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ギターインストをポピュラーにしたギタリスト、押尾コータロー

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押尾コータローをご存じだろうか。超絶テクニックでアコースティックギターを弾きまくる、イケメンギタリストだ。

僕が初めて彼を知ったのはもう10年以上前だ。曲を聞いたときに、きれいなギターの音、ギターインストっぽくないメロディ、そして何より、ギター1本で弾いているということを知り愕然とした。

人生でベスト5に入る衝撃的な出来事

何も知らずに押尾コータローの曲を聴いたら、複数のギターを多重録音していると思うことだろう。僕もそう思っていた。

しかし、実際には1本のギターで演奏している。僕はそれに驚愕し、慌ててDVDを買って視聴した。ほんとうに、1本のギターですべてを演奏している。

僕の人生において、ベスト5に入るほど衝撃を受けた出来事。それが押尾コータローのギタープレイだった。

僕のギターインストアレルギーが解消された

彼は、ギターテクもさることながら、メロディメイカーとしてのセンスもバツグンだ。ギターインストでは、どうしてもテクニック主体の曲作りになりがちだ。これでもかこれでもかと、テクニックを繰り広げてくる。

僕はそういう音楽をあまり好まず、これまでもフュージョンなどのジャンルはそれほど聞いてこなかった。

しかし、彼は違う。超絶ギターテクで演奏しているのだが、ちゃんとメロディが耳に残るし、飽きることなく聞ける曲が多い。どれもこれもポップチューンとして成立しているので、僕はとても聞きやすいと思っている。

押尾コータローの変わらないスタンス

アコースティック・ギター・マガジン 押尾コータロー THE INTERVIEWS Complete Archives 2002ー2013』(押尾コータロー、アコースティック・ギター・マガジン編集部・著/リットーミュージック・刊)は2001年から13年間に渡ってアコースティック・ギター・マガジンに掲載されたインタビューや記事がまとめられた書籍だ。

メジャーデビュー直後からのインタビューが掲載されているが、彼のスタンスは一貫している。ギターインストの普及と、ポップミュージックとしての認知だ。2002年のインタビューで彼はこのように語っている。

フィンガースタイルのシーンがもっと大きくなると良いですね。(中略)あとは、ギターを弾かない人も楽しんでもらえる音楽を作っていきたいです。

(『アコースティック・ギター・マガジン 押尾コータロー THE INTERVIEWS Complete Archives 2002ー2013』より引用)

そして、2012年のインタビューではこのように語っている。

僕を慕ってギタリストになった人も増えているし、全然違うところから出てくるギタリストもいるけど、目指すところは同じだと思うんですよね。そんな人たちをうまくファミリーみたいにしていきたいな(中略)僕は僕で、ギタリストとしてギターインストの世界をもっともっと確立させていきたい、そのためには、さらにかっこ良く有り続ける。

(『アコースティック・ギター・マガジン 押尾コータロー THE INTERVIEWS Complete Archives 2002ー2013』より引用)

10年間で、彼の思い描いていた世界が実現されつつあることがわかる。彼に憧れてギターを手に取る若い人が増え、プロになるものも増えた。

それだけではなく、彼自身がさらに高みを目指している姿も一貫している。新しい奏法やオープンチューニングにチャレンジしたり、幅広いジャンルのミュージシャンとのコラボに積極的に取り組んでいる姿は、ギターキッズがそのまま大人になったような印象を受ける。

押尾コータロー未体験の人はDVDを見てほしい

2010年には、渋谷109前で彼の曲を109人で演奏するというイベントも開催された。あの難しい奏法を、若いギタリスト(しかも女性もいた)たちが必死にコピーをして演奏していると考えたら、ギタリスト冥利に尽きるのではないだろうか。

最近は僕の奏法に影響を受けて、楽器屋さんに行くとすぐにチューニングをゆるめてボディをバカスカ叩いている人もいるみたいですけど(笑)。

(『アコースティック・ギター・マガジン 押尾コータロー THE INTERVIEWS Complete Archives 2002ー2013』より引用)

あまりよろしくないことではあるが、それだけ押尾コータローというギタリスト、そして彼のプレイスタイルが浸透していきているということだろう。

ミュージシャンの間でも人気のギタリスト、押尾コータロー。もしまだ聞いたことがないというのなら、一度聞いてみていただきたい。そして、できれば演奏している彼を見てほしい。

おそらく、そのプレイに開いた口が塞がらないことだろう。個人的には、ライブDVDがオススメ。大阪出身の彼のトークは、軽快でおもしろい。そしてライブ名物である「メンバー紹介」もぜひ見てもらいたいと思う次第である。

(文:三浦一紀)

アコースティック・ギター・マガジン 押尾コータロー THE INTERVIEWS Complete Archives 2002ー2013

著者:押尾コータロー、アコースティック・ギター・マガジン編集部
出版社:リットーミュージック
2001年の初登場以来、13年にわたって取材を続けてきた押尾コータロー氏の記事をすべて収録したファン待望の電子書籍。インタビュー、ディスコグラフィー、そして愛用ギターに至るまで豊富な画像とともに掲載。本人からのコメントなど電子書籍化に際しての追加コンテンツも収録!

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