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腹筋が割れている人たちの世界

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最近、腹筋が割れているかどうかで、美を競う傾向があるように思います。
かくいう私もダイエットや美しい体を作るジムのコマーシャルを見ては、ため息をついております。
腹筋がないはずがないのですが、厚い脂肪に覆われて、どこにあるやら、なかなかその姿を現してはくれません。
これはいかん・・・。
何とかしなくては、と、思うものの、ビールはおいしいし、食欲はとまらず、仕事は座ってパソコンを叩くばかりの毎日が続いています。

理想の美を思い描くのが大切だとか

そんなとき、スタイルを維持している友人がヒントをくれました。
自分がなりたいと願う美しい肉体を持った彫刻や絵画のポスターを張っておくだけで、励みになるというのです。
確かに、なりたい自分を意識することは、脂肪の奥から腹筋を取り戻すのに、効果があるような気がします。
ペンブックス22 美の起源、古代ギリシャ・ローマ』(ペン編集部・編/CCCメディアハウス・刊)は、男女を問わず、美しい神々の彫像で彩られていて、眺めていると、うっとりしてきて、少しでも近づきたいと思うようになります。
ギリシャ・ローマの彫像に思いを馳せることは、美とはいったい何なのかを追い求めることにもつながります。

ミロのヴィーナスに憧れて

中でも多くの人が憧れたのが、女神ヴィーナス。
これまで芸術家たちが、その美しさを永遠のものにしようと、奮闘してきたのは、言うまでもありません。
ルーヴル美術館の「ミロのヴィーナス」の前には、いつも世界中からやってきた観光客でいっぱいです。
私も美術書などでその気高い姿を見ては、見とれていましたが、発見にまつわる逸話については、今回、初めて知りました。

この像の発見は1820年春。エーゲ海のメロス島である農民が、腕の破片やヘルマ柱(人頭柱)とともに、腕のない上半身と下半身、ふたつの大理石の塊からなる女神像を掘り当てた。女神像は出土した島の名から『ミロのヴィーナス』と名付けられ、ルイ18世に献上。

(『ペンブックス22 美の起源、古代ギリシャ・ローマ』より抜粋)

作者不詳の彫像は、まさに神の手によるものだと信じたくなるほどの、魅力を放っています。

ガイドブックとしても秀逸

もしあなたが、ギリシャ・ローマの旅を計画しているなら、『ペンブックス22 美の起源、古代ギリシャ・ローマ』は秀逸なガイドブックになることでしょう。
旅に出る余裕がない人でも、本の中を旅するだけで、楽しい経験となります。
とくにギリシャ神話に登場する神々については、相関図を用いて、解剖するようにわかりやすく説明してくれるので助かります。
ギリシャ神話って、わかっているようでよくわからないものだからです。

『テルマエ・ロマエ』の作者による『テルマエ・ロマエ』の解説

漫画『テルマエ・ロマエ』の作者ヤマザキ・マリさんのエッセイも大変面白く、『テルマエ・ロマエ』の時代設定として、なぜ、ローマ皇帝ハドリアヌス帝が統治していたときを選んだのかについて、「うーーん、納得」と、うなずくような説明がなされています。
ローマ時代からいきなり日本の銭湯に現れるという突飛な発想を受け入れ、ドラマとして成立させるキャラクターとして、ハドリアヌス帝が最適だったから、だから選んだというのです。
単に「腹筋がある体になりたい」とだけ願い、本を手にとった私ですが、完璧なまでに美しい彫像を堪能し、ハドリアヌス帝の生涯に思いを馳せているうちに、美の起源たるギリシャ・ローマへの憧れがふつふつとわいてくるのを感じました。

肉体とは?
魂とは?

柄にもなく深く深く考えてしまうのです。
もちろん、腹筋の割れた体も手に入れたいという思いは変わりませんが・・・。

 

(文・三浦暁子)

ペンブックス22 美の起源、古代ギリシャ・ローマ

著者:ペン編集部(編)
出版社:CCCメディアハウス
哲学の礎を築いた古代ギリシャ。
広大な領土を治めた古代ローマ。
パルテノン神殿やコロッセオ、神々の彫像は、世界におけるひとつの「美の起点」とされる。
それらは豊饒な神話とともに、ルネサンス以降の多くの芸術家に多大なインスピレーションを与えた。
ギリシャ・ローマを知ることは「西洋」の核に触れるに等しい。

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