ハウツーが満載のコラム
文字サイズを変更する

赤道にかけられたエメラルドの首飾りと呼ばれるインドネシア・・・。その言葉を学んでみませんか?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

インドネシア語を学んだのは偶然だった。
大学生のとき、「春からインドネシア人の先生が赴任することになったのだが、彼はまだ来日したばかりで日本語ができない。お手伝いを兼ねて勉強してみたらどうか」と、勧められたのだ。
最初は無理だと思った。
言いたかないが、私は第1外国語の英語もふるわず、第2外国語として選んだドイツ語はさんたんたる有様で、とてもじゃないが、第3語学にまで手が回らない。

いきなりのインドネシア語

それでも、とりあえず様子を見がてら最初のクラスには顔を出すことにした。
インドネシア語は一言も知らなかったが、インドネシアという国にはとても興味があったし、役に立つに違いないとも思った。

インドネシアの人口は2億を超えるという。
これだけたくさんの人が話す言語をマスターすれば、きっとどこかで使えるに違いない。
それに、指導教官は赴任したばかり。評価は甘いに違いない。
きっと全員にAをくれるだろう。
そんなよこしまな気持ちを胸に、仲良しの友達を誘い、教室に行ってみると、男子学生が10人くらい不安げに座っていた。
女子学生は私たちを含めて3人のようだ。
「先生は?まだ到着していないのかな?」と、思ったら、前の方の席に小柄な人が座っていた。
髪の毛をきちんと七三に分け、褐色の肌をした男の先生だった。
「あ、あの方が・・・」と思う間もなく、授業が始まった。

先生はひたすらインドネシア語で話し続ける。自己紹介らしい。
次にレポート用紙が回って来て、名前と学生番号を書くようにとのことだった。
様子を見るもなにも、私たちはあっと言う間にインドネシア語クラスに入ってしまったのだ。

様々なメンバー

後から知ったことだが、授業に集まった学生は、実に様々な理由でインドネシア語を選択していた。
ある人は「インドネシアには石油が埋蔵されているから、これから両国は関係を深めるに違いない。就職にも役立つ」と、断言した。商社に入りたいので、インドネシア語をマスターするのだと張り切っていた。

またある人は「カルカッタに行ってみたいから、言葉ができたほうがいい」などと、言う。
しかし、カルカッタはインドネシアではなく、インドだ
違う国だ。もちろん、言葉も違う。
周囲の友達に「おまえ何言ってるんだよ、インドはインド語だろ?」と、指摘された彼は、「あ、そうか。うっかりしてたな。まあ、いいじゃん。やってみるよ。インド語とも近いだろ」などと答えている。
インド語なんてないでしょう?と、言いたかったが、では何語なのか自信がなかったので、黙っていたが、とにかくでたらめだ。

一番、驚いたのは、マレーシア人の留学生がいたことだ。
彼は英語も日本語もすばらしくできる秀才だった。
だから、今度はインドネシア語を学びたいのかと思ったら、マレー語はインドネシア語とかなり近い言語だそうで、「ほとんど同じ。心配することない。簡単よ」などと言っている。
彼には簡単でも、私には難しいに違いない。
それに、もし、マレー語と同じなら、いったいなんのために母国語を学ぶのか?
・・・とまあ、こんな具合に、私を含め、なんだかよくわからないメンバーが集まったのだ。
こんな状態で大丈夫なのだろうか?
いや、しかし、たとえ大丈夫でなくても、私はインドネシア語初級クラスの生徒になってしまった。
やるしかない。

不安だったのは最初だけ

インドネシア人の先生も不安だったのだろう。
次の授業から、日本人の先生が付き添ってくれるようになった。
インドネシアに留学したことのあるまだ若い先生だった。
彼はほとんど通訳のような状態だったが、親切な良い先生で、私たちはとても仲良くなり、なんと「語学合宿」までした。

日光にある大学の合宿所を使い、一日中、勉強したのだ。第3外国語でここまでやるクラスは少ないだろう。
インドネシア人の先生も頑張って、手書きの教科書を作ってくれた。正直に言うと、かなり読みにくかったのだが、私たちは頑張った。 先生も一生懸命だとわかっていたからだ。
こうして奇妙なインドネシア語クラスは前進した。挫折者も出なかった。
幸いインドネシア語はわかりやすい構造で、発音も日本語に近い。文字もローマ字表記だから、そのまま読めばいい。
他の外国語に比べたら、学びやすい言語といえるだろう。
私はなんとなく抜けられなくなって、翌年も、さらに次の年も、インドネシア語クラスに通った。つまり、中級・上級と、登録したのだ。

様々な言語を束ねる言葉

勉強を始めてから知ったことだが、インドネシア語はインドネシアが独立後に発展した新しい言葉だそうだ。
インドネシアは広大な国で、1万3000もの島々が赤道をまたいで存在している。
「赤道にかけられたエメラルドの首飾り」とも呼ばれ、 それぞれの地域にそれぞれの言語や文化がある多様な国だ。
その多様さを一つの国としてまとめているのが、公用語とされるインドネシア語だ。
隣国のマレーシアの言葉とは姉妹のような関係をもつ言葉でもあるという。
つまりインドネシアの人たちは、故郷の言葉を持ちながら、インドネシア語も話す。
彼らにとって、インドネシア語はいわば第二語学と言っていいだろう。

学んで楽しいインドネシア語

結局、私はインドネシア語が好きになった。ドイツ語よりも一生懸命勉強した。
単語を覚え、それをそのまま話すとどうにか通じるので、楽しいのだ。
最近になって、「三浦さんは先見の明がありますね。これからはインドネシア語できると有利ですよ。40年も前に、すでにそれを見越していたんですか?」と、言われることが増えた。平成20年から、日本政府はインドネシア人の看護師さんが日本で働くことを奨励し、優遇措置をとったからだ。
これからの高齢化社会を乗り切るために、インドネシアを含めた海外の人たちの力を借りることは必要になってくるのだろう。確かに、私たち日本人が、必要に迫られて学ぶべき言語となるのかもしれない。
けれども、私がインドネシア語を勉強したのは役に立つと思ったからではない。ただ楽しかったのだ。だから続いたのだと思う。

とにかく単語を2000覚えればよい

もし、あなたがインドネシア語に興味を持ち、勉強してみたいと思うなら、『聴いて、話すためのインドネシア語基本単語2000』(高殿良博、 舟田京子・著/語研・刊)でとりあえず単語を覚えればいいと思う。
私も忘れてしまった単語が多いのに気づき、焦って勉強しなおしているところだ。
単語さえ覚えれば、難しい格変化などもないから、片言ならすぐに話せるようになる。
別売りCDもあるので、単語を覚える際に活用すると、鬼に金棒である。
「赤道にかけられたエメラルドの首飾り」の言葉、あなたも学んでみませんか?

(文・三浦暁子)

聴いて話すための、インドネシア語基本単語2000

著者:高殿良博、 舟田京子
出版社:語研
インドネシア語上達の決め手は単語力です。それにはまず、使用頻度の高い基本単語を確実に覚えることが大切です。第1章で発音を実際に使う単語で覚えます。第2章では、聴いて話すための基本単語2000を、使用される場面や意味のまとまりで項目別に覚えやすくまとめました。旅行から日常会話まで、幅広く使えて便利な実用単語集です。初学者のために発音はカタカナでも表記されています。好きなところから単語を覚えていくもよし、順に覚えていくもよし。本格的な語彙強化の前に本書をお役立てください。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

関連記事