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『赤毛のアン』を読んで、元気になる。

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赤毛のアン』(ルーシー・モード・モンゴメリ・原作、村岡花子・編訳、村岡恵理・編著学研プラス・刊)の大ファンだ。

子どもの頃から、アンの物語は繰り返し、繰り返し読んできた。アニメも観て、映画も観て、また、最近は有料動画サイトで始まった新シリーズの『アンという名の少女』にも夢中になっている。

本と自然が想像力を育てた

『赤毛のアン』はカナダ女性のモンゴメリによって書かれた長編小説だ。1908年に出版され、原題は『グリーンゲイブルズのアン』で、たちまちベストセラーとなり、その後、40カ国語に翻訳された。日本では1952年に出版され、以来、アンは日本女性に熱狂的に愛され続けてきている。

作者のモンゴメリは、2歳で母親を亡くし、父親とも別れて祖父母に育てられたそうだ。

少女モンゴメリの心をはげましたのは、大好きな本と、島の美しい自然でした。本と自然はモンゴメリの想像力を育て、それが作家への道とつながっていったのです。どんなときも希望を失わないアンの言葉から、わたしたちは少女時代のモンゴメリの心を知ることができます。

(『赤毛のアン』から引用)

アンのお喋りが元気をくれる

孤児のアンは、グリーンゲイブルズ(緑の切り妻屋根)に住むマシュウとマリラという兄妹に引き取られて育つ。本当は畑の働き手として孤児院から男の子をもらう予定だったのが手違いでアンがやって来てしまったのだ。馬車で駅まで迎えに行ったマシュウは驚き、戸惑う。

その女の子は、年は十一歳くらい。やせっぽちで小さな白い顔は、そばかすだらけです。着ている服は、はい色のもめんで作られたそまつなもので、そのうえ、ひどく短くて、きゅうくつそうでした。こい赤毛を、二つに分けたお下げにして、せなかにたらしていました。

マシュウが近づいていくと、女の子はうれしそうに、古ぼけたかばんを持って、立ちあがり、もう一方の手をマシュウにさしだして、「あの、マシュウ・クスバートさんですか?」と、いいました。それは、とても美しくすんだ声でした。

(『赤毛のアン』から引用)

とりあえず、女の子を連れ帰ること決めたマシュウは、馬車の上で楽しそうにお喋りをはじめるアンの声を聞いているうちにとても愉快な気分になっていく。

花盛りのヤマザクラと、しなやかな白樺が立ち並ぶ坂を下っていくと、

「あら、きれいだわ。ねえ、おじさん。あの土手からはみだしている、真っ白なレースのような木を見て、何を思います?」

「そうさな、わしにはわからんな。」マシュウは、ぼそりと答えました。

「花よめよ。……ね、そうでしょう。何から何まで、真っ白なしたくをして、かすみのようなベールをつけた花よめよ。あたし、まだ見たことないんだけれど想像はできるは。」女の子は、楽しそうに話しつづけています。

(『赤毛のアン』から引用)

そう、このアンの想像力の豊かさと、明るいお喋りに、読者はどんどん引き込まれていくのだ。

果たしてクスバート家の養女となったアンは、そこでたくさんの失敗をしながらも、思いやりのある素敵な女の子へと成長していく。

憧れのプリンスエドワード島

物語の舞台は自然がとても美しいカナダのプリンスエドワード島だ。私を含め、日本女性がアンの世界のとりこになる理由は、日本にはないロマンチックな風景がそこにはあり、そして、島で繰り広げられるお茶会などのさまざまな文化に物語を通してふれることができるからだろう。

イチゴ水の騒ぎ”のエピソードは、私が『赤毛のアン』をはじめて読んだとき、いちばんワクワク、ドキドキした章だった。

アンは腹心の友、ダイアナをマリラの留守中に茶に招く。ふたりは大人になった気分で、言葉遣いも大人ぶってたのしいひとときを過ごすのだが、イチゴ水と赤ワインを間違えてダイアナに飲ませてしまったため大騒動になってしまう。

私の少女時代には、まだワインなど置いてある家庭はほとんどなかったし、またイチゴ水というものにも、とても憧れた記憶がある。

欠点もチャームポイントになる

ところで、本の題に赤毛”をつけたのは日本語訳が最初だそうだ。
日本がアニメ化した、それ以降からは同様のタイトルをつける国も出てきたようだが、そもそも赤毛は欧米ではネガティブなイメージだったのだそう。

アンは最初、自分の赤毛が大きらいでした。黒髪にあこがれていました。ヨーロッパではその昔、赤毛は美しいとされていなかったからです。とくいの想像力を使っても、この髪の色だけはわすれることができませんでした。だからアンは、リンド夫人やギルバートに赤毛だといわれ、かんしゃくを起こしてしまいます。女の子だったらだれでも美しくなりたいと思っているものです。

(『赤毛のアン』から引用)

アンは多くの失敗をするものの、素直で、また、頑張り屋で勉強にも励んだ。自分を引き取って育ててくれたマシュウとマリラが自慢できるような女性になることがアンの目標だったのだ。

みんなに愛される優しい少女となったアンは、いつのまにか赤毛のことも気にならなくなりました。むしろそれはアンの魅力になりました。性格や見た目の欠点は、最高のチャーム・ポイントに大逆転することがあるのです。そのことを『赤毛のアン』はしょうめいしてくれています。

(『赤毛のアン』から引用)

名作というのは何度も繰り返して読め、そのたびに感動を与えてくれる。本書は長編を、子どもたちが読みやすいように構成しなおした一冊だが、アンの魅力をあますことなく伝えてくれている。

明るく元気に生きたい人に、おすすめだ。

(文:沼口祐子)

赤毛のアン

著者:横山洋子(監修)、ルーシー・M・モンゴメリ(作)、村岡花子(編・訳)、村岡恵理(編・著)
出版社:学研プラス
孤児院から、男の子を引き取ろうとしていたマシュウとマリラのもとに、間違えて連れてこられたやせっぽちの女の子アン。

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