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結婚するから離婚する。それでも結婚する私たち。

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1位:沖縄、2位:北海道、3位:大阪

これ、一体何のランキングだかお分かりだろうか?
その答えは、「離婚率の高い都道府県」。4位以下、宮崎、福岡、和歌山と続く。

このランキングが意味するもの、いったいなんだろう?

とある公園で出会った女性の話

私が、現在の地域に引っ越してきてまもなくのこと。息子を公園で遊ばせていると、同じくらいの女の子を連れた女性がやってきた。
なんとなく同じ遊具で遊ばせているうちに、なんとなく世間話をはじめ、同じ母親同士、共感できる話題で盛り上がってきた頃。女性の携帯電話が鳴った。即座に出る女性。盗み聞きをするわけではないが、どうしても会話が耳に入ってくる。受話器から漏れ聞こえてくるのは、男性の声。にこやかな表情の女性。ああ、旦那さんからの電話なんだな、仕事の合間に連絡してくるなんて、素敵。
そんなことを考えていたら、「そう、◯◯公園。まだいるよ。」と伝え電話を切る女性。どうやら、旦那さんがここにやってくるらしい。
話しやすく外見も可愛らしい女性だったので、初対面ながら、どんな旦那さんが登場するんだろう、と少しドキドキしながらそのときを待った。

ほどなくして、一台の軽自動車がやってきた。中から降りてきたのは、少し若めの男性。勝手に抱いていた旦那さんのイメージとは違う。
はにかみながら女性に駆け寄る男性。待ち構えていた女性。でも何故か、近くで遊んでいる子どもは男性に寄ってこない。むしろ、見ないふりをしているよう。あれ、何かがおかしい。どう考えても、夫婦じゃない…もしかしたら、いや、間違いなく「密会現場」だ!

ちょっと衝撃的な出来事に驚いた私は、出来たばかりの友達に「今日、こんな場面に遭遇しちゃって!」と興奮気味に報告すると、その友人は驚きもせず一言。「このあたり、離婚率高いからね~。珍しくないことだよ!」と。そんな私が住んでいるのは、離婚率第6位の和歌山県だ。

離婚率が高い都道府県、その理由は県民性?

いまや、3組に1組が離婚しているといわれる日本。およそ2秒に1組が離婚しているという統計もあり、現代においてはまったく珍しいことではない。事実、私の友人知人にも、離婚経験者は多い。
それにしても、離婚率が明らかに高い都道府県と、そうでない都道府県。そこに何か理由があるのだろうか? なぜ、和歌山は離婚が多いのだろう? 友人は「田舎で遊び場があんまりないから、そういう男女の恋愛に走りがちなんじゃない?」と言っていたけれど。

ちなみに、離婚率が高いトップ3の県は、いずれも大らかで楽観的、離婚率が低い県トップ3(1位:新潟、2位:秋田、3位:山形)は雪深く、コツコツと努力する堅実的で真面目、と県民性や土地柄を理由に挙げる説も耳にする。県民性…もちろん全ケースが当てはまるわけではないが、なんらかの傾向はあるのだろうか。

北海道に離婚が多い原因を探った一冊

そんなとき、離婚率第2位の北海道について、その理由を追求した本と出会った。我孫子晴美著「離婚する女たち 北海道の女に見る別れとは」。結婚も離婚も未経験の著者が、ひょんなことから北海道の離婚の多さ、そして離婚した女性たちの生き方などをまとめることになったドキュメンタリー。本書には、離婚を経験した女性たちの、それぞれのストーリーが赤裸々に描かれている。夫の浮気が原因で離婚した者、相手の家族の借金に苦しめられた末に離婚した者、自らが他の男性を好きになってしまい離婚に踏み切った者……。理由は様々だが、どの女性も離婚後の方が自分らしく、輝いているように見受けられる。そしてまた、女性の立場からだけではなく、離婚した男性、父子家庭、離婚後再婚した人々など、実に幅広いケースを取材をし、北海道の離婚理由から現在の日本全体の離婚事情を浮き彫りにしている書だ。

巷で言われる「北海道の女は強いから離婚が多い」という説の真意、北海道の歴史から紐解けること、そして「高い離婚率の記録の陰に、男も女もゼロから始める風通しのいい関係がひそんでいるという事実」まで。自身も北海道出身の我孫子氏が結論づけている「北海道で離婚が多い理由」は、なるほど……と納得させられるものばかり。離婚経験者もそうでない者も、一読の価値がある書だ。

離婚は、死んだ結婚を解消する秘策

それにしても、人はなぜ離婚するのか。いや、人はそもそも何故、結婚するのか。結婚しなければ離婚は生じない。この人!と心に決めた人と一生を添い遂げようと決意して結婚したのに。誰も離婚することを想定して結婚などしないのに。おそらく結論が出ない疑問を悶々と考えている私に、本書の終盤に述べられた次の言葉が刺さった。

1969年、イギリスの離婚改正法のために開かれた法律委員会の席上で述べられた、次の言葉を最後に記しておこう。
「離婚は『死んだ結婚』に威厳をもって解消する方法を与えることによって、結婚の制度を支持することになろう』」
「離婚する女たち」より引用

結婚が、その後生きたものになるか、死んだものになるかは、当の本人たちにもわからない。できれば、輝き続けたい、生き続けたい。でも、もしも死んだような結婚になってしまったとしたら…離婚という選択肢は、一見、これから結婚を迎える若者たちに暗い影を落とすようでいて、実は、より結婚という制度を推奨する、有り難い救済策なのかもしれない。

(文・水谷 花楓)

 

 

離婚する女たち

著者:我孫子晴美
出版社:亜璃西社
誰も離婚しようとして結婚するわけではない。どうして離婚という方法をとったのか、北海道の女たちは離婚をどのようにとらえているか。まだ結婚してない人も、もう離婚したい人も、まだまだ離婚できない人も必読の離婚バイブル。

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