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童話に出てくるお姫様は美人ばかりな件。

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最近、3歳の娘は「お姫様ブーム」まっただ中だ。
図書館に行けば、借りたいと持ってくるのは「お姫様」の絵本ばかり。
お姫様みたいなヒラヒラふわふわのドレスを欲しがるし、一緒にやってとせがんでくる「つかまえたごっこ」は、お姫様(娘)を悪者(私)がさらっていき、正義の味方(息子)が助けにくる……という毎回お決まりのストーリー。マリオの中で好きなのは、もちろんピーチ姫。感心するほどブレがない。

いつか白馬に乗った王子様が迎えに来てくれる♡」なんて言い出すのも時間の問題か。

お姫様は容姿端麗でないといけない?

そんなお姫様に憧れている娘と一緒に童話を読んでいると、どうにも気になることが出てきた。
どのお話も、出てくるお姫様はみんな「美しい娘」であること。

出会った王子様はみな「なんて美しい人だろう!」と一目惚れをして、すぐに「結婚しましょう」とプロポーズしてしまう(それをいうなら、お姫様も王子様を一目見ただけで好きになってしまうのだから、王子様=イケメンが大前提なのかもしれない)。お城で働く者たちや町の人々も、姫のあまりの美しさに心を奪われる。中には、それまで酷い扱いを受けていたにも関わらず、綺麗なドレスを身につけた途端「なんと美しい! この人こそ、本物のお姫様だ!」と認められた話まで。「お姫様=美しい」という絶対的な図式が根底にあるようだ。

美しくないお姫様を探してみた

数あるお姫様が出てくる本の中でも、娘が特に気に入っている1冊がある。『名作おひめさまものがたり』(学研プラス・刊)、人気イラストレーターのオチアイトモミさんが手がけたもので、どのページにも、キラキラで可愛いプリンセスたちがいっぱい。

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(『名作おひめさまものがたり』より引用)

少女漫画に縁がない男性陣にとっては「目が大きすぎる」などなんだかんだと思われるかもしれないが、女子にとっては、やっぱりこのテイストはいい。可愛いものは可愛い。

この本には25作もお姫様が登場する物語が集められているので、先の疑問を解決するべく、読み比べをしてみた。
やはりどの話のお姫様も「美しい」、「かわいい」と称されている。けれど、その中にひとつだけ、容姿に関する形容詞がないお姫様の話があった! それは「まめの上にねたおひめさま」というアンデルセン童話(お姫様以外が主役の話も含めれば、もうひとつ「金のがちょう」があったが、それは例外とする)。

「まめの上にねたおひめさま」

ある国の王子様が「本当のお姫様と結婚したい」と世界中を旅して回るが、なかなか見つからない。疲れ果ててお城に戻ると、ひどい嵐の中、門を叩く者が。そこには一人の女の子が立っていた。雨風に打たれて身なりはぐちゃぐちゃ。でも「私こそ、本当のお姫様です」と言う。
そこで、お妃が本当のお姫様かどうか試すため、ベッドにえんどう豆を一粒置き、その上に敷布団20枚、羽根布団20枚を重ねて乗せ、そのベッドで眠るように女の子に指示を出した。翌朝「よく眠れましたか?」と聞かれた女の子、「とんでもありません。ベッドの下に何か硬い物があって、痛くて背中にアザが出来てしまいました」と。それを聞いた王子様は「あなたこそ、本当のお姫様だ!」と喜び、そのお姫様と結婚しましたとさ。

うーん、なかなかのインパクト。突っ込みどころ満載ではあるが、それはさておき、この話では「お姫様=美しい」とは書かれていない。
けれど「お姫様=繊細でなくてはいけない」ということを案に示している。これも、ある意味「お姫様の必須条件」なのであろうか。

容姿だけではなく内面も磨こう

では、美しくて繊細でなければプリンセスの資格がないのだろうか?
忘れてはいけないのが、どのお姫様も「純粋無垢」で「働き者」であること。
美しいけれどわがまま放題のお姫様が、みすぼらしい身なりの男と結婚させられ、お城を追い出されて反省させられる「つぐみのひげの王さま」という話があるが、容姿が良いことにあぐらをかいて、内面を磨かないと幸せにはなれないということであろう。

あとがきで、オチアイトモミさんもこう述べている。「すてきなおひめさまは、姿や形だけではない、ということに、私自身もあらためて気づかされ、それが、現実の女の子たちと変わらない、みりょくだと思いました。読んでくれた子どもたちにも、今すぐにはわからなくても、いつかそんなおひめさまたちからのメッセージが伝わってくれたらうれしいです」と。

大人になると、「そうはいってもやっぱり見た目が大事だよね。綺麗だからこそ、お姫様になれたんだよねー」などと毒づいてしまうが、まだまだ素直なお姫様に憧れる女の子たちには、「ただ美しいだけじゃなく、たくさんの苦労や困難を乗り越えたからこそ、ステキな王子様に巡り会えるのよ」と教えておこう。外見だけじゃなく、内面も磨かなきゃね。

(文・水谷 花楓)

名作おひめさまものがたり

絵:オチアイトモミ
出版社:学研プラス
白雪姫やシンデレラなどの、可愛いおひめさまたちが登場する世界の名作25話を、人気イラストレーター・オチアイトモミが描きあげた絵とともに展開する、今までにない新しい読み物です。女の子の心を惹きつけてやまない、キラキラで可愛いイラスト満載です。

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