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サソリ酒飲んでも人体に問題がないのはなぜ?

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以前、昆虫が食べられる居酒屋に行ったことがある。
僕は昆虫を食べることにそれほど嫌悪感がなく、いっちょー食べてやるかくらいの気持ちで行った。

そのときに食べた昆虫は、カイコ、イナゴ、ハチノコ、バンブーワーム、そしてゲンゴロウだ。

ゲンゴロウは食べづらい

カイコ、イナゴ、ハチノコに関しては、以前食べたことがあるので慣れたもの。バンブーワームは、竹に住むイモムシだ。見た目はもろにイモムシ。ただ、食べてみるとそれほどクセはなく、なんなくこれもクリア。

最後に控えていたのが、ゲンゴロウ。これはなかなかの強敵だった。まず見た目。素揚げの状態で出されたのだが、黒光りしている。箸でつまもうとするとツルリと滑ってしまう。最終的には手づかみで口に入れたが、固くてなかなか噛めない。味も決しておいしいとはいえない。

しかし、食べた。

ゲンゴロウを制覇した僕は、その後オオグソクムシなども食べた。これはエビみたいでおいしかった。

毒のあるサソリを漬け込んだ酒は飲んでも大丈夫?

さて、本題。

実はその昆虫を食べる会をしたお店には、変わったメニューがいろいろある。アルコール類もいろいろ変わったものがあったのだが、僕は「サソリ酒」を頼んだ。

サソリ酒は、サソリをウォッカに漬け込んだもの。飲んだ限りは、ほぼウォッカ。瓶のなかにサソリがいる以外は、あまりサソリのお酒だという感じはしなかった。

そのお店は、ウォッカの瓶に大量のサソリが入っていた。通常は1瓶に1匹しか入っていないらしいが、飲み終わった瓶からサソリだけを取り出して次の瓶に入れているということで、僕の飲んだ瓶には、軽く20匹くらいのサソリが入っていた。

そのときはテンションも上がっていたので、特に何も思わなかったのだが、確かサソリには毒があったはずだ。ウォッカに入っていたとは言え、これは問題ないのだろうか。

そう思い、『毒学教室』(田中真知・著/学研プラス・刊)を手に取ってみた。

サソリの毒は人の役にも立っている

本書には、動物、植物などの自然界に存在する毒から、合成物の毒まで多種多様の毒に対する解説と雑学が掲載されている。

そして、サソリに関する記述もあった。それによると、サソリには人を死に至らしめる強力な毒を持った種類もいるが、食用に使われているサソリの毒はごくわずか。また、胃腸から吸収した場合はほとんど毒性を発揮しないとのこと。ひとまずは安心だ。

なお、サソリの毒は「神経毒」と呼ばれるもので、筋肉の収縮が続き、激しい痛みやけいれん、呼吸麻痺などを引き起こすとのこと。

しかし、近年ではサソリの毒から抽出される「クロロトキシン」という成分を、脳腫瘍の治療に用いる方法が研究されている。

クロロトキシンは脳腫瘍の3割を占める神経膠腫(グリオーマ)の腫瘍細胞と結合しやすいという性質があります。そのためクロロトキシンをもとにグリオーマの腫瘍細胞の増殖を抑える治療薬が開発されています。

(『毒学教室』より引用)

サソリの毒は、人間の病気の治療に役立っているのだ。中国では古くから漢方としても珍重されてきていた。

ヘビの毒は飲んでも大丈夫?

ちなみに、ヘビの毒などは、経口摂取をしてもほとんど効果が現れない。つまり、飲んでもほぼ大丈夫なのだ。

コブラのような毒ヘビに咬まれた場合は命にかかわりますが、もし同じ毒が口から入った場合には、胃酸や酵素による分解を受けるために、直接咬まれたときほどの毒性は発揮されません。

(『毒学教室』より引用)

ただし、口内に傷があったり、虫歯があると話は変わる。口内の傷から直接毒が入ると、噛まれたときと同じような効果が現れてしまうという。
もし、ヘビの毒を飲まなければいけないという自体にあったら、事前に虫歯の治療をしておいたほうがよさそうだ。

(文:三浦一紀)

毒学教室

著者:田中真知
出版社:学研プラス
「”神経毒”のメカニズム」など、毒に関する基礎知識、「知なかった毒の名前」「毒の化学式」など、毒に関する基礎知識を紹介。そのほか、「毒と人間の歴史」「利用されてきた自然毒」など、思わず人に話したくなる話題が満載の雑学図鑑。

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