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妄想世界旅行のコンパニオンブック

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少し前の時代の映画を丁寧に見るのがマイブームになっている。
今年の夏のテーマは、1991~2000年の10年の区切りで作ったベスト10。年代を追って見るというやり方にしたので、最後の1本はレオナルド・ディカプリオ主演の『ザ・ビーチ』(2000年)になった。

その場に行ったような、いるような感覚

この映画、ディカプリオにとって『タイタニック』後初の主演作ということで話題になったのだが、それを度外視してもかなり魅力的だと思う。ストーリーもスリリングで謎めいているし、何より映像がキレイで、舞台となる美しいビーチに実際にいるような気になる。

読み物に紀行文というジャンルがあるが、『ザ・ビーチ』は独自のストーリーがありながらも、ベースとなるのは紀行文的なテイストであり、そういう意味では紀行映画という言い方もできるかもしれない。

文章であれ映像であれ、そこに行ったような、その場にいるような感覚というのはとても大切だと思う。

インスタ映えするスポット

“インスタ映え”という表現がすっかり定着しているが、この表現も「そこに行ったような、その場にいるような感覚」と無関係ではないだろう。もちろん、美しさという要素は絶対だ。

そのインスタ映えスポットのひとつとして、東京都多摩地区の立川市、多摩モノレール立飛駅前徒歩1分にある“タチヒビーチ”が多くの人を集めている。何があるのか。ご存じの方も多いと思うが、巨大パネルに印刷されたおそらくはタヒチの美しい海の写真と、白い砂を敷き詰めた人工ビーチだ。

海がないのに海の家もあり、お酒やバーベキューまで楽しめる。インスタ映えというキーワードを軸に展開するビジネスモデルには、町おこしという言葉では言い足りない独特のセンスが感じられる。

もちろん、タチヒビーチの背景にあるのも「そこに行ったような、その場にいるような感覚」ではないだろうか。

世界一コンパクトな世界旅行

『世界の絶景 楽園&秘境』 (学研パブリッシ編集部・編/学研プラス・刊)は、まさにこうした感覚をデジタル媒体で実現した一冊だ。オセアニア、アジア、中東&アフリカ、南東ヨーロッパ、北西ヨーロッパ、南北アメリカ、そして秘境という並びで次から次へと目に飛び込んでくる数々の写真はどれも美しく、引き込まれる。

それぞれのロケーションの紹介文もちょうどいい分量で、心地よく読み進むことができる。

ガイドブックは情報量が多くなりがちで、オーバーロード気味になる場合も少なくないのだが、この本はまず写真でその場所の美しさを表現して、紹介文で読者のイマジネーションをかき立て、実際に行ってみたいと思わせる。それに、筆者がこれまで何回も記している「そこに行ったような、その場にいるような感覚」を得るには十分なのだ。

妄想トリップ

トリップと言っても、ハイな気分になるという意味じゃなく、旅行のほうだ。筆者はハワイが大好きで、ちょっと自由になるお金があると、可能な限り長く滞在する旅に出る。

でも、年に何回も行けるわけじゃない。マクドナルドのハンバーガー――筆者の場合はビッグマック――が無性に食べたくなることをマックアタックと言うらしいが、予期せぬタイミングで“アロハアタック”に見舞われた時はどうしようもない。いや、どうしようもなかった。

でも、これからは『世界の絶景 楽園&秘境』で少しだけ渇きを癒すことができそうだ。タブレットで、寝る前にぼーっと見るのも楽しいだろうな。もう一度言うが、写真がとてもキレイなので、たとえばボラボラ島の潮風の香りなんかも妄想できるかもしれない。

秘境編のナミブ砂漠とかエベレストとか、きわめつけの南極大陸なんかは空気の感じを妄想するのは難しいかもしれないけれど、写真を見るだけで十分楽しめる。タブレットがベストな媒体だろうが、スマホの画面で見ても、たとえば満員電車のハードな状況を一瞬でも忘れられるはずだ。妄想トリップの“交通手段”としては最高。

次のハワイ旅行が実現するまでは、この本をタブレットで見倒して、渇きを癒すつもりでいる。当然でしょう。

(文:宇佐和通)

世界の絶景 楽園&秘境

編集:学研パブリッシング編集部
出版社:学研プラス
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