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野菜についてた幼虫を育ててみたら……?

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数年前、低農薬野菜の宅配サービスを使っていた。

2週間に1回、さまざまな野菜が送られてくる。やはりスーパーで買う野菜に比べると味が濃く、特に果物はおいしかった。

葉物野菜についていた小さな幼虫

ある日、送られてきた葉物野菜に、きれいな青虫がついていた。見た目はモンシロチョウの幼虫のような感じだ。

僕は特に虫系に興味があるほうではないが、子供の頃にモンシロチョウの幼虫を孵化させたり、鈴虫を飼っていたり、かたつむりの産卵などもさせていたので、久しぶりにこのきれいな青虫を孵化させてみようと思いついた。

100円ショップで小さな虫かごを買ってきた。餌は、その青虫がついていた野菜だ。ほとんどの虫は決まった野菜に卵を産み付ける。そして幼虫は、その野菜しか食べない。違う野菜を与えても食べられないため、死んでしまうのだ。

定期的に野菜を替えてあげる以外は、別に手間がかからない。

あとは毎日観察するだけだ。

幼虫から種類を判別するのが難しい

ただし、ひとつ困ったことがあった。何の虫の幼虫なのかわからなかったのだ。

インターネットを駆使していろいろ調べたのだが、そもそも幼虫のデータベース的なものがあまりない。

しかも、僕が飼っていたのはモンシロチョウの幼虫のような色と形だった。ただ、キャベツについていたわけではないので、モンシロチョウではないことは予想がつく。

似たような幼虫の写真を探しまくった。その葉物野菜につく幼虫も調べたが、これだというものにはたどり着けなかった。よほどマイナーな蝶なのかもしれない(なぜか当時は蝶になると思い込んでいた)。

そのうち、幼虫は鮮やかな色から茶色に変色し、大きくなり、蛹になった。

あとは蝶になるのを待つばかりだ。

かわいい幼虫の最終形態は……?

数日後の朝、虫かごを覗いてみると蛹が見当たらない。あれ? と思いよくよく覗き込んでみると、蓋の裏側に見たことがない茶色い地味な蛾がいた。

そう、青いかわいらしい幼虫は、立派な蛾になったのだ。成虫になればある程度種類がわかると思って調べたが、似たような蛾が多く、僕には特定ができなかった。

僕は、虫かごをあけてマンションのベランダに置いた。するとその蛾は飛び立ち、ベランダの屋根の天井部分に張り付いた。まるで「育ててくれてありがとう」とでも言っているかのようだった。

僕は、きれいな蝶ではなかったために興味をなくし、部屋に戻ってしまった。数時間後にベランダを確認すると、もう蛾の姿はなかった。どこかへ飛んでいったようだ。

幼虫図鑑を見ても見当たらない

いもむし・ようちゅう図鑑 これはなんのようちゅうかな?』(岡島秀治、福田晴夫、岸田泰則・監修/学研プラス・刊)は、身近なところに生息する虫の幼虫の姿が掲載された図鑑だ。メジャーなモンシロチョウやアゲハチョウなどはもちろん、蛾やハチ、トンボなどさまざまな昆虫の幼虫が掲載されている。

当時の記憶を思い出し(多分写真が残っているのだが、数年前の写真をHDDの奥底から引っ張り出すのが困難で諦めた)、モンシロチョウに似た幼虫を探してみた。

しかし、どれも違う。「スジグロシロチョウ」や「ツマキチョウ」、「キタキチョウ」あたりが似ているのだが、成虫の姿がまったく違うのだ。いったい、あの蛾はなんという名前だったのだろう。

でも、あの蛾の遺伝子は、この世界のどこかに残っていることだろう。もしかしたら、数年後「あのとき孵していただいた蛾の子孫です」といって、恩返しにくるかもしれない。

そんな妄想をしながら、今日も葉物野菜に幼虫がついていないか探している。

(文:三浦一紀)

いもむし・ようちゅう図鑑 これはなんのようちゅうかな?

著者:岡島秀治(監修)、 福田晴夫(監修)、 岸田泰則(監修)
出版社:学研プラス
身近なところにいるいもむしやようちゅうがわかる本です。子どもがひろってきそうないもむしやようちゅう、にわや公園などでみかけるものを集めました。またすんでいる場所もわかります。いもむし好きのおとなにもおすすめの本です。

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