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うちのビション、喋るんです

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今使っているiPhoneの写真を整理しようとしてカメラロールをチェックしたら、70パーセントくらいが愛犬まんまる(ビションフリーゼ・5歳)の写真だった。各種SNSのプロフィールに使うのもまんまるの写真が圧倒的に多い。そういえば、フムフムのライター一覧の写真もそうだ。

SNSのプロフィールをペットの写真にする心理

ちょっと偏ってるかも、と思ったので、さまざま調べてみた。プロフィールにペットの写真を使う人の心理は、ざっとまとめると次のようになるらしい。

・ペットと心でつながっていたい寂しがり屋。癒やしを求めている
・男女関わらず、ネットと自分の距離を一定に保っておこうという意識が高い
・容姿もライフスタイルも平均以上と思っている世渡り上手
・人前で常に明るく振る舞う性格の裏側にある冷静な観察眼
・単純にペットバカ

ほかはともかく、最後の項目は完全に当たってます。

いや、ほんとに喋るんだって!

これは、ペットバカの話じゃない。と、思う。
実は、まんまるがふとした時に発するひと言がどう考えても人語なのだ。名前を呼ばれることもある。低い声で2分くらいぶつぶつ言い続けてることもある。それに、筆者が鼻歌をうたっていると、ハモろうとしているとしか思えない鳴き方で合わせてくる。

一緒にいる時間がかなり長く、仕事中も散歩中も話しかけることが多い。だからボキャブラリーが増えるんじゃないだろうか。こういう思いを抱く人は筆者だけじゃないはずだ。「うちの犬喋ります」と打ち込んで検索したら、40万以上のヒットがあった。やはり、人語を介して飼い主とコミュニケーションを取っているわんこたちは多いのだ。

ペットではなくコンパニオンアニマル

この原稿を書いている今も、まんまるは筆者の膝に乗って進行状況をチェックしている。

でもね、それはやめてくれ。
なでなでしてるだけで1時間くらいすぐに経っちゃうから。自分のベッドに寝かせても、10分に1回くらいチラ見してしまう。目が合おうものなら、にこにこ――これもほんとに笑うのだ――しながら走ってきてジャンプし、膝に乗る。ダメだ。断れない。

筆者は、すでにペット依存の入り口に立っているのかもしれない。

最近は、コンパニオンアニマルという言葉があるらしい。
単なる愛玩動物という意味である〝ペット〟以上の存在で、生活を共にしていく相手というニュアンスだ。こうした概念も含め、動物好きにありがちなひたすら熱っぽい視線を向けるのではなく、きわめて冷静なトーンで犬と人間のコンパニオンシップについて書かれた本がある。

自分との関係性

『犬が私たちをパートナーに選んだわけ』(仲達志・訳/CCCメディアハウス・刊)の著者ジョン・ホーマンズさんのコンパオンアニマルは、ステラというラブラドールのミックス種の女の子だ。出会いの場はニューヨークシティ郊外のポートワシントンという町にあるアニマルシェルター。息子さんのチャーリー君が10歳の誕生日を迎える頃だった。

大学に入学したチャーリーを家族のステーションワゴンでキャンパスに送り届けた後でも、犬だけは一緒に戻ってきてくれるはずだ。つまり、ぼくらの期待を決して裏切らないペットが欲しかったのだ。

『犬が私たちをパートナーに選んだわけ』より引用

ステラを家に連れてこようと思った動機は、ごく普通だったはずだ。しかし時間が経過するにつれ、ホーマンズさんは自分とステラの関係性を冷静に見つめるようになる。

ステラの住む世界が巨大な変化の波に飲み込まれようとしていることに、僕は最近になってようやく気付いた。ステラという存在をどう定義すべきか。彼女の頭の中で何が起きているのか。どう扱われ、どんな権利を与えられるべきか――こうした問題に対する考え方が激変しつつある時代に、ぼくたちは生きているのだ。

『犬が私たちをパートナーに選んだわけ』より引用

まんまるが生後2カ月でうちに来て以来、一緒に過ごしてきた長い時間の中でぼんやり考えていたことを文章にして見せられた気がする。

淡々とした口調で語られるトリセツ本

本書を一番単純な形でカテゴライズするなら、コンパニオンアニマルとしての犬と飼い主との関係性について触れたトリセツということになるだろう。

〝犬学〟という言葉で表現される生物学的側面、犬と人間の関係史から見る文化的側面、そしておそらく一番大切だろう人間側のモラルを大きな切り口にして、あくまでも淡々と進んでいくバランスの取れた一冊だ。

〝最新の犬研究からわかる、人間の「最良の友」の起源〟というサブタイトルが付けられているが、本質はすべてのコンパニオンアニマルと飼い主との間に生まれるラブストーリーの要素にほかならない。

(文:宇佐和通)

犬が私たちをパートナーに選んだわけ

著者:ジョン・ホーマンズ(著)仲達志(訳)
出版社:CCCメディアハウス
「なぜ犬は存在するのか?」ニューヨーク誌のジャーナリストがラブラドールの雑種である愛犬ステラとの出会いから、その出自を追って世界中の研究者や犬にたずさわる人びとを取材したノンフィクション。犬の歴史と科学から動物倫理まで、最新の犬研究が網羅された「犬学」入門書&犬好き必携の書。

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