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この仕事は本当にやるべきことなのか

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時間に追われて慌ただしく、できることすべてに手を出し、何とか根性で乗り切っていく…。そんな日常に満足し続けることは難しいはずだ。やり方を変えたいと思っているなら、『エッセンシャル思考』という一冊がイチ押し。サブタイトルは、“最小の時間で成果を最大にする” だ。経済学で提唱され多様な現象にも当てはまるとされる ”パレートの法則” (参考:『新版 人生を変える80対20の法則』) や、経営戦略における ”選択と集中” (参考:『選択と集中 意思決定マニュアル』) などに近い ”エッセンシャル思考” が詳しく解説されている。

思い込みを捨てることが重要

“エッセンシャル” を直訳すれば ”本質的”。つまり “エッセンシャル思考” とは、無駄を削ぎ落として本当に重要な本質に集中することで、生産性を上げ、ストレスを減らし、選択の自由や自分らしさを手に入れるための考え方だ。 “シンプルな生き方のデザイン” とも言い換えられる。

それを実現するために大切なのは、次の3つの思い込みを克服すること。「やらなくては」、「どれも大事」、「全部できる」である。

エッセンシャル思考を身につけるためには、これら3つの嘘を捨て、3つの真実に置き換えなくてはならない。

「やらなくては」ではなく「やると決める」。
「どれも大事」ではなく「大事なものはめったにない」。
「全部できる」ではなく「何でもできるが、全部はやらない」。

(『エッセンシャル思考』より引用)

ハッとした人は少なくないはずだ。“嘘” に当てはまる左側こそ社会人として当たり前で、むしろ大切なことだと思っている人が多いだろう。だからこそ、これまでの見方を変えるにはかなりの困難が伴う。慣れ親しんだやり方を常識だと疑わない善意の人々が、何とか引きずり戻そうとするからだ。

そもそも、まだ “嘘” だと思っていない人も多いかもしれない。ただし、非エッセンシャル思考と比較すれば、エッセンシャル思考の外郭は浮き彫りになってくる。

■非エッセンシャル思考■

・考え方:みんな・すべて
(やらなくては、どれも大事だ、全部こなす方法は?)

・行動:やることをでたらめに増やす
(差し迫ったものから、反射的に引き受ける、根性でがんばる)

・結果:無力感
(何もかも中途半端、振りまわされている、何かがおかしい、疲労困憊)

    ↓

■エッセンシャル思考■

・考え方:より少なく、より良く
(これをやろう、大事なことは少ない、何を捨てるべきか?)

・行動:やることを計画的に減らす
(重要なことを見定める、大事なこと以外は断る、あらかじめ障害を取り除く)

・結果:充実感
(質の高い仕事ができる、コントロールしている、正しいことをやっている、毎日を楽しんでいる)

(『エッセンシャル思考』を基に作成)

大切なこと以外は断る勇気とスキルも必要

この比較を見て、エッセンシャル思考を身につけたいと望む人も増えたのではないだろうか。では、どうすれば良いのか。『エッセンシャル思考』には、実践するための具体的な方法として「見極める技術」、「捨てる技術」、「しくみ化の技術」が先駆者のエピソードとともに詳しく紹介されている。

実行したい内容ばかりだが、その中でも覚えておきたいと思ったのは、上手に断るコツだ。主なポイントは下記の通り。

・依頼主との関係性と、判断を切り離す

・直接的でない表現を使う

・トレードオフに目を向ける

・何かを売り込もうとしている事実を意識する

・曖昧なイエスはただの迷惑と自覚する

・好印象よりも敬意を手に入れる

(『エッセンシャル思考』を基に作成)

長期的な敬意を手に入れた例として、アップル社を創業したステーブ・ジョブズと、有名企業のロゴなどを手掛けたグラフィックデザイナー、ポール・ランドとのエピソードも紹介されている。

ジョブズがネクスト社のロゴを依頼する際に「いくつかの候補を出してほしい」と言ったところ、ランドは「候補がいくつもほしいなら、ほかを当たればいい。自分の知るかぎり最高の答えをひとつだけ出します。使うかどうかの判断は、そちらでしてください(※一部抜粋)」と答えたそうだ。最初は苛立ったジョブズだが、最高の答えに感動。ランドを最高にプロフェッショナルな人間として認めたそうだ。

エッセンシャル思考の重要性とともに、実行することの難しさがリアルに想像できたのではないだろうか。本書の中では、より具体的な実例や解説が書かれているので、興味があったらじっくりと読んでみてほしい。

(文:平 格彦)

エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする

著者:グレッグ・マキューン(著) 高橋璃子(著)
出版社:かんき出版
2014年の『NYタイムズ』『WSJ』ビジネスベストセラー、日本上陸! ダニエル・ピンク(『モチベーション3.0』著者) クリス・ギレボー(『1万円起業』著者) アダム・グラント(『GIVE & TAKE』著者) 他が絶賛する全米ベストセラー、待望の翻訳! Apple、Google、Facebook、Twitterのアドバイザーを務める著者の 99%の無駄を捨て1%に集中する方法とは!? 本書で紹介するエッセンシャル思考は、 単なるタイムマネジメントやライフハックの技術ではない。 本当に重要なことを見極め、それを確実に実行するための、 システマティックな方法論だ。 エッセンシャル思考が目指す生き方は、 「より少なく、しかしより良く」。 そのためには、ものの見方を大きく変えることが必要になるが、 時代はすでにその方向へ動きだそうとしている。

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