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たった1度の「こっくりさん」。やらなきゃ良かった「こっくりさん」

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「こっくりさん」という占いを知っていますか?
最近はあまり聞かなくなりましたが、私が中学生の頃、放課後になると、どこかの教室に数人の女子が集まっては「こっくりさん」占いをしていました。なぜか女の子が多かったように思います。
私も一度だけやったことがありますが、二度とやるまいと決心する結果に終わりました。
それはそれは恐ろしい体験だったからです。

たった一度の「こっくりさん」体験

私は怖がりなので、占いや霊視の類が嫌いです。
ごくたまに「一緒にやろうよ~~。ねぇ、やろうよ」とせがまれて、仕方なくやりますが、結果はいつも惨憺たるものです。
先日も誘われておみくじをひいたら、「大凶」と出て、真っ青になってもう一度ひいたら再び「大凶」でした。
「もう一度やってみたら?きっと大吉が出るよ」と、励まされたのですが、3度目の正直が「大凶」だったら立ち直れないと思い、やめました。
もうおみくじをひくことはないと思うので、私の最後のおみくじは「大凶」で終わることでしょう。

本当は「こっくりさん」もしたくなかったのです。
けれども、「怖いから嫌」と言うのも情けなく、「カトリックだからダメ」と、わけのわからない理由を持ち出して断ったのですが、仲の良い友達に「やろうよ、ねぇ、お願いだから一緒にやろうよ」と、せがまれ、つい「うん」と言ってしまったのです。

ふと空気が冷たくなって・・・

放課後の教室はまだ熱気が残っていて、汗ばむほどでした。
一人の女の子が紙をしいて、真ん中に鳥居のようなものを描き、両側に「はい」と「いいえ」と書きました。
そして、周囲を「あいうえおかきくけこ・・・」の文字で囲み、真ん中に置いた10円玉にみんなで指をのせて、いよいよ「こっくりさん」の始まりです。
一人の女の子が言いました。
「こっくりさん、こっくりさん、おいでください、こっくりさん。来たらどうぞ「はい」と言ってください」。
10円玉はピクリとも動きません。
一人がクスクス笑いだし、みんなに伝染し、私たちは異常なほどゲラゲラと笑ってしまいました。
・・・と、その時、教室がふと寒くなりました。
冷気というか、何かいつもと違う空気がどこからともなく漂ってきたのです。

こっくりさんはお出ましになったのか

嫌だな、怖いなと思ったその時、10円玉が小刻みに震え始め、「はい」と書かれた場所にすっすと動き出しました。
「やっぱり、参加するんじゃなかった」と後悔したときはもう遅かったのです。
指が10円玉に張り付いたようになって、中断することなどできません。
誰かがかすれた声で言いました。
「教えてください、こっくりさん。**ちゃんに好きな人はいますか?」
10円玉は再び動き、また「はい」で止まります。
「それは誰ですか?」
すると、10円玉の動きは激しくなり、周囲の文字をなぞり始めたのです。
結局、その占いが当たっていたのかどうか、わかりません。
名前らしきものの文字の上で4回ほど止まりはしましたが、はっきりしなかったからです。

もうこりごり「こっくりさん」

その後、恐ろしいことが起こりました。
今、思い出してもぞっとします。
友達の一人が白目を剥いたまま、動かなくなってしまったのです。
黒目がどこかにいってしまったかのように、大きな目が白目だけになり、 「こっくりさんが憑いた」としか思えない顔になりました。
その不気味さといったら・・・。もうどうしていいか、わかりません。
私たちは凍り付いたまま、その子の顔を見ていました。
結局、誰かが「これでおしまいっ。お帰りくださいこっくりさん」と叫び、私たちも口々に言いました。「お帰りください、こっくりさん」、「帰って、お願い、帰ってください」と。
白目をむいていた子の顔は無事に元に戻ったものの、気まずい雰囲気が残りました。
見てはいけないものを見てしまったような、そんな感じでした。
その後も、学校では相変わらず「こっくりさん」が流行していましたが、私はどんなに誘われても、しませんでした。
もうこりごりだったのです。

おひつの蓋が源なの?

以来、考えるのも嫌だと思ってきたのですが、今回、『RikaTan(理科の探検) 2017年10月号』(SAMA企画・編/文理・刊)を思い切って読みました。
「オカルト・超常現象を科学する!」という特集が組まれ、その中に「こっくりさん占い騒動とその正体」という記事があったからです。
著者である左巻建男氏の説明は、まさに「フムフム、なるほど」と思えるものでした。
もっと早く読んでいたら、いたずらに怖がってばかりいなくてすんだのかもしれません。

日本にこっくりさんが伝えられたのは、1884年のこと。
船が壊れて伊豆に漂着したアメリカ人の船員が、下田に滞在中、日本人に「テーブル・ターニング」を教えたのだといいます。手じかにあるものを道具としたためか、今から思うと奇妙奇天烈な様相を呈しています。

長さ40~50センチメートルの棒を3本交差させ、それを足とし、その上におひつ(ご飯を入れる木製の器)のふたなどを乗せたテーブルを使いました。3人がそのまわりに座り、テーブルの上に軽く手を乗せ、「こっくり様、こっくり様、お移りください。お移りになったら、足をあげてください」などと言うと、テーブルが傾き、足が上がります。

『RikaTan(理科の探検) 2017年10月号』より抜粋)

こっくりさんの名前の由来

おひつの蓋を使って始まった「こっくりさん」。
テーブル・ターニングという名前も理解できるはずもなく、おひつを使った台が「こっくりこっくりと傾く」から、こっくりさんというようになり、やがて、「こっくり」は「狐(きつね)」、「狗(いぬ)」「狸(たぬき)」の文字をあてて、「狐狗狸」と書くようになったのだそうです。
著者は「こっくりさん」を冷静に分析し、わからないからこそひとつひとつその謎を解き明かしていく必要があると説きます。
19世紀の科学者マイケル・ファラデーの論文を解説しながら、こっくりさんをやる人がわざとテーブルを動かしているわけではないが、無意識の筋肉運動が知らず知らずのうちに結論を導きだしてしまうのだろうと結論づけます。
なるほど~~。
わかりやすい解説のおかげで、私も放課後に味わったあの恐ろしい記憶から立ち直れそうです。
だからといって、もう一度「こっくりさん」をしてみようとは思いませんが・・・。
なぜなら、友達が白目をむいた理由がわからないままなのですから・・・。

(文・三浦暁子)

RikaTan(理科の探検) 2017年10月号

著者:SAMA企画(編)
出版社:文理
「観る・知る・遊ぶ。理科と自然の楽しさを実感する」をモットーとする、理科好きな大人と子どものための科学マガジン。今号の特集は【オカルト・超常現象を科学する!】。「ノストラダムスの大予言」「『こっくりさん』占い騒動」など。

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