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身近な犯罪から身を守るには何をすべきか?

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私が生まれ育った静岡の実家は夜寝るとき以外は玄関に鍵をかけていなかった。
昭和
30年代のことだから、物騒な事件が身近で起こることは稀で、どこの家庭でも在宅中に鍵をかける必要などなかったのだ。

親戚や友人のアポなし訪問は当たり前で、いつ何時でも、玄関をガラガラっと開けて入ってこられる家であるべきと人々は考えていた。日中から鍵などかけたら、それこそ近所から閉鎖的”と思われてるのがオチだった時代だ。

ご近所の目が防犯につながる

子どもの頃は家には電話はなかった。
というか電話がある家のほうが少なかったため、小学校のクラス名簿の電話番号欄には(呼)と書かれた児童のほうが圧倒的に多かった。

私の場合は(呼杉山宅)。お隣は杉山さんという大工を営む一家で事務所兼自宅だったので、向こう三軒両隣の電話連絡先となっていたのだ。

玄関どころか真冬以外は窓も開けっ放しの家がほとんどだった時代だから、

「ゆうこちゃ~ん! 電話だよ~!」と杉山さんのおじさんかおばさんが家の中から叫べばその声はじゅうぶんに聞こえた。で、私は杉山さんちの開いてる玄関から勝手に上がり込み、ときにはご一家の食事中に、その後ろで通話をしていたのだ。プライバシーなんてまるでなしだが、それはそれで振り返るとのどかでいい時代だった。

また、常に“ご近所の目”があるから、不審者が侵入しにくく、それが防犯につながっていたのだとも思う。

そして時は流れ、2017年になっても田舎ではこの習慣は変わっていないように思う。
私は現在、北関東で義父母と同居しているが玄関を施錠するのは夜
9時から朝7時、そして外出のときだけだ。つい最近加わった私は新参者だが、義父母のように町内には長年同じ場所で暮らしている住民が多く、ここにもご“近所の目”がいつも光っているのだ。

欧州の玄関は勝手に閉まる

ところで、欧州で暮らした20年間は“玄関の鍵は勝手にかかってしまう”ので、自分が締め出されないように気を配る日々だった。

あちらの玄関ドアは日本のそれと比べるとかなり頑丈にできていてびくともしない。
また、防犯の為にドアノブは内側にしかないので、ちょっとゴミ出しなどしてるうちに風が吹いてバタンとドアが閉まったら、さぁ一大事。家の中に家族がいればいいが、一人だったら、もう家の中には戻れない! そうなったら外で家族が帰るのを延々と待つか、あるいは、鍵開け職人を呼ぶしかなくなる。

締め出される人は時どきはいるようで、アパートの玄関ホールの緊急連絡先には“鍵開けダイヤル”がリストに入っていた。で、これが結構な費用を取るらしいのだ。鍵の偽造がしにくい最新のアパートほど料金が高く、日本人駐在員家族の中には1000ユーロ(10万円以上!)も鍵開けに支払ったケースもあったそう。まぁ、これはボラれた可能性も否めないが、それでも200300ユーロ取られるのは普通だ。

そこでケチな私は合鍵を隠すことにしていた。が、玄関の鍵をドア付近に隠すのは危険なので、地下カーヴ(物置)の鍵を目立たない壁面に貼り付けておいた。そして、玄関の合鍵はカーブの中に山と積まれたダンボールのひとつの中に隠すことにした。これなら万が一、泥棒がカーブの鍵を見つけても、その先の大捜索は不可能だろうと思ったのだ。

作戦は成功し、自分が締め出されてカーヴに合鍵を取りに行ったことは何回かあったものの、幸いにも空き巣に入られたことはなかった。

悪人が犯罪をあきらめる理由

はじめよう地域防犯』(小宮信夫・監修東京法規出版・刊)は、空き巣、ひったくり、誘拐、強姦などの身近な犯罪から身を守るためのマニュアル本だ。

犯罪を未然に防ぐには、一人ひとりの心がけと防犯対策に加えて、犯行の機会をうかがう犯罪者に「この地域では犯罪がやりにくい」と思わせることです。

(『はじめよう地域防犯』から引用)

ここに警視庁のデータが載っている。犯罪者が犯行をあきらめた理由だ。

その1位は「近所の人に声をかけられたり、ジロジロ見られた」が63%でトップ。やはり“近所の目”は重要なのだ。

2位が「ドアや窓に補助鍵が付いていた」で34%。日本は安全だったけれども、今後は、日中の在宅中でも玄関に鍵をかけるように地域みんなの意識を変えていくべきだろう。

犯罪防止ににはペットもひと役のようで、犯行をあきらめた理由3位は「犬を飼っていた」が31%となっている。

そして4位は「防犯ビデオカメラが付いていた」で23%、5位は「パトロール中の警察官に出会った」が20%という結果になっている。

つまり、犯罪者は地域の共同体意識の希薄な街を探し、狙っているというわけだ。

見通しをよくし暗がりをなくす

プライバシーを守ることも大切だが、家を高い塀で囲ったりすると、そこは犯罪者の隠れ場所にもなりかねない。

家の周りはなるべく見通しをよくし、また、門灯や防犯ライトを設置して夜間も明るくすることが肝心だ

さらに、子どもたちが狙われないようにするには、遊び場である公園などの死角をなくすために、高い樹木は目の高さより下の枝を切り落とすだけでも犯人を近づけない効果があるという。

また、痴漢やひったくりを防ぐには、夜道を可能な限り明るくするよう、防犯灯の設置を地域で推進することも大切だ。

さまざまな犯罪が多発してきた今、地域住民が一致団結して“防犯コミュニティーづくり”に取り組むべきだろう。

(文:沼口祐子)

はじめよう地域防犯

監修:小宮信夫
出版社:東京法規出版
毎日のようにメディアを騒がせている数々の犯罪。日本の「安全神話」は完全に過去のものになりました。個々人が防犯意識を高めることはもちろんですが、今こそ地域をあげて防犯対策に取り組むことが求められています。本冊子は、こうした「地域防犯」の必要性について述べたうえで、空き巣やひったくりといった窃盗事件対策、また子ども・女性・高齢者をねらった様々な手口の犯罪に対処する基本的な知識を紹介しています。犯罪が起きにくい街づくりに役立つ一冊です。

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