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女に財布を開かせるコツがある!?

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以前、元ホストに「女に財布の開かせるコツ」を教えてもらったことがある。
一番最初に財布を開かせるまでが一番難しいのだそうだ。そして、一度開いてしまった財布は、次々と引き出す口実を作り続ければ閉じないのだとか。そんなうまい話があるのだろうか。

財布を忘れていく

ホストに言わせると、最初に財布を開かせるコツは、自分が財布を忘れていくことなんだそうだ。
確かに、彼は財布を持っていないのだから、女性がお金を出すしかない。実に単純な仕掛けである。そして、最初は少額のものをねだること。たとえばタバコ1箱だったり、帰りの電車賃だったりというワンコイン以下のものなのだとか。

このくらいなら、と女性がお金を渡したらしめたもの、次回からは少しずつ彼女がお金を出す回数や金額を増やしていく。食事代を払ってもらったり、洋服を買ってもらったり、と少しずつ額が増え、気付いたらものすごく貢いでいることになっているのだとか。

プロの手口とは

彼に話を聞いた帰り、突然雨が降り出した。
すると彼が「俺、傘を持って来てないんだ」とつぶやいた。
私が「そうなの? 困ったね」と言うと、再び「傘を、持ってないんだよね」と繰り返した。
そして彼が目線を動かすと、そこにはコンビニがあった。呼び出したのは私だし、コンビニのビニール傘くらいなら……と考え始めたところで彼が笑い出した。

「今、一瞬迷ったでしょ? 俺に傘を買ってやんなきゃって気になったでしょ?」

彼は、おねだりなんてことはしないのだそうだ。
あれが欲しいとか、あれ買って、などというダダをこねる子どものような振る舞いをせず、相手に自分が払いたいという気持ちにさせればいいのだと。人からお金を引っ張るプロの手口を目の前で見せてもらったわけだけれど、実に鮮やかなものだった。

おいしさのために

最近、私は『クギのスープ』(YellowBirdProject・著/YellowBirdProject・刊)という童話を読んだ。
森で迷った旅人が辿り着いた一軒の家。そこにひとりで暮らすおばあさんは、お前など入れてやらん、帰れ帰れ、と冷たい。だが旅人は「世界一おいしいスープをごちそうしますよ」と言って、キッチンに入れてくださいと頼むのだった。

おばあさんが旅人を入れ、鍋を貸すと、旅人はお湯の中に数本のクギだけを入れて味見をし「うーん、どうも味が少し薄い。すみませんが、小麦粉を少し分けてもらえませんか」と言う。おばあさんが小麦粉を出すと次はベーコン、そして野菜……。旅人は「おいしいスープのため」と、次々彼女に食材を出させていく。

お財布を開く理由

やがておばあさんの家の食材で作られたおいしいスープが出来上がる。タダで食事にありついているのだから旅人からすればそりゃあ「世界一おいしいスープ」であろう。しかし、おばあさんまでもが「なんておいしいんだろう!」と感動していた。これはなぜだろうか。

もちろんおばあさんだって、自分が彼にいろいろあげているということに、途中で気づいていたはずだ。しかし、おいしいスープを食べたいがために、もう引き下がれなかったのだ。
人は目的や理由があれば貢いでしまう。ホストをナンバーワンにするために女性客が貢ぎまくっているのも、それがひとつの目的だからなのだろう。すでに投じたお金を無にしたくないので、やめるにやめられない心境になってしまうところは、ギャンブルと似ているのかもしれない。

絶対必要なときめき

そして目的や理由があるからだけではない。おばあさんはスープを待っている間、ずっとワクワクしていたはずだ。そして女性客は彼を支えている自分に、ずっと酔いしれていたはずだ。二人の間に共通しているのはときめきである。
ときめきがプラスされてこそ、女は財布を緩めるのだろう。もちろん、誰にでもフルオープンになるわけではない。そこには何かしらの魅力が必要だ。

おばあさんは料理を作るという男に魅力を感じたのだろう。森で一人暮らす彼女は、長いこと誰からも料理を振る舞ってもらってなどいなかったはずだ。そしてホストクラブに通う女性たちも同じで、ホストが彼女らを気にかけ、優しく接してしてくれるからこそドンペリを開けるのだ。それは彼女たちが男性に愛されていない寂しさを抱えているからだ。女性の飢えを読み取り、的確にアプローチできる男性こそが、おいしい思いをできるのである。

(文・内藤みか)

クギのスープ 【日本語/英語版】

著者:YellowBirdProject(編)
出版社:YellowBirdProject
世界中を旅してきた男が見つけた、世界で一番おいしいスープ。それが「クギのスープ」です。レシピは簡単。まずは煮立ったお湯に、どこにでもあるクギを放り込みます。それからそれから・・ 【きいろいとり文庫 第32作品目】

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