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ロケット技術は悪くない。某国は悪用するのをやめてほしい

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某国が発射したものを、日本政府は「飛翔体」と表現しました。
公文書では、弾道ミサイルだけでなく宇宙ロケットも「飛翔体」と表現するようです。

本来、ロケット技術は良いものです。カーナビやスマホ地図に使われている「GPS衛星」の打ち上げには、ロケット技術が欠かせません。爆弾を付けてミサイル化するから有害になるのです。
そこで、ロケット技術を好きになってもらうために、とっておきの映画を紹介します。

映画『遠い空の向こうに』

原題は『October Sky』。アルファベットを並べかえると『Rocket Boys(ロケット・ボーイズ)』になります。

octoBeR sky
Rocket Boys

その名のとおり、自作ロケットの打ち上げを成功させるために青春をささげた若者たちのストーリーです。

「宇宙事業なんて無意味だ。税金の無駄づかいだ!」という意見もあります。しかし、映画『遠い空の向こうに』を観たあとには、宇宙開発やロケット技術についての印象が変わるかもしれません。

ロケットボーイズの活躍

映画『遠い空の向こうに』のなかで、ロケット開発にチャレンジするのは4人の若者です。

若者といっても、MIT(マサチューセッツ工科大学)やプリンストン大学に通っているようなエリート学生ではありません。
アメリカのウェストバージニア州の田舎町で生まれ育った、あまり成績がよろしくない4人の高校生たちです。

時代は1957年。世界にさきがけてソ連が打ち上げに成功した「人工衛星スプートニク1号」に触発されて、自分たちでも小型ロケットを作れないかと思いつきます。

はじめのうちは、うまく打ち上げることができません。それでもあきらめず、さまざまな困難を乗り越えて、ついには自作ロケットの打ち上げに成功します。
小さなロケットが、白煙をたなびかせながら空高くまっすぐ飛んでいくクライマックスシーンでは目頭が熱くなりました。

『遠い空の向こうに』は、実話をもとにした映画です。
原作の著者(ロケットボーイズのリーダー)は、さびれた炭鉱町から大学への進学を果たしたあと、アメリカ航空宇宙局(NASA)のエンジニアになっています。

ブラウン博士とV2ロケット

映画のラストシーンでは、手作りロケットが天空に向かって打ち上げられます。
とても感激しました。

実際の宇宙ロケットは、どのような仕組みで打ち上がるのでしょうか?
まんがサイエンス 2 ロケットの作り方おしえます』(あさりよしとお・作/学研プラス・刊)を読めば、ロケットの歴史や原理をくわしく知ることができます。

映画『遠い空の向こうに』では、ロケットの推進剤として「固体燃料」を使っていました。かんたんに作れて、値段が安いからです。
しかし、地球の重力に逆らって大気圏外に突破できるロケットを作るには「液体燃料」が必要です(ただし近年では、研究開発が進んだことにより、固体燃料ロケットだけで人工衛星を打ち上げた事例があります)。

液体燃料エンジンによる世界初の実用ロケットを完成させたのは、フォン・ブラウン博士です。ロケットボーイズたちの憧れの存在として『遠い空の向こうに』にも登場します。

フォン・ブラウン博士が作ったのは「V2ロケット」です。

このV-2号にはロケットの基本的なものは、すべてそろっている

どんな向きで飛んでいるかを確かめるジャイロスコープ
決めたコースへ機体をコントロールする電子頭脳
強力な液体燃料とロケットエンジン
噴射の向きを変えて機体の飛ぶ方向をたて直す噴流翼

(『まんがサイエンス 2』から引用)

V2は「Vergeltungswaffe 2」の略称です。その意味は「報復兵器第2号」。世界初の実用液体ロケットは、第二次世界大戦当時のドイツ軍によって「弾道ミサイル」として使用されたのです。

宇宙ロケットと弾道ミサイルが、おなじ「飛翔体」と呼ばれる理由をおわかりいただけたと思います。

ロケット技術には、キケンな魅力がある

『まんがサイエンス 2 ロケットの作り方おしえます』によれば、ロケット技術にまつわる計算や発見をした人は、純粋に「宇宙に行ってみたい」という願いの持ち主ばかりでした。

V2ロケットを開発したフォン・ブラウン博士でさえ、「自分の作ったロケットで月へ行きたい」という思いから研究を始めたのです。ブラウン博士は、アメリカに亡命したのちアポロ計画の中心的存在として活躍しています。

ロケットが空に向かってまっすぐ飛んでいくさまは、じつに爽快です。自分が作って、思いどおりに打ち上がったのならば、なおさら気持ちが良いことでしょう。
ロケットのことを調べていたら、自分でもロケットを打ち上げたくなりました。

(文:忌川タツヤ)

まんがサイエンス 2 ロケットの作り方おしえます

著者:あさりよしとお
出版社:学研プラス
「5、6年の科学」に長期に渡り連載された科学まんが。毎回ユニークな専門家が登場して科学解説を担当。第2巻ではロケットについて詳しく説明。ロケットの発明からアポロまでの宇宙開拓史をドラマチックに描く。他に分解されるプラスチックの話など。

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