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海外で暮らすと、意外とお金がかかること

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老後は海外で暮らしてみたい。
寒い時期だけ暖かな国で過ごすのもいいね。そんな夢を抱いている。

実際、海外でロングステイする日本人は157万人もいるという(ロングステイ調査統計2016)。しかし、憧れの海外暮らしでは、思わぬところでお金が必要なのだった。

滞在条件は預金額

例えば私は、タイで過ごしたい。タイ料理が大好きだし、物価も安い。夜遊びスポットも多いので、楽しく過ごせそうだ。『終の住みかを考える 上』(小谷みどり、北村安樹子、週刊エコノミスト編集部 ・著/毎日新聞社・刊)によると、40カ国以上が退職者向けのビザ(リタイアメントビザ)を発給しているという。それがあれば、観光ビザよりも長期間過ごすことができるのだ。

タイの場合、50歳以上で、タイ国内に80万バーツ(約250万円)以上の預金があるか、月6.5万バーツ(約20万円)の年金収入があるか、もしくは年金と預金を合わせて年間約250万円あれば、1年間の滞在が許される(夫婦なら倍額)。タイはかなり条件が低いほうで、オーストラリア・メルボルンでは75万豪ドル(約7000万円)の資産を持っていること、などと桁が違ってきてしまう。海外で老後を送るためには、蓄えが必要なのだ。

救急車代に数万円

気をつけたいのは、医療費が高額になりがちだという点。お医者様に通うことも増えがちな高齢者にはつらいところだ。例えばハワイでは救急車は有料だ。移動距離に換算した額が請求され、平均5〜7万円もするという。また、現地で盲腸の手術をすれば200万円以上もかかるそうだ。

なぜこんなに高いかというと、住所が海外になるため、日本の国民健康保険に加入できず、実費負担となることも大きいだろう。海外旅行用の保険は、滞在90日以内の場合と限定されていたりと、ロングステイにフィットしていないものが多いのだという。

海外で困窮する人も

お金がかかるどころか、困窮し、現地で保護を求める人もいる。外務省の『海外邦人援護統計』によると、2015年に困窮により支援された日本人は379人で、60歳以上は110人もいて、うち8割がアジア地域でのことだ。豊かな老後を過ごすために日本より物価が安い国に向かったはずなのに、なぜ、困窮してしまうのだろう。

本によると、その理由の多くは不動産取得によるトラブルだという。タイやフィリピンでは、外国人は土地を購入できない。そのため現地の人の名義を借りて不動産を購入する人がいる。しかし、名義を貸した人が急に態度を変えてここは自分のものだと主張すれば、法的には返さなくてはならないのだ。小金を持っていると思われている日本人のことを、虎視眈々と狙っている悪い人たちには気をつけなくてはならない。

快適に過ごすために

私の周りでも「いつまでも日本にいるとは限らない」と話す人は、増加気味だ。日本は窮屈だ、税金が高い、物価が高い、などとグチりがちだが、その分、医療制度は充実しているし、快適な衣食住環境もある。ロングステイに不便を感じるのであれば、贅沢さえしなければ日本にいたほうが平和に過ごせるのかもしれない。

私の場合、本気でタイで暮らしたいのなら、今からせっせとリタイアメントビザを発給してもらえる条件を目指して備えつつ、現地で入れる保険などをチェックするなど、情報収集をしておきたいところだ。でも日本にはタイ料理屋も、夜遊びスポットも、たくさんある。もうすぐカジノだってできるかもしれない。となると、確かに、なぜ現地で暮らす必要があるのだろうと考えさせられる。とはいえ、一度くらいは海外で暮らし、日本との違いを体感してみたい。ああ、タイのゴーゴーバーって、どんなところなんだろう!

(内藤みか)

終の住みかを考える 上

著者:小谷みどり、北村安樹子 、週刊エコノミスト編集部
出版社:毎日新聞社
リタイア後の人生をどこで暮らすか、悩む人も多いだろう。今の場所にそのまま暮らすか、Uターンするか、海外に移住するか。誰と住むか、という問題もある。親の介護で田舎に帰る、二世帯住宅を建てるなどさまざまな選択肢がある。リタイア後の人生を「住まい」という観点から考えた。本書は、週刊エコノミスト誌上で2013年9月24日号から2014年7月8日号まで計40回にわたって連載した「終の住みかを考える」の上巻です。

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