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少ない予算で世界一周をするためのヒント。マネしないでください

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旅行好きの人がうらやましいです。
わたしも「遠くに行きたい」「旅をしたい」と思うことはあります。でも、なかなか実行できません。旅の段取りや費用やトラブルのことを先回りして考えてしまうからです。

交通手段や宿泊先はどうしよう。あっ……こんなに旅費が必要なのか。休暇と大金を費やすほどの価値があるのだろうか。ほかに有意義な使いみちがあるのでは。移動中に墜落・脱線・衝突・沈没するかもしれない。慣れないことはリスクが高い。どうしよう……。

決断できず、いつまでも旅に出ようとしないのです。

ギターがあればどこでも行ける

世界の路上で生まれた奇跡 6,000円とギターと寝袋を持って世界一周』(金丸文武・著/学研プラス・刊)という本があります。世界一周旅行記であり、著者の実体験を書いたものです。

著者の金丸文武さんは、20代のときに4年4ヶ月かけて日本一周を達成しています。高校時代からアコースティックギターをつかった路上演奏で稼いでおり、日本中を歌いながら巡ったそうです。

世界一周に行くと決めてからも、これといった準備はほとんどしていなかった。
ぼんやりと日々を過ごしながらパスポートの申請をし、インターネットで海外に出るためにするべきことを調べた。予防接種、海外健康保険、クレジットカード。
(中略)
旅の資金はこれまでも日本の路上で歌って稼いでいたので、おそらく海外の路上でも稼げるという、なんの根拠もないことをあてにしていた。たまたま入ったリサイクルショップで見つけた5千円の中古ギターを旅用に買い、友達が餞別にくれた寝袋をバッグに突っ込んだ。

(『世界の路上で生まれた奇跡』から引用)

すごい行動力であり、まさに「何も怖くない」といった度胸の持ち主です。

当時30歳だった金丸さんは、宮崎県からヒッチハイクで出発したあと、鳥取県の堺港(さかいみなと)からロシアに向かいます。ウラジオストクの港にたどり着いたときの所持金は6千円。ここから2年4ヶ月かけて約60か国を巡ることになります。

旅費をどうやって稼いだのか?

金丸さんは「アコースティックギターによる路上ライブ」をおこなって、それを見物した人からの投げ銭によって、現地の通貨(現金)を得ていました。金丸さんが滞在した約60か国それぞれの法律やローカルルールはわかりませんが、観光ビザで入国している場合には気をつけたほうが良さそうです。

それにしても、ロシアでも東南アジアでもインドでもヨーロッパ諸国でもオーストラリアでも、たとえ貧しい国や地域であっても、ストリートミュージシャンやパフォーマーに対する投げ銭がおこなわれていました。特に、音楽に対する「敬意」は万国共通のようです。

盗難にまつわる泣き笑い

金丸さんは「野生のサバイバー」を体現していますが、ひとつだけ文明の利器に頼っています。Apple社製のスマートフォン『iPhone』です。旅先でわからないことがあったときは、マクドナルドの無料Wi-FiとiPhoneをつかって調べ物をしたそうです。

金丸さんは、iPhoneのメモ帳に日記を書いていたり、カメラ機能をつかって旅先で出会った人々や美しい風景の写真を4000枚ほど保存していた……のですが、中央アメリカのグアテマラでiPhoneを盗まれてしまいます。しかも、山奥の小さな村でした。旅の記録──カネでは買えない宝物が詰まっているものを盗まれた金丸さんは、必死で取り戻そうとします。

「放浪の天才」が行く先ではドラマチックが止まらないので、この『世界の路上で生まれた奇跡』を読んでいて退屈することはありませんでした。

優しさが世界を救うかもしれない

寝袋やテントをつかって野宿──ということもありましたが、安いホテルやドミトリーに泊まったり、現地の親切な人に泊めてもらったりと、人間がその気になれば「定住所が無いくらいでは死なない」ことを証明しています。

カナダでは、金丸さんは「ホームレスシェルター」に滞在していた時期がありました。パスポートで入国しているのですから身分を偽ったわけではなく、宿のない日本人を見かねた現地(トロント市)の人が案内してくれたのです。
同室になったホームレス入居者も「いいんだよ。旅をしてるんだろ? 余計な金を使うことはない」というふうに、金丸さんのことを歓迎してくれました。

世界一周のために利用した移動手段はさまざまです。船、列車、飛行機、自動車のヒッチハイクのほかにも、フランスでは、割高な列車よりも格安になるカーシェアリングを利用していたのが印象に残りました。

iPhoneを盗むやつもいましたが、金丸さんが世界一周をしているときに出会った人たちは、みんな親切で優しい人たちでした。少ない予算で世界一周できた「奇跡」とは、ヒトの優しさが生み出した「奇跡」なのです。

(文:忌川タツヤ)

世界の路上で生まれた奇跡 6,000円とギターと寝袋を持って世界一周

著者:金丸文武
出版社:学研プラス
6,000円とギターと寝袋だけを持って、命を懸けて世界一周の旅へ!2012年から2年4ヶ月かけ、約60の国と地域をストリートライブの収益だけで旅した、カリスマ・ストリートミュージシャン&人気ブロガー金丸文武の世界放浪記。

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