ハウツーが満載のコラム
文字サイズを変更する

無料で一軒家を手に入れて暮らす方法

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

総務省統計局の調査によると日本全国に空き家は820万戸もあるという。
今後、高齢化や人口減少などでますますその数は増えると予測されている。人口は便利な都市部に集中し、別荘地など交通の便が悪い不便なエリアで空き家が発生している。

そんな中、空き家を無料で譲り受け、暮らし始める若者が出てきている。場所は景色が美しいことで知られる広島県尾道。そこにはうらやましくなるような無料一戸建てライフが待っているという。

タダで住まいが得られたらいいのに。

大学生だった1990年頃、私は東京郊外の学生寮に住んでいた。2人部屋か4人部屋しかなかったので、プライベートはほとんどなく、寮生たちの憧れは、ひとり暮らしだった。
ある日、とある男子学生がこうつぶやいた。
「誰か僕に使ってない倉庫を貸してくれないかな。そしたらそこで暮らすのに」

私は驚いた。ワンルームの家賃ですら払えないのに、倉庫だなんてとんでもない、と。でも彼はこう言った。
「探せばどこかにあると思うんだ。昔工場だったけれど、もう閉鎖されて使われていないところとか。そこを管理しているのは、きっと年金暮らしをしているおばあさんとかで、いいよいいよ、使ってないからあんたタダで使いなさいって、言ってくれるんじゃないかな」

結局彼は倉庫探しをする間もなく、可愛い女の子と恋仲になり、彼女の部屋で暮らすようになったのでこの話は立ち消えになった。でも20年以上経った今、あの時の彼の言葉が現実になりつつある。

尾道での無償空き家譲渡

0円で空き家をもらって東京脱出!』は、漫画家の著者・つるけんたろうさんが、広島県尾道に移住するコミックエッセイである。尾道といえば『東京物語』を始め、映画にもたびたび登場する、坂と路地、そして海がある風光明媚な場所として有名だ。なんと著者はその尾道のレトロな住宅を持ち主から無料で譲り受けたというのだ。しかも、譲ってくれたかたは知り合いではないという。

なぜこのようなありえないようなことが起きたのか。それは尾道の地形が関係している。入り組んだ地形のため、現在の建築基準法では家を立て替えることができない地域が多く、かといって取り壊すのにもお金がかかる、ということで放置されている空き家が500軒以上もあるのだという。

空き家再生プロジェクトとその仲間

尾道の美しさに魅入られ、空き家問題を知り、無料もしくは格安で使われていない家屋を譲り受け、暮らし始める『尾道空き家再生プロジェクト』。つるさんもこのメンバーに助言を受けながら空き家を修繕し、居住するようになった。自分で壁を塗り直すなど、作業は大変そうだけれど、好きなように家を作っていける楽しさに満ちあふれている。窓からは海が見下ろせるという絶好のロケーションなのも羨ましい。

でも何より羨ましいのは、プロジェクトを通して知り合った仲間達との絆。引っ越しをする者があればそれを手伝い、家の修繕をするものがあれば手を貸す。もしかしたら昔の日本のムラ社会では当たり前のように行われていたかもしれない助け合いの精神がそこには描かれていた。同じ地で共に暮らす同世代の仲間達。家族のような一体感がとても素敵だった。

空き家の無償譲渡は東京でも

こうした空き家の無償譲渡があるのは尾道だけではない。運やご縁があればそういう機会に巡り会う可能性はある。自治体が運営する「空き家バンク」には0円の空き家が登録されていることもある。実は東京都でも住宅の無償譲渡の募集があった。奥多摩町が田舎暮らし支援として一戸建てを斡旋している。家賃は無料、さらに15年続けて住めば土地と住宅の譲渡を受けられる。東京都内の一戸建ての持ち主となれるのだ。

今後各地で空き家の無償提供が増えることが予想される。築年数が経った家なのだから、耐震補強などある程度の手入れが必要かもしれない。けれど若い世代を常に悩ませる家賃という負担から解放されることは大きい。住んでみたい地域があるのなら、賃貸物件を探す前に、その辺りに空き家があるかどうか、調べてみるのもいいかもしれない。

(文・内藤みか)

0円で空き家をもらって東京脱出!

著者: つるけんたろう
出版社: 朝日新聞出版
「過疎の地域へ飛び込む若者が増えている」(『里山資本主義』より)を地で行く30代漫画家が、尾道での移住生活をリアルに描いたコミックエッセイ。今も年収は相変わらず200万円以下。でも東京時代より人間関係も生活もずっと豊か!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

関連記事