アパポイントを貯める袴田吉彦はカッコ悪いのか?

袴田吉彦(43歳)が不倫をした、というニュースが飛び込んできた。
袴田と言えば、かつてジュノン・スーパーボーイ・コンテストでGP受賞をし、颯爽とデビューを飾り、その後俳優として第一線を歩んできたアラフォー世代のまぎれもないイケメン代表の1人である。その袴田の不倫密会現場が、アパホテルであり、しかもポイントカードを貯めていた、と報じられた。
アパホテルのHPでアパカードの特典を調べると下記のようになる。
・チェックインの際、アパカードを提示すると記帳がスムーズ。
・予約申込時のプラン総額料金の100円毎に10ポイント、対象レストラン100円毎に10ポイント(※アパ公式サイト利用時のみ)
また、貯まったポイントは
・5,000ポイント 5,000円キャッシュバック
・3,000ポイント・5,000ポイント・10,000ポイントでカタログギフトに交換
100円毎に10 ポイントも…アポホテルのポイントプログラムの素晴らしさはいったんおいて、アラフォー芸能人の袴田吉彦がポイントカードを貯めていたことを嘲笑する風潮(※不倫の件ではありません)に、筆者はちょっぴり同情してしまった。
厳しいアラフォー男性の懐事情
正直、子持ちのアラフォーの懐事情は、実に寂しいものだ(筆者は今年で39歳)。新生銀行が行った「2016年サラリーマンのお小遣い調査」によると、40代男性会社員のお小遣いは平均35,670円(昼食代含む)。
少ない小遣いをやりくりするのは、本当に毎月大変だ。そのうえたまに年下の者と飲みに行けば、年長者として奢ってあげなければいけない。ポイントやクーポンを駆使して、節約して小遣いの足しにしているのが実情だからだ。
サラリーマン時代、部下数人と会食後、カラオケ屋・ビッグエコーに二次会に行ったことがある。1次会は、取引先との会食だったので会社負担であったのだが、2次会は自腹だったため、最年長者の私が全員分のカラオケ代を払った。
その日のカラオケは、週末の金曜日という事もあってか、部下たちも楽しくはしゃぎ終えた。レジで僕が会計を済ませようとすると、1人の部下の女の子がおもむろに財布をあけポイントカードを出し、こう言った。
「これに貯めてもらっていいですか?」
……いやいや、お会計は全額、僕である。
だからポイントは当然、オレだよね! と。内心怒りに震える。当時の僕は、ひとりカラオケにはまっていたこともあり、ビッグエコーのポイントを貯めるのを秘かに楽しみにしていた時期でもあった。しかし、一呼吸おいて僕は、こう言った。
「お、おう…いいよ!」
本当は、喉から手がでるほどポイントが欲しかったのに、ちっさい人間と見られたくないがために、そう言ったのである。
「あいつはビッグエコーのポイントを貯めているんだぜ、おっさんのくせに…」
と陰口を叩かれたくないがために苦渋の決断であった。
四十にして惑わず、とは孔子が晩年に振り返って言った言葉だが、ポイントでここまで狼狽してしまう当時38歳の僕からは、程遠い心境であった。
ポイントカードを貯めるのは、カッコいいのか、悪いのか?
『<40男>はなぜ嫌われるか』(田中俊之・著/イースト・プレス・刊)は、そんな年齢に達した僕らに気づきを与え、現在の自分を客観的に捉えさせてくれる本である。著者は、(執筆時の2015年時点で)30代後半から40代前半までの男性を、「40男」と定義し、僕達に語りかける。本書を読み、大きくうなずく部分があった。
ところで男性が、自分の「男らしさ」を証明する方法には、達成と逸脱の2種類がある。
この議論は若い世代で考えてみると分かりやすい。例えば、高校生の男子であれば、野球やサッカーで活躍したり、有名大学に合格したりといったことを達成すれば、「男らしさ」を証明できる。ただし、スポーツにしても、勉強にしても競争を勝ち抜かなければならないから、何かを達成できる男子の数はかぎられる。
(『<40男>はなぜ嫌われるか』より引用)
著者は、達成できなかった男子に残された手段は、逸脱であるといい、ルール破りをすることで、「男らしさ」を証明するのだという。ヤンキーなどの行動がその典型だろうと。
しかし、現実はいくつになっても自分の逸脱行為を自慢する男性が多くいる、という現実があり、それが中年になると悲しいかな「男らしさ」の証明にはつながらず、痛々しいだけなのでなるべく早く止めたほうがいい。と指摘する。
自分に置き換えても、ケンカ自慢はせずとも、徹夜続きや不健康であることのアピールを、ついしがちである。酒の飲み過ぎからか、肝臓の数値が悪いのにそれをほったらかしにしていることを、居酒屋で飲んだくれながらつい言ってしまう。
冷静に考えてみれば、そんな話を聞いてくれている、年下の女性の反応を思い返せば、怪訝そうな顔か愛想笑いしか浮かばない。これこそが40男と周囲のギャップということだ。
男らしさも微塵も感じさせない逸脱っぷりゼロの「ポイントカード」の話は、僕ら40男が持つ価値観だと格好悪いと感じてしまう。しかし、不健康自慢をされるよりも、ポイントカードのおトクな貯め方など実用系のお役立ち情報を話す中年男性の方が、本当は、女性によっぽどモテるのかもしれない。
だから、この先、僕が袴田吉彦にもしも会うことがあったなら、
「ポイントカード貯めていたって、別にカッコ悪くないですよ!」
と声を大にして言ってあげたい、のである。
(文:ハガユウスケ)


<40男>はなぜ嫌われるか
著者:田中俊之
出版社:イースト・プレス
「若いですね」と言われたい中年男性の正体! 2015年時点で30代後半から40代前半までの男性を、本書では「40男」と呼ぶ。この世代は、「昭和的男らしさ」と「平成的男らしさ」の狭間を生きている。「働いてさえいればいい」と開き直ることも難しいし、若い世代のようにさらりと家事・育児もこなせない、自分の両面性に葛藤し続けてきた男たちである。問題は、若い女性への強い興味に象徴される、そのリアリティと現実のギャップにある。40男の勘違いは、他人に迷惑をかけるだけではない。そのギャップは、僕ら自身の「生きづらさ」に直結しているのだ。
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