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アインシュタインをしのぐ天才・ラマヌジャンの秘密

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Facebookの創業者であるマーク・ザッカーバーグが賞賛してやまない人物がいる。
その名はシュリニヴァーサ・アイヤンガー・ラマヌジャン
インドの魔術師とも呼ばれる天才数学者だ。

ザッカーバーグはラマヌジャンについて、こう述べている。
「インターネットのない時代に、ラマヌジャンは、たった一冊のノートで世界を変えたんだ」

アインシュタン以上の天才

ラマヌジャンは直感のヒトであった。
数学者には必須とされる論理や証明には関心を持たず、ただひたすらにあり得ないほどの大量の公式を残すことに没頭し、わずか32歳で病死してしまう。
アインシュタイン以上の頭脳を持つと言われたその人生は希有で、悲しく、そして、あり得ないほど美しい。
私自身は数学が苦手で、数学者というものは、一種の宇宙人ではないかと思っている。
しかし、一方で、自分には絶対できないことができる彼らに畏敬の念を持たずにはいられない。

映画『奇跡がくれた数式』

彼の一生を描いた映画『奇跡がくれた数式』もいちはやく観た。
ロバート・カニーゲルの著した『無限の天才 夭逝の数学者・ラマヌジャン』を原作とする作品だ。
ラマヌジャンを『スラムドッグ$ミリオネア』に出演し、数々の賞に輝いた俳優デーヴ・パーテルが演じた。
さらに、脇をジェレミー・アイアンズをはじめとするうっとりするような演技派がかため、ロケも実際にケンブリッジの校内や図書館を使っており、臨場感あふれるシーンの連続だ。

天才を生む3つの条件

それにしても、天才とは不思議だ。
天才になろうとして天才になるわけではない。生まれた時にはその運命が決まっているかのように思える。
では、どうして天才が生まれるのか?
生まれてしまったら、どう対処すればよいのか?
どんなことに気を付けて、育てればいいのか?
そんなことを考える必要などないのに、考えないではいられない。
どこか風変わりなところがある彼らを守ってあげなければ。
数学者の藤原正彦によれば天才を生むにはつぎの3つの条件が必要だという。
まず「美の存在」、次に「神仏や自然や伝統等を貴ぶこと
そして、「精神性を尊ぶ風土」だ。
決して裕福でなくてもいい。ラマヌジャンも貧しい家庭の出身だ。

ラマヌジャンの故郷

南インド006クンバコナムとカーヴェリー・デルタ ~「稲穂」揺れる平野の街々』(「アジア城市(まち)案内」制作委員会・著/まちごとパブリッシング・刊)を読むと、ラマヌジャンの育った環境にも、それらの条件があてはまることがわかる。
彼は故郷のカーヴェリー・デルタで、米粒を並べてタミル文字を教わり、信仰が篤い母親から、徹底したヒンズー教育を受けて育った。
大人になっても、彼の人生は故郷で培った信仰と生活習慣に支えられていて、イギリスでも厳格に菜食主義を通した。
「なぜこんな公式を考えついたのか?」の問いには、「すべてはヒンズー教の女神であるナマギーリのおかげ」と、答えたという。

カーヴェリー・デルタに行きたいが・・・

人間がどれほど生まれ故郷に影響を受けるものなのか、実は私にはまだよくわかってはいない。
これからも追い続けたい命題だ。
ただ、ラマヌジャンが生まれ、数学を覚え、そして、遙か遠くイギリスまで出向きながら、病んだ体を抱えて帰った場所がインドであったことには心を打たれないではいられない。
彼が生まれ、育った土地に行ってみたくてたまらないけれど、そこは あまりに遠い。
今はただ『南インド006クンバコナムとカーヴェリー・デルタ ~「稲穂」揺れる平野の街々』を眺め、ラマヌジャンという天才について、思いを馳せることにしよう。
いつかきっと行けると信じて。

(文・三浦暁子)

南インド006クンバコナムとカーヴェリー・デルタ ~「稲穂」揺れる平野の街々

著者:アジア城市(まち)案内」制作委員会
出版社:まちごとパブリッシング
シヴァ派とヴィシュヌ派の寺院が10以上も見られ、寺院都市として知られるクンバコナム。このクンバコナムの近郊には、大チョーラ朝寺院群として世界遺産に指定されている傑作寺院が残るガンガイコンダチョーラプラム、ダーラースラムも位置します。天才数学者ラマヌジャンが育ったカーヴェリー・デルタの街や見どころを案内します。かんたんな図版、地図計9点収録。

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