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”隣人持ち寄りパーティ”が孤独死を防ぐ

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<ラ・フェット・デ・ヴォワザン>をご存じだろうか?
フランス語だが日本語に訳すと<隣人パーティ>あるいは<隣人祭り>となる。

きっかけはパリ17区のアパルトマンで起こった高齢者の孤独死だった。

隣人たちの交流があれば孤独死は防げたはずという反省をもとに、アパルトマンの住民が中庭に集まって持ち寄りパーティを開いたのがはじまり。それが1999年のことで、以来、これが市民運動として拡大。現在ではヨーロッパ各地の150を超える市で毎年<ラ・フェット・デ・ヴォザン>が催されている。

フランスでは今年も519日に各地のアパルトマンの中庭に住民たちが、食べ物や飲み物を持ち寄って集い、大盛況だったようだ。

ひとりが一品ずつ持ち寄ると豪華なバイキングに

そもそもフランスはホームパーティが盛んな国で、そのスタイルは持ち寄りがほとんど。基本、ひとり一品ずつがルールで、料理、デザート、飲み物などを各自が持参する。料理上手なマダムは張り切って手料理を作ってくるし、料理が苦手なムッシュはとびきりのワインを振舞ったり、新鮮なフルーツを持ってくる人、スナック菓子やペットボトルの飲料を買い込んでくる若者もいる。

鍋ごとの煮込み料理、ボウルに山盛りのサラダ、キッシュやピザ、ケーキやクッキー、さらに外国人の住人が作った各国の料理などがすべてテーブルに並ぶと、豪華なバイキングとなるのだ。

私は持ち寄りパーティのときは、よく太巻き寿司を作って、寿司桶に並べて持っていった。フランス人たちは「スシ、スシ!」と喜んで食べてくれたものだ。

高齢者や外国人が孤立しないように

隣人パーティでは、ひとり暮らしの老人たちがとても張り切っていた。かつて私が暮らしていたアパルトマンの隣人はひとり暮らしのおばあちゃんで、彼女は隣人パーティの日は得意料理を住民みんなに食べてもらえるのがとても嬉しいと言っていた。また、この交流をきっかけに、普段の日でも、上手にできた料理やケーキを「ひとりじゃ食べきれないのよ、よかったらどうぞ」と持ってきてくれるようになった。

また、別の階に住んできたひとり暮らしのおじいちゃんはかつてオーケストラで活躍したバイオリニストだったそうで、隣人パーティでは音楽を担当。それまではちょっと偏屈で近寄りがたいおじいさんという印象が住民たちにはあったのだが、パーティ以来、互いに笑顔で交流できるようになっていった。

フランスは個人主義の国だが、意外にも世話焼きが多く、必要なときはいつでも誰でも気軽に手を差し伸べてくれる懐の深さがある。

私はこの隣人持ち寄りパーティのおかげで、まったく寂しさを感じることなく異国暮らしができたのだ。

日本でも各地で<隣人祭り>

さて、孤独死を防ぐこのイベントは、日本でも2008年から<隣人祭り>として行われるようになった。フランス本部からの正式許可を得て、発足した非営利団体「隣人祭り」日本支部が、地域の隣人たちに「いっしょに食べよう!」と働きかけ、この活動は全国に広まりつつあるそうだ。

もともと日本には井戸端会議など昔ながらの隣人文化があったが、それを今の暮らしにあったスタイルで見直そうというもの。

近所の公園やお寺の境内に、食べ物や飲み物を持ち寄って、ワイワイガヤガヤ、いっしょに食べることで、孤立しがちな高齢者をさりげなく救うことができるのだ。

みんなに大うけの持ち寄りメニュー!

さて、気の合った仲間たちと“持ち寄りホームパーティ”を開いてみようという方におすすめの一冊が、『持ちよりゴハン』(ダンノマリコ・著学研プラス・刊)。持ち寄りパーティ向けのレシピ本だ。

みんなで持ちよる料理には、作り手それぞれの個性があって、テーブルのうえでは、たのしい味の出会いになります。

冷めてもおいしいもの、ホスト宅で簡単に温めたり、仕上げができるもの、取り分けて、手をのばしやすい演出も大切ですね。

簡単な料理もそんな工夫ひとつで「おいしそう!」の歓声が聞こえてきます。

(『持ちよりゴハン』から引用)

サラダ・前菜・おつまみが36品、主食が12品、デザート14品、メイン5品の持ちよりメニューはどれもこれも、とてもおいしそう。

私がさっそく作ってみたいと思ったのは、前菜では、色とりどりのピンチョス、トマトカップのクリームチーズ詰め、デコレーションしたポテトサラダ。主食では、カップご飯、2色のてまりおにぎり、ナンカレーピザ。デザートでは、キャンディ包みのデザート、ジャー入りのスイーツ。メインでは、丸鶏ロースト、3色野菜の豚肉ロール。もちろん、その他のメニューもあれもこれもと、目移りしてしまう。

著者のダンノさんがフードスタイリストなので、見せ方が最高!なのだ。

それぞれのメニューには“持ちよりポイント”があり、持ち運び方法、きれいに見せるラッピングや箱詰め、瓶詰めの方法が紹介されているので、そっくりそのまま真似すれば、パーティで大うけすること間違いなし!

(文:沼口祐子)

持ちよりゴハン

著者:ダンノマリコ
出版社:学研プラス
気の置けない友だちや仲間と、あるいは家族ぐるみで。時には集まって、おいしいものでも食べながらにぎやかに。そんなとき喜ばれる料理とアイデア。そんなときのお持たせには、包み方や持ち運ぶ器にもひと工夫。みんなの歓声が聞こえる技ありレシピばかり。

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