ハウツーが満載のコラム
文字サイズを変更する

漢字を忘れたら、まず、絵を描いてみよう!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

手書きで漢字を書こうとすると「あれ? どう書くんだっけ?」とペンが止まってしまうことがしばしばある。しかも小学校低学年レベルの漢字までうっかり忘れているなんてこともある。

つい最近も、あるアンケート用紙に記入をしていた際、隣にいた80歳近いと思われるおばあちゃんに、「あんた、その漢字間違ってるよ、そりゃ、こう書くんだよ」と指摘されてしまった。恥ずかしい限りだ。

こんな風にパソコンやスマホの漢字変換に頼っていて、漢字を書く能力が衰えたという人は意外と多いのではないだろうか?

日本語は難しい?

生後1ヶ月から異国で育った娘は日本語が苦手だ。
日本人家庭で家族の会話は日本語だったから、意思の疎通に困ることはないが、娘の日本語のボキャブラリーは乏しく、表現も発音もかなり怪しい。

大学生になった娘とはいつもメールでやりとりをしているが、娘はフランス語を、私は日本語を使っている。読むのは簡単でも、書くとなるとお互いに時間がかかって大変だからだ。

もし私が日本語なら3分で打てるメールをフランス語にしようと思ったら辞書を引き引き1時間もかかってしまう。娘が日本語でメールを打とうとした場合も同じような労力を要するだろう。そんなことをしていたらメールするのをやめてしまいたくなる。毎日のことだし、家族なんだから、お互いに通じればOKということで、我ら親子は日仏メールを続けている。

しかも、私が打つ日本語はひらがなとカタカナがほとんどで漢字はまばら……。「漢字は難しいよ」と言ってくるし、スイスイ読めないとかわいそうと、甘い母親の私はつい手加減してしまうのだ。

しかし、今後、社会人となっていくことだし、なんとか漢字を楽しく覚える方法はないだろうか?と近頃考えていたのだ。ついでに手書きで漢字が書けなくなっている自分を鍛える方法も。

自分の名前を絵に描いてみる

思い出すと幼かった娘に最初に教えた漢字は「果」と「林」だった。
名前が「果林」だからだ。
画用紙に果実が実った木を描いて「果」を、また、木を
2本描いて「林」を教えたら、「私の名前が絵になった!」と大喜びしていた。絵で記憶したせいか、1回教えただけでこの漢字はすぐに覚えることができた。

その他には、「山」、「川」、「火」、「木」、「森」なども、絵で教えた。

こんな風に絵で次々と漢字を覚えらたら、と思っていた私にうってつけの本があった。

みんなで読み解く漢字のなりたちシリーズ5 植物からうまれた漢字』(牧野恭仁雄・著ブックビヨンド・刊)がそれ。

命名研究家であり、漢字の成り立ちについて40年以上研究を続けている牧野恭仁雄さんの本は、手書きで漢字が書けなくなっている多くの人にもおすすめのシリーズだ。

動物からうまれた漢字、人体からうまれた漢字、道具からうまれた漢字など8冊からなっていて、今回私が選んだのが植物編だ。

漢字は絵にするとよくわかる

漢字は絵だった、ということは多くのかたがご存じのはずです。そして漢字は暗記によってではなく、絵としてみますと、本当の姿が見えてきます。「絵は二ガ手でね…」とおっしゃるかたでも日ごろ漢字は書くはずで、そのたびに知らずにいろいろな絵を描いているのです。(中略)ただ今の私たちが使う「楷書」という書体が、もとの絵から変化しすぎていて、自分でも何の絵を描いているのかわからないだけです。

絵にはあらかじめ決められた形はありませんし、決まった書き順、画数などあるはずはありません。だれもが好きなように描き、理屈抜きに一発で人にイメージを伝えるものです。(中略)漢字を絵として見ることは、べつに漢字を早く、たくさん覚える記憶術ではありません。(中略)ただ絵として見ることで意味がよくわかり、漢字どうしのつながりがわかり、楽しく、ラクに、系統立ててつかめるのです。

(『みんなで読み解く漢字のなりたちシリーズ5 植物からうまれた漢字』から引用)

植物の字、繊維の字

植物からうまれた漢字は「木」そして「クサカンムリ」を含むものが多いが、木や草はその種類が多いので漢字の数も膨大になる。また「糸」や「巾」を含むものは繊維の字だということもわかる。

「木」は文字通り木を描いた絵。木は人の生活に密接にかかわっているので、たくさんの漢字が作られている。

「林」は、二本の木を描いた絵。同じ木が揃った林を表わしている。

「屯」は、木の芽を描いた絵で、ふくらむ芽で「ふくらむ」や「丸い」を表わしている。

「未」は、細かい木の枝を描いた絵で、見えにくいこと、完成しないことを表わす。

「末」も、木の上の小さな枝を描いた絵で、「すえ」、「おわり」の意味に。

「朱」は、木を切ることを表わす絵で、切り株の赤い色のことでもある。

「竹」は、文字通り、竹を描いたもの。

「世」は、葉のついた3本の枝を描いた絵で、長くのびることを表わす。

「米」は、田んぼのイネを描いた絵が米の字になったと思われる。細かい、見えにくいという意味も。

「麻」は、屋根の下に2本の木を描いた絵で、アサの長さをそろえること。また、こすって糸にするとき手がしびれるので、こする、しびれるという意味も表わす。

「糸」は、糸をよっていく絵で、「紡」、「組」、「縫」、「綾」などにつながっていく。

「巾」は、ひっかけた布を描いた絵で、「布」や「帆」につながっていく。

「卒」とは服がボロになること

本書では、絵(イラスト)が漢字に変化していく様子がわかりやすく示されているので、それらを見ているだけでも楽しい。

中でも、「卒」の字は、着古してボロボロになった服の絵だったということには驚いた。この字は単独では、役目を終えるという意味だそう。

今の卒業式で、卒業生がボロボロに破れた服で並んでいたらヘンですが、卒の字はもとは「服がダメになったよ」ということなのです。

(『みんなで読み解く漢字のなりたちシリーズ5 植物からうまれた漢字』から引用)

漢字って、とってもおもしろい! そう思える本だ。

(文:沼口祐子)

みんなで読み解く漢字のなりたち5 植物からうまれた漢字

著者:牧野恭仁
配信ストア:学研BookBeyond
シリーズ第5弾は「植物編」。(クサカンムリ)の本当の意味や、木と林と森の違い、糸など繊維に関連する漢字をイラストからわかりやすく読み解きます!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

関連記事