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子どもの気持ちがわからないと嘆く大人たちへ

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子どもの行動って不可解だ。
そして、その裏には何か意図があるのだろうが、いかんせん理由がわからない。自分もかつて子どもだったはずなのに、あの頃の気持ちを思い起こすことは難しいのだ。

なんでケンカばっかりするかなぁ。
石を大切に持って帰ってくるけど、そんなに大事?
そもそも、どうして泣いているのかわからない。
危ないことばかりしたがるから困ります。

いつも菩薩のように優しく接することは無理だとしても、できるなら柔軟に対応したいところだが、実際には日々ガミガミ母さんになっている。もう少し子どもの心に寄り添って、子育てがしたいのに。

保育の世界45年の経験から導き出されたアドバイスは、まさに神

これまで数々の子育て関連本を読んできたが、最近深く感銘を受けた一冊がある。子どもに関わるトータルな仕事をする場「りんごの木」の代表・柴田愛子さんの著書『保育の瞬間 「りんごの木」の保育・子育てエピソード』(学研プラス・刊)である。

実に保育の世界に携わってから45年間、子ども一人ひとりをよく観察して、真摯に向き合ってきたからこそ、柴田さんには子どもの気持ちがわかる。「自分の子どもなのに、子どものことがわからない……」と嘆く親たちに向けた温かなアドバイスの数々は、まさに神レベルである。

泣いている理由が知りたい大人へ

子どもはよく泣く。
赤ちゃんの頃は、おむつが汚れた、お腹が空いたなど、何かしら不快なことが理由で泣くのがほとんどだ。もしくは、ママに相手をしてほしくて泣く。
私も3人育ててきた経験から、乳児の頃の泣きの原因はほぼ理解し対応できるようになった。

だがしかし。

幼児になった途端、泣いている理由を思い量ることが難しくなった。どうして泣いているのか理由を聞いても、だいたいの場合は答えが返ってこない。

「実は事情を言える子は泣きません」と柴田さん。
理由が言えないからこそ、泣けてしまうのだという。泣いているときは、まさに感情が揺れ動いている混乱状態。そんなときに「どうして泣いてるの? 言わなきゃわかんないでしょ!」と問い詰めることで、子どもはさらに困って泣けてきてしまうというのだ。

子どもが泣いていたら、まずは表情を見る。怒っているのか、悲しいことがあったのか、甘えたいのか、体調が悪いのか。
そして、悲しそうであれば「悲しいことがあったね」、甘えたいときなら「抱っこしようか」などと、子どもの表情が訴えかけている声掛けをしてあげること。それで泣き止んで理由を話してくれることもあるが、何も言わないときもある。そんなときは、自分で収められたのだろうと、余計なことは言わなくていいのだ。

子どもにとって泣くことは、一番ストレートな表現。
泣き方から心情を察するカンを磨きましょう。

(『保育の瞬間 「りんごの木」の保育・子育てエピソード』より引用)

 「みてみて!」にどう反応したら良いか困っている大人へ

「ママ、みてみて!」
3歳後半頃から、この言葉が一日の大半を占めるようになる。
はじめの頃は「わー!すごいね!」と毎回返していたが、正直「え、それ?」という内容のことも多く、だんだんと反応に困ってきた。

柴田さんはこう話す。
子どもたちが「みてみて!」と連呼するのは、自分がこんなこともできるんだよ!と自慢したい、自分がすごいと思われたい証。誰かが誉められたら「私もできる! 私も誉めて!」とみんなが挑戦していく。そして、すごい勢いで成長していくのだと。
それは、自我の芽生えと同時に、自分が認識されて、自分に誇りを持つということ。
「みてみて!」と連呼する年代は、これからの長い一生の中で「自分の人生、自分が主役」という、自分を支える根っこをはっている時期なのだと柴田さん。だからこそ、ちょっと面倒かもしれないが、その都度「すごいねぇ」と声をかけていくことが大切なのである。

『みてみて!』『じぶんで!』は、
自分という根っこを大きくはっているときです。

(『保育の瞬間 「りんごの木」の保育・子育てエピソード』より引用)

 危ないことばかりする子どもに手を焼いている大人へ

よっぽど危険なことでないかぎり、「やめなさい!」なんて言わなくても大丈夫。
頭ではわかっていても、やっぱり危ない場所にのぼったり、ケガをしそうなことばかりする子どもを見ていると、口を出さずにはいられない。

でも、柴田さんはこう言う。
子どもが大人にとってヒヤヒヤするようなことばかりするのは、今、自分が発達するために必要なことを、生活の中でちゃんと選びとっているからなのだと。高い壁から飛び降りたり、木にのぼったりと子どもが夢中になることは、大きくなるために必要なものが圧倒的に多いのだそうだ。
子どもだってケガはしたくない。多少の危険性があることを承知の上で挑むのであって、大人は信じて見守り、大きなケガに繋がらないようにだけ配慮することが必要なことなのだ。

自ら育つ能力を持っている子どもたち。『かっこいい!』と思い、チャレンジすることが、今、育とうとしていること。

(『保育の瞬間 「りんごの木」の保育・子育てエピソード』より引用)

子どもは大人の思い通りにはならない。子どもだって、小さいけれど立派な一人の人間で、個性があって、意志があるのだから。柴田さんのアドバイスは、「?」だらけの子どもたちの行動が「!」に変わり愛おしくなる、そんな珠玉の言葉たちだ。

(文・水谷 花楓)

保育の瞬間 「りんごの木」の保育・子育てエピソード

著者:柴田 愛子
出版社:学研プラス
「ひとりぽっち」「みんなと一緒にできない」…気になる子どもの姿を通して、目の前で起こる子どもたちのきらきらした瞬間を、保育者・保護者から絶対の信頼を得ている著者が、温かなまなざしでとらえます。これを読めば、保育が変わります!

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