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パリを歩けば”昭和の死語”が聞こえてくる

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うっかり口にすると年齢がばれる死語といえば、「アベック」、「ランデブー」がある。
どちらも和製フランス語でアベックは男女二人連れ、ランデブーは逢引きのこと。日本では今やこの言葉を使う若い人はほとんどいない。

ところが……。フランスを訪れた人は皆気づくと思うが、彼の地ではこの昭和の死語があっちからもこっちからも聞こえてくるのだ!

アヴェックは「~と」、ランデヴーは「アポイント」

まず、フランス語では男女二人連れはクープル(Couple)なので、そもそもアヴェックとは言わない。アヴェック(Avec)は前置詞で「~と」だから英語のandwithと同じ使い方をする。

私と一緒は「アヴェック・モワ(moi)」、あなたと一緒は「アヴェック・ヴー(vous)」、私の犬と一緒は「アヴェック・モン・シヤン(mon chien)」となる。

料理の付け合せ野菜は「アヴェック・レ・レギューム(les légumes)」、ケーキなどのクリーム添えは「アヴェック・ドゥ・ラ・クレーム(de la crème)」。さらに日本食を箸で食べるときの「箸で」にも「アヴェック・レ・バゲット(les baguettes)」を使うのだ。

つまり、アヴェックを発する場面は一日に何回も、何十回も出てくるというわけだ。

また、ランデヴー(Randez-vous)は名詞で「アポイント」。フランスではデートするのにランデヴーを使う人はいない。「~とデートする」は「ソルティ・アヴェック~(Sortir avec~)」を使うのが一般的だ。

たとえば街角でスーツを着たビジネスマンがスマホを耳にあて「~アン・ランデヴー・アヴェック・ムッシュ(マダム)○○(un rendez-vous avec Monsieur(Madame)」と通話しているのが聞こえたら、それは「○○さんとお会いしたいのですが」とアポを取っているところ。

あるいは、病院の予約をするときも「~アン・ランデヴー・アヴェック・ドクター○○」となる。

というわけなので、フランスの街角ではいたる所から「アヴェック」と「ランデヴー」の声が聞こえてくるのだ。

フランスでは「デジャヴ」は通じない

ところで、これは死語ではないが、私たちは既視感に「デジャヴ」をよく使う。「デジャヴ」はフランス語由来の言葉の英語読みなので、フランス語読みだと「デジャヴュ」(Déjà-vu)になる。

ところがフランス語では「デジャヴュ」はデジャ(すでに、もう)、ヴュ(見た)で、「新しい映画もう見たよ」などと話すときに使う。

ちなみに既視感を感じたときは「見たことがあるような気がする」で「ジェ・ランプレッション・ダヴワール・デジャヴュ(J'ai l'impression d'avoir déjà vu)」というフレーズになるそうだ。

日本語から生まれたフランス単語もある!

さて、フランス語のテキストは数多くあるが、実は使えるものは少ないように思う。旅の会話集など、たくさんのフレーズが出ていても、ブティックやカフェ、そしてホテルなど、その時その場でスラスラと話すなど至難の技だ。

それよりも、数多くの単語を知っているほうが、現地では絶対に通じると思う。

絵で楽しむフランス語 [単語]』(宮方由佳・著、いなばゆみ・絵学研プラス・刊)は、パリっぽいお洒落なイラストを見ながら、どんどんフランス語の単語が覚えられる絶対におススメの一冊だ。

序章の<パリジェンヌを知るためのキーワード>では、最近パリっ子がよく使う日本語から生まれた言葉も紹介されていて、とてもおもしろい。

日本の「禅」から生まれた言葉「zen」。数年前から流行語としてフランスのコマーシャルなどに登場し、「穏やか」、「精神的な安定」、「シンプル」、「自然志向」といった幅広い意味で使われるようになりました。(中略)日本人には不可解なところもある「zen」ですが、フランス人にとっては、東洋の精神世界と日本庭園などの伝統的な美が入り混ざり、神秘的な輝きを放つ言葉、それが「zen」だったりするのです。

(『絵で楽しむフランス語[単語]』から引用)

パリでは「Salon Zen」(zenの展示会)も開かれていて、いつも大盛況だそうだ。

シチュエーション別の使えるフランス語単語帳

本書は7つのパートに分かれ、それぞれ絵で見る単語帳になっている。

Part1 パリを使いこなす>では、パリの街並み、人々、メトロ、バス、タクシーにまつわる単語、そして挨拶やお礼やお詫びの言葉を紹介している。

Part2 蚤の市を楽しむ>では、洋服や道具の名がずらりで、掘り出しものを探すためにひと役!

Part3 ファッション・ビューティを楽しむ>では、ブティックに並ぶアイテムの単語ばかりでなく、試着室で使える言葉もある。またエステサロンや美容室では肌や髪の状態を伝えるための単語もあるのが助かる。

Part4 カルチャーに触れる>では、美術館、映画館、図書館、古本屋にまつわる単語から、フラワーアレンジメント、音楽、絵画、手芸の用語まで紹介している。

Part5 食を楽しむ>ではパン屋、カフェ、レストラン、そしてマルシェで使える単語がずらり!さらに、さまざまな食材の名前、調理器具、料理法の単語を覚えることもできる。 

Part6 バカンス・休日を楽しむ>では、飛行機、ドライブに関する単語。ホテルに泊まるときに覚えておきたい言葉など。休日編では公園に行く、水族館に行く、動物園に行くなどイラストを眺めているだけでも楽しい気分になれる。

Part7 パリの暮らし>では、日々の暮らしのシーン、病院で使う言葉、そして数、時間、月日などの基本も覚えられる。

また、この本の便利なのは巻末にある索引。あいうえお順で、すべてが一目瞭然。名詞、動詞、形容詞から、「えっ、何?」とか、「「わー、すごい!」という掛け声、そして「クソッ!」というスラングまで、スッと引けるのがいい!

パリ旅行に出掛ける人にはもちろん、パリを旅した気分になりたい人にも、是非ページをめくってみてほしい。

(文:沼口祐子)

絵で楽しむフランス語[単語]

著者:宮方由佳(著)、いなばゆみ(絵)
出版社:学研プラス
オシャレでかわいいイラストを楽しみつつ、フランス語が身につく、とっておきの単語集。単語だけではなく、パリの街を上手に使いこなすコツも満載で、ページをめくるだけでパリを散歩している気分。フランスのこともよくわかり、旅の友にもなる一冊。

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