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旅の帰り道、ガマンできずにおみやげを食べてしまう

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旅行のおみやげといえば、定番は「お菓子」や「郷土の名産品」だ。わたしは、旅行の帰り道に「おみやげ用のお菓子」を食べるのが好きだ。みんなのために毒味をするのだ……と自分に言い聞かせながら。

家族や友人への「おみやげ」は、電車や飛行機に乗り込むまえに宅急便やクール便で発送しておく。帰りの手荷物を増やしたくないからだ。

とある京都旅行の帰り道。特急列車の指定席にて。
わたしは、おもむろに『柿の種ピーナッツ入り詰め合わせ』の箱を開封した。某有名メーカーの関西限定商品である。

「たこ焼ソース風味」「抹茶風味」「梅しそ風味」「カレー風味」が4袋ずつ、合計16袋入り。大阪や京都を連想させる、まさに地域限定の柿ピーだ。

たこ焼ソース風味

開封。においをかぐ。フルーティーな甘酸っぱい香り。個包装パッケージには、たこ焼き・ソース・青のりの写真。マヨネーズは無し。

三日月のかたち。表面には「青のり」らしきものが見える。柿の種をひとつ、口に入れる。歯を立てず舌のうえで優しく転がす。くちびるを閉じて、香りが鼻から抜けるようにして味わう。まるでワインを飲み比べるように。

コクのあるたこ焼ソースの味わい。ほのかに「紅しょうが」や「かつお節」の風味も感じる。

原材料名を見てみよう。ソースには「もも・りんごを含む」と書いてある。まさしくフルーティー。「味付削り節」「紅生姜」「あおさ」という記載もある。正真正銘の「たこ焼」を再現しているのだ。

通常の柿ピーよりも「こってり」しており、甘めの味付けに仕上がっている。ピーナッツとの相性も良し。通常の柿ピーよりもピリ辛は抑えぎみ。万人受けするアレンジである。

抹茶風味

開封。においをかぐ。醤油と抹茶の香りが混じりあっている。キワモノの予感。個包装パッケージには、顔色の悪い「柿の種」の写真。薄緑色なので、商品名を知らされていなければ「わさび風味」と見間違えるかもしれない。

柿の種をひとつ、口に入れる。青臭い風味が、口の中いっぱいに広がる。ほろ苦い。すこし「エグみ」も感じる。個人的には好きではない味だ。

原材料名を見てみよう。抹茶(京都府産てん茶100%)。庶民的な菓子にはそぐわない本格的な材料を使っているようだ。

梅しそ風味

開封。においをかぐ。甘酸っぱいにおいの中に、目が覚めるような梅の鮮烈な香りを含んでいる。個包装パッケージには「肉厚の梅干し」の写真。しかしながら、風味は典型的な「梅味スナック」である。

柿の種をひとつ、口に入れる。味が濃い。梅干し味というよりも、その甘酢っぱさは『小梅ちゃん』キャンディーによく似ている。同封のピーナッツをしゃぶっても梅風味を感じる。まるで梅干しの種をなめているような気分を味わえる。

原材料名を見てみよう。「梅しそシーズニング」の記載有り。シーズニングとは、要するに「風味付けの粉(こな)」だ。シャカシャカポテトやシャカシャカチキンの「シャカシャカ粉末」がシーズニングである。

カレー風味

開封。においをかぐ。まごうことなきカレー風味である。多種類のスパイスを調合しているものと思われる。たぶん中辛。個包装パッケージの写真は、角切り肉が入ったカレーソース。

柿の種をひとつ、口に入れる。率直に言えば「カレーヌードル」の味がする。驚きはないが、わたしたちにとって馴染みのカレー風味とも言える。原材料名には「ミルポワパウダー」や「トマトソースパウダー」の記載が見られる。

ミルポワ(ミルボワ)とはフランス料理で使われる「野菜だし汁」のことだ。カレーヌードルみたいな味と書いたが、じつは本格的なカレーソースなのかもしれない。製造している工場に「白ごはん持参」で行ってカレーライスにして食べたい。

総評。いちばんのお気に入りは「カレー風味」の柿ピーである。

車掌さんはいつも何を食べているのか?

旅人が楽しそうに飲み食いしているのを、車掌さんはどう思っているのだろうか。物欲しそうな顔をした車掌さんには会ったことがない。

JR東日本の現役乗務員が書いた『車掌の本音』(斎藤典雄・著/アストラ・刊)によれば、車掌さんたちは、月に1度の割合で「うどん当番」を務めるそうだ。夜勤の出勤前に、翌朝の「うどんつゆ」をこしらえる。約20人分。

材料を何にするかは当番二人に任されているから、玉ねぎ、長ねぎ、椎茸、ちくわ、天ぷら、鶏肉、卵、大根、ワカメ、アサリ、おしんこなど、そのバリエーションは挙げたらキリがない。日によって毎回味が異なり、それぞれの家庭の味を楽しめるといった具合でなかなかほほえましいものだ。

(『車掌の本音』から引用)

うどん一杯分の材料費は「250円」だという。旧国鉄時代から受け継がれている秘伝の「だしつゆ」を、ぜひとも味わってみたいものだ。

(文:忌川タツヤ)

車掌の本音

著者:斎藤典雄
出版社:アストラ
『車掌だけが知っているJRの秘密』につづく、車掌の日記シリーズ第2弾。女性車掌の登場に「存在自体がセクハラだとかいわれたらどうしよう」と思い悩み、制服に包まれた部分以外のおしゃれ(短めの靴下など)を試し、「うどん作り」と呼ばれる食事当番をこなす。車掌といえども一企業の一社員、毎日会っているようで実は会えていない「車掌さん」のほんものの顔が見えてくる一冊。日常生活についての記述も豊富。

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