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「忖度」って英語でなんて言うの?

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「忖度」。
この言葉、少し前はどの局の情報番組でも旬なワードとして取り上げられていた。一連の報道の中で面白いなと思ったのは、例の大阪の幼稚園の理事長が外国人記者クラブで会見を行った時、忖度という言葉を英語に訳す段で話の流れが止まった場面だ。日本語のままのニュアンスの英語がない、という発言もあった。

忖度=空気を読む?

現場では“read between the lines”という表現で一応落ち着いたようだが、その後も多少の混乱があり、通訳さんにバイリンガルの弁護士さんも加わって意味に関する補足説明が行われていた。

忖度という言葉の響きと意味に惹かれ、さまざま辞書を調べたところ、英和機能も和英機能もある『英辞郎on the WEB Pro』というオンライン辞書に、興味深い記述を見つけた。

忖度する→推し量る、推量する、空気を読む、気持ちを察する

『英辞郎on the WEB Pro』より引用

「空気を読む」をクリックすると、“read between the lines”が出てきた。言い替えのバラエティーはあるものの、忖度=空気を読むとすることは、日本語では不可能ではないようだ。

そういえば、「KY」という言葉がはやったことがある。

「空気読めない」という意味でこの言葉が使われ始めたのは、たしか2006年だったと思う。そもそも女子高生のボキャブラリーとして生まれたが、2007年夏の参議院選挙で大敗しても存続した当時の安倍内閣が「KY内閣」と形容されたことから、さまざまな年代で広く知られることになった。

「KY」の使い方からもわかる通り、空気を読むというのは、日本では絶対必要とは言わないまでもどこか望まれ、状況によっては求められるスキルであることがわかる。

空気を読むという感覚は日本独自のものか

筆者の個人的体験から言えば、日本人のような感覚で空気を読む外国人は珍しいと思う。アメリカ人を相手に、日本人と同じ感覚で空気を読めるだろうことを前提に話を進め、途中であやふやな感じになり、結局は「言葉に出して言ってもらわなきゃわからない」と言われた経験が何回かある。

ところが、最近はアメリカでも状況が変わってきているようだ。先ほどのread between the linesで検索をかけると、people skills(人との接し方・付き合い方)とかlife coaching(生き方のカウンセリング)という単語が目立つサイトに行きつく。

どうやら、今のアメリカでは日本で言う空気を読む感覚が昔よりはるかに重要視されていて、ビジネスであれ私生活であれ、ものごとを円滑に進め、成功を手にするためのキーワードになっているらしい。成功するビジネスパーソンは空気が読める。そんな考え方が一般的になっているのだ。

アドラー心理学式ライフコーチング

こうしたトレンドの主流になっているのが、アドラー心理学の要素を取り入れたコーチングである。アドラー心理学とは、ごく簡単に定義するなら、「勇気づけ」と「共同体感覚」を基盤とする心理学だ。life coaching の中でも実践的なものとして認識されているこの方法について詳しく書かれているのが、『人の気持ちがわかる人、わからない人』(和気香子・著/クロスメディア・パブリッシング・刊)だ。

和気さんは元女優で、芸能界を引退後アメリカに留学してMBAを取得し、外資系企業を数社渡り歩きながらキャリアアップしてきた人物だ。しかし、6社目で中間管理職に就くことになり、上司とも部下ともうまくコミュニケーションが取れなくなって、辛い思いを強いられることになった。

そんな状態から救ってくれたのが、アドラー心理学の要素を取り入れたコーチングだった。そして和気さんは、自分が救われるだけで終わらなかった。自分の中に起きた変化があまりにも劇的だったので、コーチングのスペシャリストになることを目指す気持ちを固めた。

大切なのは視点と想像力

和気さんは言う。

コーチングに出会う以前の私は、“ヒューマンスキル”つまり「人の気持ちをわかる技術」を身に付けていなかったために、まわりとうまく付き合うことができず、自分の良さを活かすことができずに長い間悩んでいました。

『人の気持ちがわかる人、わからない人』より引用

そして和気さんは、多くの人たちにコーチングを施していく過程で、「人の気持ちがわかる人は、そもそも自分自身がどのような気持ちでいるのかに敏感である」ことを理解する。

 自分の状態を知ったうえで、どう感情を整理するかを心得ています。自分をわかっている、とも言えるでしょう。

『人の気持ちがわかる人、わからない人』より引用

本書によれば、人の気持ちをわかるために必要なのは
①【他人・自分・物事】をどういう視点でとらえるか
②いかに想像力を働かせるか
である。

とてもシンプルなので、誰でもいつでも意識できるはずだ。

この大原則を常に意識するため、本文中にいくつものエクササイズが準備されている。こうしたエクササイズを通じて、人の気持ちをわかるということ、そして自分自身の気持ちに敏感であることを実践し、確認できるようになっている。

忖度する。空気を読む。あるいは、慮る。
自分の周囲の人たちや状況について推し量る行いを意味する言葉はたくさんある。しかし、それぞれのニュアンスを煮詰めていくと、最終的に残るのは視点の置き方と想像力という二つの要素であることに気づいた。

 (文:宇佐和通)

人の気持ちがわかる人、わからない人

著者:和気香子
出版社:クロスメディア・パブリッシング
「良い人なのだけど何か損している」「IQは高いのにEQは低い」……なぜか??? 〝人の気持ちがわからないから〟という場合が少なくないのではないでしょうか。「察する」文化が根強い日本では、仕事や人間関係のストレスが人の気持ちをわかる人かどうかに、大きく左右されてしまいます。しかし、コーチング・心理学に裏付けられた本書のメソッドを使えば、誰でも、いつからでも、その技術を身に付けることができます。日刊ゲンダイ・日経の記事でも高い人気を誇り、注目を集めているプロ・コーチの初の著書。

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