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一番大切な”宝物”は、すぐそばにあったんだ。

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「本をたくさん読むといいよ」と大人は言うけれど、どうして「いい」のかまで教えてくれる大人は少なかった。
私自身、読書好きな母の影響で昔から本を読むことが好きだ。読書にどんなメリットがあるかなんて考えたこともなかったが、最近とみに思う。漢字や言葉の使い方、表現法を学べるし、たくさんの知識を得ることができるのはもちろんだが、何より、”疑似体験ができる”ことが大きな魅力ではないだろうか。

本の中でなら、過去や未来、海外にだって行ける

本を読むことで、自分を登場人物に置き換えることができる。
すると、現在過去未来いつにだって、日本中世界中のどこにだって行ける。
男の子にもなれるし、赤ちゃんにも、おじいちゃんにも、動物にだってなれる。
そして、疑似体験をすることで、さまざまな体験を「自分のこと」として捉えることができ、学び、気づきへと繋がるのだ。

たとえば、子どもが友達とケンカして帰ってきたとき。仲直りの方法を親があーだこーだと提案しても、子どもにはなかなか響かない。でも、友達とケンカした主人公の本を読んであげることで、自然と主人公に感情移入し、絵本のストーリーから自分で解決策を見つけられることもある。これは、元小学校の先生だった方から聞いた、本の活用法のひとつ。

気づきを得るのは子どもだけでなく、大人も同じだ。なにも分厚い小説やビジネス本でなくてもいい。むしろ、子ども向けに描かれた絵本にこそ、大人がハッとさせられる内容が込められている。

あなたにとっての「宝物」はなに? どこにある?

最近子どもに読み聞かせをした絵本『ちいちゃんのたからもの』(杉浦さやか・作・絵/学研プラス・刊)は、そんな気づきがあった1冊だった。要約すると、こんな内容だ。

 

三兄妹の末っ子・ちいちゃんは、お兄ちゃんやお姉ちゃんが持っている宝箱が羨ましくて仕方ありません。お兄ちゃんの宝箱には、学校帰りに見つけてくる古い鍵や石ころ、ビー玉。お姉ちゃんの宝箱には、キラキラかわいくてキレイな髪飾りがいっぱい。お隣のおじいさんの宝物は、庭で育てているお花たちなんだって。ちいちゃんも、宝物を見つけたい!と、自分だけの宝物を探しにいろいろな場所に出かけます。そして、宝物探しに夢中になっていたら、いつも一緒にいるあの子がいなくなっちゃった……! 大切な宝物は、案外すぐそばにあるんだよ、と気づかせてくれるお話。

 

人気イラストレーターの杉浦さやかさんが手がけた初めての絵本として話題であったが、確かにどのページもかわいくて彩りが美しく、細部まで丁寧に描き込まれている。眺めているだけでも、なんだかウキウキする。けれど、それ以上にじんわりと胸にくるものがあった。

なくして初めて気づく、一番大事なもの

人はどうしても、隣の芝は青く見えるし、他人の物が欲しくなる。自分にないものばかりを探して、いまあるものになかなか目を向けられない。体調を崩して改めて「ああ、健康って大切だなー」と思うのだけど、また元気になると、その状態が当たり前になってしまうから、健康体のありがたみを忘れてしまう。

ちいちゃんの場合は、いなくなって初めて自分の宝物の存在に気づいた。最後には宝物が戻ってきたからよかったけれど。亡くして初めて、存在の大きさに気づくことだってあるから。

疑似体験できるものは、音楽や映画も然り。この絵本を読み終わって、槇原敬之さんの『僕が一番欲しかったもの』という大好きな曲を思い出した。宝物は、一番欲しかったものは、きっとすぐそばにある。

あなたの宝物は何ですか?

(文・水谷 花楓)

ちいちゃんのたからもの

著者:杉浦さやか
出版社:学研プラス
お兄ちゃんとお姉ちゃんが持っているすてきな宝物。ちいちゃんも自分だけの宝物がほしくて、家の中を一生懸命探します。ところが夢中になりすぎて…。本当の宝物のありかを教えてくれる、心がほかほかする一冊。人気イラストレーター杉浦さやか初めての絵本。

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