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ひたすら書き続ければ、作家になれますか?

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作家になりたいと夢見る人はわりと多い。
けれど、不思議なことにそうした人の多くはまだ1行も書き出してはいない。「作家」というステイタスに憧れていて、書きたいネタがあるわけではないのだ。とはいえ、バリバリ書き続けていれば、いつかは作家になれるかというとそれも違う。
どう行動したらいいのかを『若草物語』(ルイザ.メイ.オルコット・著/学研プラス・刊)で考えてみた。

作家志望のジョー

『若草物語』の四姉妹のボーイッシュな次女、ジョーは15歳。彼女は作家志望で、小説を完成させるために頑張っている。けれど、やっと原稿を書き上げ、さあ出版社に送ろうとしたその時に、とあるハプニングでその小説は出すことがかなわなくなってしまった。

実は『若草物語』には続編がある。『愛の四姉妹』というタイトルで、今度は21歳になったジョーが出てくる。彼女はおしゃれもせずに部屋にこもり、ひたすら小説を書いた。そして今度はその小説は無事に送ることができ、賞金を手にできたのである。

書く目的とは

続編のジョーはなぜ作家になれたのか。15歳から21歳の間に精進した部分もあったかもしれない。けれど、私は最も大きな原因は「書く目的」が明確にあったからだと考える。続編ではジョーは、家族を旅行に連れて行きたいという強い希望を持っていた。なので、小説でその費用を捻出しようとしていたのだ。

目的があると人はパワーアップする。ジョーは愛する家族のために、来る日も来る日も熱心に書き続けた、だけではなかった。応募したのは新聞小説なので、その新聞社ですでに掲載されている連載小説を読み込み、どのようなノリが受けるかという分析もした上で作品を作り上げたのだ。

リサーチの力

ジョーはお金が欲しいあまりに自分のポリシーもプライドもかなぐり捨て、ひたすら新聞社が喜びそうな、その紙面のノリに合わせた作品を仕上げた。それは彼女にとっては自分らしくない作品となった。けれど、新聞社にとってはこういうのが欲しかったんだよ、という作品だったから入選したのだ。

ひたすら書き続けていればある日悟りが開け、深い文章が書けるようになる、というわけでもない。先方はどのような作品を求めているのかということを考える必要があるのだ。例えば少女漫画雑誌に人妻不倫漫画を投稿しても「うちとはジャンルが違うから」と一蹴されてしまう可能性は高い。相手のニーズを読み、トーンを多少合わせる必要はあるだろう。

作品分析の必要性

作家になりたいと言う人の多くは、なぜか他の人の作品を読まない。私のところに小説を送り、読んでくださいと言って来る人に、私の本を読んだことはありますか?と聞くと、ないです!と言うことさえある。もし私の本の読者だと言ってくれたら心象は全然違うのかもしれないのにな、と少しもったいなく思う。

ジョーはよその人が書いた新聞小説をまじめに読み込んだ。そして率直につまらないと感じ、この程度なら自分でも書けると大いに自信を持った。実は他の人の作品を読むことには、いろいろなヒントが隠れている。真似をするのではなく、それを自分がどう超えていけるかが見えてくるはずなのだ。

作家になるために

まとめると、手っ取り早く作家になるためには、作品応募先の版元の傾向を掴み、しっかりと対策を練ること、そして他の作家さんの作品を読み込み、研究すること(できれば応募する賞の過去受賞作品を読むこと)。そしてとにかく書くことだと思う。

何より必要なのは、なぜ賞を獲りたいのか、賞金を何に使いたいかという強いイメージかもしれない。スタートラインに立つためには、ジョーのような「どうしてもこの賞が欲しい!」という強い意志がとても有効なのだ。

(文・内藤みか)

若草物語

著者:ルイザ.メイ.オルコット(著)、小松原宏子(編・訳)
出版社:学研プラス
戦地にいる父の無事を願いながら、助けあい、仲むつまじく暮らす母と4人の娘たち。貧しい生活のなかでいろいろな困難にぶつかりながらも、それぞれに夢をもち、成長していく物語。オールカラーイラストで、さくさく読める世界名作シリーズ第5弾。

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