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犬はどんなときも人間を裏切らず、愛を貫いてくれる

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犬の物語にはいつだって泣かされる。
『盲導犬クイールの一生』や『まさお君がくれたもの』では涙で文字が読めなくなるほどだった。
また、映画『マーリー世界一おバカな犬が教えてくれたこと』を観たときは泣いて泣いて劇場から出られなくなってしまった。

そして今日また『そして、ありがとう… 犬とわたしの12の涙』((わぐりめぐみ・著/日本文芸社・刊)を読んで12回泣いてティッシュひと箱を空にした。

愛すべき犬たちへの「ありがとう」

犬はけっして人間を裏切ることがなく、ひたすらに飼い主を愛してくれる。けれども犬の一生は早送りのテープのようにあまりに短い。

犬を飼っている人は誰でも“さよならの日”がやがて来てしまうことを恐れている。ペットロス症候群になってしまうのではと不安でたまらなくなる。私にも来春には14歳になるラブラドールがいるので、1年でも1ヶ月でも1日でも、その日が遠くであるようにと祈る日々なのだ。

本書は犬との別れを涙ながらに語った愛犬家たちの話をまとめた1冊だ。

約半年をかけてお話を伺った方たちに共通していたのは、今は亡き愛犬への、「ありがとう」という感謝の気持ちだったように思います。
「犬がいてくれたから、辛いこと、悲しいこと、すべてを乗り切ることができた」「犬がいてくれたから、楽しいこと、うれしいこと、たくさんの思い出ができた」
愛犬家の皆様から集まった、たくさんの「ありがとう」をこの本に託して、世界中の犬に捧げます。

(『そして、ありがとう… 犬とわたしの12の涙』から引用)

12匹の犬、それぞれの一生

飼い主の辛い境遇を支え続けたチワワ、仔犬のまま天国に旅立ったパピヨン、幼い息子を亡くした母親を救ったラブラドール、難聴のおばあちゃんと耳の聞こえないポメラニアン、自らガス室に入っていった甲斐犬……など、どの話も涙なくしては読めない。

中でも私が感動したのはたった1日だけシェットランドシープドッグの飼い主になった男子学生の話だ。通学途中に車に轢かれた犬を見つけた彼は動物病院へ運ぶも、獣医は「どうにもできない」と診察を断った。やむなく彼は自宅へ犬を連れて行き、血で汚れた犬の体を拭き、温めた牛乳を自分の指に浸しながら舐めさせ必死で看護をする。しかし、犬は1日だけ生き延びた後、永遠の眠りについた。飼い主ではないのに犬を愛し、看取ってあげた優しい青年の行動には脱帽するばかりだ。

それは私には、とても真似できないことだから……。

黒ラブ・アンジーと私の話

轢かれた犬ではなく、元気な1歳の犬すらも助けてあげられなかった苦い経験が私にはある。

うちのイエロー・ラブが2歳だった頃、散歩道の途中にある芝生のラグビー練習で、ときどき会う黒のラブラドールがいた。飼い主にはたった一度だけ会ってアンジーという名と1歳だということを聞いた記憶がある。

その後も、アンジーとはよく同じ場所で会って、2匹は一緒に駆け回って遊んだが、飼い主の姿を見かけることはなくなっていた。それでも、ひとしきり遊ぶとアンジーは自ら立ち去るので勝手に家に帰っているのだろうと思っていた。

ところが、ある夜、アンジーは私たちを見つけると私にすり寄って離れなくなった。どこまでもどこまでも後ろをついて来る。心配になった私はアンジーの首輪のメダルにあった携帯番号に電話をかけたが、すでに使われていなかった。捨てられたに違いないことがわかった。長いこと街中を歩いてみたが飼い主は見つからず、アパートの前まで戻って来た。どうしようかと悩んだし、アンジーはすがるように私を見つめていた。なのに、私は非情にも扉を閉めてしまったのだ。狭い我が家ではラブラドール2匹なんてとても無理だから、とアンジーに謝りながら……。
にもかかわらず私は自分を責め続けた、どうして家に入れて一晩でも泊めてあげることができなかったのか、と。明日会ったら、家に入れてあげようと思ったが、それっきりアンジーの姿を近所で見かけることはなくなった。

犬には人を恨む気持ちはない

そして月日は流れ、うちのラブが10歳になったある日、森へ長い散歩に出掛けると、遠くから黒ラブが全速力で走ってきた。2匹は踊るように喜び合い、また黒ラブは私のまわりを尻尾を大きく振りながらクルクル回った。

すると遠くから「アンジー、アンジー!」と叫びながら、もう1匹の犬を連れた飼い主もやってきた。

犬たちが遊んでいる間に私は飼い主の女性と立ち話をした。かつて助けてあげられなかったアンジーの話をすると、彼女は時期、場所を確認すると、それは間違いなく、このアンジーだと言ったのだ。

「保護されたアンジーは、あと1日遅かったらガス室行きだったの。でも、私が救ったのよ。犬2匹との暮らしも幸せよ」と彼女は胸を張った。なんと彼女は心の広い、あたたかい人間だろう。一方の私は自分の犬しか愛せない小さい人間でつくづく恥ずかしいと思った。

もしアンジーが人間なら「あのときあなたは私を助けてくれなかったでしょ」などと恨みのひと言でも言うだろう。けれども犬はそういう感情は持ち合わせていないらしく、ただただ嬉しそうに私を見つめてくれたのだ。犬は、なんて純粋なのだろう、と涙が出た。

ペットロスを克服するために

さて、犬を飼った以上いつかは覚悟しなければならない別れ。愛すべき家族の一員を失うと、ペットロスに苦しむ人がとても多いと聞く。私も考えたくないけど、相当なショックを受けてしまうはずだ。

そんな私に先輩の飼い主たちは今からこう言っている。

「いつかその日が来ても、もう犬は飼えないなんて言ったり、思ったりしてはいけないよ。そうではなく、もう犬のいない生活なんてできないんだと思うことが大事。ひとしきり泣いたら、新しい仔犬を迎えるべきよ。いたずらな仔犬に振り回されていれば悲しんでなんかいられなくなるから」と。

はたして私はそんな風に思えるのだろうか?

(文:沼口祐子)

そして、ありがとう…―犬とわたしの12の涙―

著者:わぐりめぐみ
出版社:日本文芸社
孤独な女性と、深い絆で結ばれた愛犬。実際にあった話を元に、12カ月の季節を巡る12人の女性愛犬家と12匹の犬が、涙で織りなす愛と感動のストーリー。著者、全霊で紡いだ処女短編集――「人生につまずいた時、わたしには犬がいた…!」大ベストセラー『犬から聞いた素敵な話』の企画アイデア提供者が、「愛犬家として、さらに突き詰めた本を創りたい!」という熱い想いで、この本をプロデュースしました。
こだわりポイントは、全ての愛犬家が共有する「愛犬の死を迎えた時の悲嘆の深さ」です。輪をかけた愛犬家の著者・わぐりさんが、そのこだわりに共鳴し、ありとあらゆる本当にあった「犬との絆」実話エピソード収集に奔走してくれました。二人の愛犬家魂がスパークし昇華した一冊です!

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