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筋トレは交通事故の減少に役立つかもしれない

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ここに来て爆発的に急増しているのだろうか?
それとも、前から同じくらいのペースで起きていたのに、報道されなかっただけのことなのだろうか? 近頃、高齢者ドライバーの判断・操作ミスによる交通事故が多すぎると思っているのは筆者だけではないはずだ。

アクセルとブレーキの踏み間違い

この原稿の目的は、高齢者ドライバーをディスることでは決してない。
ただ、高齢者が絡む事故が多すぎることも事実なので、そのあたりから話を始めたい。12月に入ってからだけでも、これだけ起きている。

・70代男性が運転する車がコンビニに突っ込む(12月2日)
・70歳男性が運転する車が電柱に激突(12月5日)
・80歳男性が運転する車が民家に突っ込み炎上(12月11日)
・63歳男性が運転する軽トラックがコンビニに突っ込む(12月13日)
・79歳男性が運転する軽ワゴン車が高速道路の路肩を走行して玉突き事故(12月17日)

この種の事故に関するニュースでよく聞くのが「アクセルとブレーキの踏み間違い」というフレーズだ。警察庁の資料によれば、2016年1月から11月までの期間でアクセルとブレーキの踏み間違いが原因とみられる死亡事故は全国で45件起きていて、そのうち38件が65歳以上のドライバーによる事故だった。

加齢だけが運転技術の低下の原因になるという絶対的な論拠はないが、一因であることは明らかだろう。

父親の話

筆者の父親は自営業者で、月曜日から金曜日まで仕事で車を使う生活を40年以上続けていたが、72歳の誕生日に仕事を辞め、それまで乗っていた車を売り、しばらくして免許も返納してしまった。そもそも運転は嫌いで、仕事だから仕方なくしていたらしく、免許証に対する未練はまったくなかったようだ。

そんな父親が、80歳を過ぎた頃から変わり始めた。まず気づいたのは、同じ話をすることがあまりにも多くなったことだ。まあ80過ぎなので、そういうこともあるだろうと思っていたが、スパンは徐々に短くなり、最近では1週間ほど前、いや、極論すれば昨日した話もすっかり忘れてしまう。

年寄りとはそういうものだから仕方がないのかもしれないし、筆者の認識不足だと言われればそれまでだ。しかし、電話をかけるたびに同じトピックを持ち出されるので、何回も最初から話し直さなければならないのは正直しんどい。言ったのに言わなかったことになるなんてしょっちゅうだ。しばらくすると思い出すのか、自分でも面倒くさくなってしまうのかわからないが、どんな形であってもとりあえず納得して話が終わる。でも、次に電話をかけた時にはまったく同じくだりを繰り返さなければならない。

久々に緊張感が走ったのは、先々月に携帯電話を買いに行った時だ。固定電話の親機が壊れて連絡が取れなくなってしまい、実家近くのケータイショップに連れて行った。ところが、契約書類にサインという段で、自分の名前をすんなり書けなかったのだ。

筋肉の衰えが脳の衰えに直結する?

父親が同じ話を繰り返すようになり、物忘れが激しくなったのは、それまでより明らかに痩せ始めたのと時を同じくしている。体全体の筋肉が落ち、猫背になって身長も低くなった。猫背になった原因は、腹筋と背筋のバランスが崩れたからだろう。

そう言えば、それまで通っていた運動機能を高めるための施設に通うのをやめてしまったのも同じ頃だった。

筋肉が落ち、同じ話を繰り返すようになり、物忘れが激しくなった。何らかの因果関係があるに違いないと思ってネットを当たってみたら、『地域在住高齢者における軽度認知障害および認知機能低下の関連要因の探索』という論文を見つけた。全10ページにわたる論文の要旨をまとめておく。

歩行や筋力低下は、将来の認知機能低下と関連していた。BDNF(脳内由来神経栄養因子)の発現を促し、体力を向上させるための運動介入が、認知症予防に有効かもしれないとする過去の報告を支持する結果となった。

この文章を逆方向から読むと、筋力を上げれば認知機能上昇につながる可能性がある、ということになる。

筋肉は80歳になっても付けることができる

以前通っていたジムのトレーナーが、体が硬い筆者を見て「柔軟を地道に続けていれば、おじいさんになっても180度開脚ができる」と豪語していた。筋肉も同じらしい。その根拠が書かれているのが、 『「認知症」「寝たきり」になりたくなければ筋肉を鍛えなさい』 (田辺解・著/ PHP研究所・刊)だ。潔い響きのタイトルと同じく、主張も明確だ。

日本は世界的にみても長寿の国です。ただし、寿命が延びる一方で、寝たきりや要介護状態となる期間も延びてきているのが現状です。これからは、いかに寝たきりや要介護とならない期間を長くするか、つまり、いかに健康寿命を延ばすかを考えていかなければなりません。

『「認知症」「寝たきり」になりたくなければ筋肉を鍛えなさい』より引用

鍛えると言ってもムキムキになるわけではないし、そうなれる高齢者の絶対数はきわめて少ないだろう。大切なのは、使う筋肉を常に動かせる状態にしておくことなのだ。外側を使っていると、内側の機能も整ってくる。人間の体というのは、そういうものらしい。

もう遅いかもしれないが、今度実家に帰る時、父親にもう一度筋トレを勧めてみる気になっている。

(文:宇佐和通)

参考リンク:
『地域在住高齢者における軽度認知障害および認知機能低下の関連要因の探索』(http://bit.ly/2i3c70J)

1日5分で楽しくできるカンタン体操! 「認知症」「寝たきり」になりたくなければ筋肉を鍛えなさい

著者:久野譜也 田辺解
出版社:PHP研究所
世界中で認知症や寝たきりになる人が増えている。その原因のひとつが筋力の低下だという。最近つまずきやすくなったな、とか以前より外出が減ったと感じている人も多いはず。それこそが認知症リスクのひとつ。認知症は特別なものでなく、誰もがなりえるもの。認知症リスク=寝たきりリスクでもある。長生きするのであれば、元気に健康でいたい! というのは誰もの願い。筋肉は、使わなければ落ちていくものなので、いつまでも元気に過ごすには、筋トレは必要なもの。本書で紹介するのは、筋トレといっても筋肉ムキムキを目ざすものではなく、今まで筋トレをしたことのない人でも簡単にできる体操ばかり。1日5分・10分・長くても15分というものだが、日常生活を送るために必要な筋肉をキープすることができる優れもの。自分の体力やスケジュールに合わせて、自由に楽しみながらカンタン体操(筋トレ)をすることで、いつまでも健康で元気な生活を送りましょう!

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