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外食が運んでくれる幸福な人生

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家族が精神的に元気を失くしているとき、私はとりあえず台所に立つことにしています。
それくらいしかしか、慰める術を持たないのです。
勤め先でのつらさや学校での友達関係などの悩みを打ち明けられても、情けないことに、私には解決策を示すことはできません。
会社で働いたこともなく、学校もけっこう楽しい能天気な子供だったので、悩みが深い夫や息子に気のきいたアドバイスなどできるはずがないのです。
仕方がないので、「ふんふん」と生返事をしながら、好きなものを作って、差し出します。

外食のチカラは強力だ!

これが体の具合が悪いのなら、まだ打つ手はあります。
熱っぽいなら布団を敷いて「とにかく寝なさい」と言えばいい。
様子をみて、病院に連れて行き、薬を飲ませ、消化のよいものを作って食べさせれば、とりあえずは元気を取り戻すでしょう。
けれども、心の疲れとなると、難しい。
とりあえず焼き芋など作ってはみるものの、それでは解決できません。
そもそも芋を焼いていると、話を聞くことがおろそかになってしまいます。
そんなとき、効き目のあるもの。それは外食だと私は思います。
レストランに誘い出し、前菜をつまみながら話を聞き、ワインを飲み、パスタを食べ、メインに移る頃には、 「ま、いろいろあるけど、これも人生よね」と、言い合ったりしていることが多いのです。

自分へのご褒美

自分自身が元気をなくしているときは、なおさら外食が効き目があります。エネルギーがチャージされる感じです。
忙しくてイライラしているときなど、スーパーに買い物に行くのは苦痛ですし、献立を考えるだけでも億劫。お茶碗を洗うどころか、投げ出したくなります。
そんなときは、たまには自分へのご褒美よと外食に行くと、「あぁ、生きていてよかった」と、心から思うことができます。
ただし、残念なのは、私があまりお店を知らないことです。
基本的に食事は家で食べますし、レストランは仕事がてら連れていってもらうことが多いのです。
家族と外食するときも、ただついていくだけ・・・。
本当は1軒くらいは「私のお店」と呼べるようなレストランを持ちたいのですが・・・。
いつまでもこれでは情けないなと思っていたのですが、素晴らしい本に出会い、明るい気持ちになっているところです。

著者は「麻婆十字団」団長だ!

自分をバージョンアップする外食の教科書』(本郷義浩・著/CCCメディアハウス・刊)には、「そ、そうだったのか」とうなるような「教え」が満載です。
著者・本郷義浩は、テレビ局のプロデューサーとして、数々の優れた番組を作ってきた方です。海外でのテレビ賞も数多く受賞しています。
制作するジャンルも幅広く、ドキュメンタリーやアート、歴史紀行や音楽まで、まさになんでも来い!と言わんばかりです。
仕事でも食べ物でも、偏食をしない方なのでしょう。
「水野真紀の魔法のレストランR」や「あまからアベニュー」など、料理番組も制作していますが、食べ物については、仕事だからというよりも、信仰に近い深い思いを寄せているように感じられてなりません。
番組で取材した飲食店は1万軒!!
さらにプライベートな食べ歩きも、これまた1万軒!!
とくに麻婆豆腐への愛はとどまることを知らず、「麻婆十字団」なるものを結成して、盛んに活動を続けているというのですから、徹底しています。

外食の力を侮るなかれ

『自分をバージョンアップする外食の教科書』には、外食に対する教えと愛が満載です。
「外食」を通して得た人間関係は、実に幅広く、驚くべきつながりとなっています。
別に得をしようとしていたわけではなく、楽しく外食をしているうちに、著者の人生は豊かになっていき、仕事も自然と増えていったというのです。
外食を通して知り合った人たちから、出版依頼を受け、原稿を寄稿するようになり、やがて雑誌や講演などの連載を依頼されるようになりました。
今では、なんと堀江貴文のグルメアプリ『テリヤキ』にもキュレーターとして参加しています。
もちろん、レストランやお寿司屋さんでプレゼンをしたわけではありません。
ただ、外食を大事に丁寧に扱っただけです。

私にとってのミシュランガイド

これまでの私は、「プライベートでおいしいところに行きたいから、どこか教えてよ」と、言われるとかなり悩みました。よく知らないのです。
ましてや幹事を引き受けたりすると、責任重大で泣きたくなります。
そんなときはいつも尊敬するMさんに相談します。
Mさんは自分の足と舌を駆使して食べ歩いた結果、本当に良い店をご存じなのです。
私はその教えを「Mミシュラン」と、呼んでいます。
Mさんは広い心の持ち主で、苦労して見つけたお店を惜しげもなく教えてくださいます。
『自分をバージョンアップする外食の教科書』の著者も、ケチケチしたところがありません。
著者自らが巡礼するように訪れたお店をリストアップして示してくれます。
ジャンルも幅広く「京都の料亭」「麻婆豆腐」「参加したくなる食事会」「カツサンドめぐり」「百鮨夜行」などなど、面白いネーミングに魅了されます。
紹介されたお店には、私がすぐ前を通ったことがあるはずなのに、知らずにいたお店もたくさんありました。
食べることを大事にしている人だけが感じる嗅覚が私にはなかったのでしょう。
これからも家族のために料理を作り続けますが、自分のための外食も楽しみたいと思っています。
幸福な人生は外食によって始まると信じるからです。

(文・三浦暁子)

自分をバージョンアップする外食の教科書

著者:本郷義浩
出版社:CCCメディアハウス
テレビ番組を25年以上作り、世界的な音楽家、芸術家、建築家、職人、人間国宝、三つ星シェフ、一部上場企業の社長、ベストセラー作家、売れている芸能人、気鋭のクリエイター、億万長者など、その道でかなりの成功をおさめている世間で言う「一流」の人に数多くインタビューした著者が気づいたこととは……。

「一流の人は、外食を武器としている」ということ。

おいしい料理を食べると心身ともにパワーをもらえ、さらには「行きつけ」の店を持つことはステイタスにもつながることに、彼らは無意識的に気がついているといいます。

本書では、外食を楽しむコツを紹介するとともに、「外食」をキーワードに、自分をバージョンアップし、仕事もプライベートも今より充実させるための具体的な方法を伝授します。

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