仰ぎたくなる読者に、さらに様々な教えが披露される。
高級レストランでBGMを排除する傾向があるのは、ディナー中は男女の会話が各テーブルからさざ波のように混ざり合う状態が、既に音楽になっているからだと諭す。とある有名シェフの言葉だというが、確かに、贅沢な時を過ごす男女には、音のないレストランがお似合いだ。
さらにバッグについても、なるほどねと思う教えがあった。
贅沢な女性になりたかったら、パーティでは小さなバッグが似合う女になりなさい、と。
ここを読んで私は冷や汗が出た。私はとにかく荷物が多く、バッグもでかい。

山咲千里ならできること

パーティで、さりげなく注意されたこともある。
「暁子さん、あなた、どうしてそんなに大きなバッグ持ってるの?一体、何が入っているの?」と、尋ねられたのだ。憧れの女性の一言に、私は焦りながら、答えた。
「あ、あのぅ、携帯電話に、財布に、カードー入れに、ペンケースに、それから、老眼鏡に、鍵の束。あと、一応、エッセイストですからノート、そんでもって、靴擦れしたときのためにバンドエイド、頭痛薬も持ってます」。
その女性は「うふふ」と、しとやかに笑ったが、ふと見ると、彼女の手には掌でかくれてしまいそうな繊細なバッグしかない。
「中身はなんですか?」と、おそるおそる聞くと、「カードよ。カードが一枚」
ひぇーーーーっ。かっこいい。
私にはおそらく一生できないだろうが、山咲千里ならできる。いや、もうしているかもしれない。
この本にはそうした優れた知恵が満載だ。
著者自身の手による美しく贅沢なイラストが章ごとに設けてあるのも楽しい。
良い贅沢者になるために必要な、山咲千里による贅沢な教え、あなたも満喫してみてはいかがでしょう。

(文:三浦暁子)

贅沢な悩み

著者:山咲千里(著)
出版社:PHP研究所
「お金を使った贅沢」は、お金さえあれば誰にだってできる。誰かの真似をして高級品を買い占めることも、人より高い物を買って一時の優越感に浸ることも……。しかし、その優越感はいつまでも続かず、次々と新たな浪費を繰り返すことになるだろう。「本物の贅沢」とは、ゴージャスにお金をかけることではなく、身近なものから宝物を見つけて、心豊かに生活すること。「本物の贅沢者」は、他人から見ればどんなに小さなガラクタであっても、「これが好き!」と思った瞬間、それを宝物に変えることのできるパワーを持っている。時には香りが言葉よりもダイレクトに心に響く存在となったり、安いシャンパンでも泡を観賞して楽しめたりする。さらには恋愛の倦怠期でさえ、自分自身のレベルアップの時間として使えるようになる……。本書は、贅沢のほんとうの楽しさ、すばらしさを伝える一冊!

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