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発達が気になる子との向き合い方

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先日、有料動画サイトで『イミテーション・ゲームエニグマと天才数学者の秘密』を観た。
第二次世界大戦中に解読不可能と言われていた暗号エニグマを解読した、イギリスの天才数学者のアラン・チューリングを描いた作品だが、私はとても感動した。

チューリングは史上初となるコンピューターを作った天才。しかし、おそらく発達障がいのひとつであるアスペルガー症候群と思われる特性があり、人とのかかわりが苦手、興味の偏りやこだわりが強いなどが、彼の人生を悲劇にしてしまったのだ。

ASDのあると思われる人々

アインシュタインやエジソンもアスペルガー症候群だったと言われている。
また、現代では、自らアスペルガー症候群を公表している有名人も多く、その中にはスティーブン・スピルバーグ監督もいる。

オーストリアの小児科医、ハンス・アスペルガーが研究し、その名にちなんでつけられたのがアスペルガー症候群だ。知的障がいや言語障がいの症状はないが、対人コミュニケーションに問題があり、また、特定の分野に対するこだわりが強いなどの特性が見られる。

現在の診断基準では、アスペルガー症候群を含む自閉症やそれに似た特性のあるものを総称でASD(自閉症スペクトラム障がい)と呼ぶそうだ。

ココロとカラダほぐしあそび 増補改訂版 発達が気になる子といっしょに』(二宮信一・著学研プラス・刊)によると、

ASDのある子は困難さや不得意なことがある一方で、素直でまじめだったり、一芸に秀でた能力を持っていたりと、すばらしい面がたくさんあります。(中略)有名な起業家や芸術家、学者など、社会で活躍している方の中にも、ASDがあると思われる方が多くいます。

(『ココロとカラダほぐしあそび 増補改訂版 発達が気になる子といっしょに』から引用)

とある。

「できた!」という達成感を大切にする

本書は、わが子の発育が少し遅いのでは?と感じ、そのような子どもとどう向き合うべきか悩んでいるすべての親たちに手にとってほしい一冊。

ひとりひとり違う、さまざまな発達が気になる子どもが、何に困っているのかを理解した上で、あそびを通じてその心と体に働きかけていこうという手引書だ。

子どもはあそぶだけで、さまざまな発達が促されるそうだ。体が育つ、知覚が育つ、そして社会性が育つなどだ。

しかし、発達が気になる子どもというのは、認知に偏りがあるなど発達にアンバランスさが見られるという。運動面では不器用さが目立ったり、人との関わり面でも困難が見られ、あそびに集中できず、楽しめないことも。こういう様子が見られると意欲の喪失、努力の放棄へとつながってしまう。楽しいはずのあそびそのものが高いハードルになってしまうのだ。

発達が気になる子には、その子が持つ特性や課題をとらえて、あそびを選ぶことが肝心だ。

この本では、イラスト解説付きでさまざまな遊びが紹介されているが、そのひとつひとつに<ねらい>と<Point>が記されてる。
ねらいでは、どのような特性、困難をもった子どもを対象にしているのかとその目的を示している。また、Pointではあそびの意図、親や保育者が遊びを充実させるヒントを解説している。

知って、動いて、感じてあそぼう!

どんなあそびがあるのか、ちょっと紹介してみよう。

体を知るボディタッチリレー
「頭、おへそ」など指示通りに、自分の体を触るゲーム。最初は11で、慣れてきたら人数を増やして同じ場所を触りながらリレーしていく。発達障がいのある子どもの中には、触られるとパニックになる子もいるのでどこを触るのか声をかけ、心の準備をさせてから触ることも大切。

動き方を知るわくわく冒険コース
体の動きが不器用な子におすすめ。マットの上を転がる、筒状のトンネルをくぐる、いろいろな高さの対象物をまたぐ、段差のあるところから跳ぶ、傾斜をのぼるなど、いろいろな動きを楽しく経験できるようにサーキットを作ってあそぶ。うまくできない子どもにはよく声をかけるなど言葉によるフォローも欠かせない。

大きく動く動物まねっこ
動きがぎこちなく、体を使った表現が苦手な子におすすめ。文字通り動物のまねを全身でする。ストーリー仕立てにしたり、歌にあわせたり、また、イメージすることが難しい子どもには、親や保育者が自ら動くことが大切。

触る自然感触体験
感触体験が少ない子どもに、自然の中で感触、温度を味あわせる。絵本やテレビ、パソコンの映像では概念が身につかない。そこで、動物に触る、木や葉っぱに触れる、地面を触るなど幼児期にいろいろなものに触れ、体感をさせることが大切になる。

聞く音探偵ごっこ
音に対する意識が弱い子には、音の違いを楽しむ遊びをする。缶をたたく、紙を破るなどの音を出し、子どもたちにどんな風に聞こえたかを答えさせる。「カン」「バリ」など、言葉にすることでそれまで聞き流していた音を意識し、また聴き分ける力もついていく。

自分を知る顔を作ろう
表情が乏しく、友だちの表情の変化に気づきにくい子には、鏡を使った遊びがおすすめ。「目を大きく開いて」「口をとがらせて」など声をかけ、子どもにいろいろな表情を作らせ、観察させる。繰り返して遊ぶうちに、他の人の表情にも注目できるようになっていく。

このほかにも、親子や、保育園、幼稚園などで楽しめ、心も体も育っていくあそびがいっぱいだ。

発達が気になる子は上手に導けば、天才に育つかも。

(文:沼口祐子)

ココロとカラダほぐしあそび 増補改訂版 発達が気になる子といっしょに

著者:二宮信一
出版社:学研プラス
自閉症スペクトラム、ADHD、LDなど、発達障がいの特性をとらえたあそびのアイディアを52案収録。ソーシャルスキルが身に付けられるような集団あそびも掲載。子どもが何に困っているのかがわかり、園や学校で取り組め、発達支援につながります。

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