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「古文」の苦手意識はマンガで克服できるかもしれない

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学生時代に「古文」の授業がありましたが、苦手科目のひとつでした。
「歴史」の授業のときにも、鎌倉時代以前──つまり「奈良時代」や「平安時代」はいまいち興味がもてませんでした。なぜなら、テレビ時代劇やNHK大河ドラマをよく観ていたので、日本の歴史のなかでは戦国時代や江戸時代が好きだったからです。

不思議なもので、大人になると教養(古典)に対する欲求が生まれます。日本の伝統を知りたくなる。でも、いまだに古典文学に対して苦手意識があるので、マンガで解説してあるものを選びました。これなら挫折せずに学ぶことができそうです。

古事記と日本書紀

まんがでわかる 日本の古典大事典』(学研プラス・編、吉野朋美・監修/学研プラス・刊)は、イラストやマンガによって日本の古典文学を解説している本です。有名作品のあらすじを3~4ページのマンガで知ることできます。

年表や人物紹介や用語集もあって、マンガではなく文章で解説している部分もたくさんあるので、子どもだけでなく大人が読んでも勉強になります。

日本の古典といえば、まずは『古事記』が挙げられます。わが国の『創世記(旧約聖書)』ともいえる内容です。
『古事記』が成立したのは712年。「なんと(710)見事な平城京」でおなじみの時代です。作成を命じたのは天武天皇(第40代)ですが、完成させたのは元明天皇(第43代)でした。

ちなみに、元明天皇は「女帝」でした。『日本書紀』の作成を命じた元正天皇(第44代)も女性であり、元明天皇の娘です。

「それがどうした」と言われても返答に困りますが、女性天皇が関わっているというだけで、小難しそうな歴史書にも興味をひかれました。『まんがでわかる 日本の古典大事典』に掲載されている両天皇のイラストも可愛いです。

『万葉集』を現代にたとえると……

『万葉集』や『古今和歌集』。たしかに歴史の授業で習ったはずですが、ほとんど覚えていません。

『万葉集』は、日本に現在残っている最も古い歌集です。
これをまとめたとされるのが貴族の大伴家持(おおとものやかもち)。

(『まんがでわかる 日本の古典大事典』から引用)

『万葉集』全20巻・約4500首は、約130年分の和歌から収集されたそうです。それぞれの作者は、貴族だけでなく、庶民や名前がわからない人も含まれています。現代でたとえるなら、130年分の「実名匿名ツイート傑作選」みたいなものでしょうか。そう考えると読んでみたくなります。

現代のわたしたちにとって、もっとも親しみのある和歌といえば『小倉百人一首』です。そのなかには、夫の浮気に苦しむ妻の悲しみを詠んだものがあります。

嘆きつつ
ひとり寝る夜の
明くる間は
いかに久しき
ものとかは知る

(小倉百人一首 右大将道綱母)

女性が一人寝することのさびしさ、つまり夜になっても帰ってこない相手への嘆きを詠んだものです。当時(平安時代)の貴族は、一夫多妻制でした。ほかの女性のもとで過ごしている夫を想っては枕を濡らすという「悲痛な心情」があらわれています。

作者である右大将道綱母(うだいしょうみちつなのはは)は「歌人」として有名ですが、日記文学の作者でもあります。藤原道綱母(ふじわらのみちつなのはは)の作として知られている『蜻蛉日記』です。

日記文学とは何か

『蜻蛉日記(かげろうにっき)』と読みます。女性による日本初の日記文学です。
日本の古典において「日記文学」というときは、「仮名文字で書かれた日記」を指します。ちなみに、日本で初めて書かれた日記文学は『土佐日記』(紀貫之・作)です。

『蜻蛉日記』の内容は、21年間の不幸な結婚生活の回想です。作者である藤原道綱母は、藤原兼家の側室でした。兼家は、のちに権勢をほこる藤原道長の父です。

上巻では、長男が生まれたあとに浮気がちな夫への嫉妬に苦しみ、夫婦仲が悪化していきます。中巻でも苦しみは続いて、下巻では「あきらめの境地」に達するという内容です。

平安時代は一夫多妻制(通い婚)だったので、兼家のおこないは「ゲス不倫」には該当しませんが……。時代を問わず、おなじ悩みをかかえている女性にとって『蜻蛉日記』は慰めになるのかもしれません。

古典文学を読みたくなった!

これまで紹介した『まんがでわかる 日本の古典大事典』には、飛鳥・奈良~江戸時代までの古典文学について、イラストとマンガをまじえた詳しい解説が収録されています。

全211ページを通読したあと、なんといっても『蜻蛉日記』に興味をひかれました。原文を読むのはハードルが高いですが、すぐれた現代語訳や解説書ならば読んでみたいと思いました。調べてみると、瀬戸内寂聴さんが『蜻蛉日記』の解説本を書いているようです。

2017年現在、小説家・角田光代さんによる『源氏物語』の現代語訳が話題になっています。
『蜻蛉日記』の現代語訳としては、室生犀星や堀辰雄のものがあるようですが……いずれも男性作家の手によるもの。これは「もしも」の話ですが、桐野夏生さんがアレンジした現代語訳による『蜻蛉日記』があったら読んでみたいと思いました。

(文:忌川タツヤ)

まんがでわかる 日本の古典大事典

著者:学研プラス(編)、吉野朋美(監修)
出版社:学研プラス
古代から江戸時代までの78作品と作者70人を時代順にまんがとコラムで紹介。月の呼び名や装束など古典に欠かせない知識と、作品・作者同士のつながりがわかるまんが・解説で、楽しく古典の基礎が身につく。ふりがな付きのやさしい解説で古典入門に最適。

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